⑥アラスターの苦労
『どう?鍵は見つかった?』
「いや、なにも見当たらない。ここに鍵があった痕跡は感じるんだがな・・・。」
『そう、もしかしたら誰かが拾ったのかもしれないわね。他の場所で魔力を探ってみて。』
「分かった。」
アラスターは電話を一度切った。
久城商店街は昼は人混みができるほどの人数が行き来するが、今は深夜。人も見当たらず、あたりはしんとしている。
アラスターがいるのはそんな商店街よりももっと暗い、路地裏だった。
彼は目を瞑り、意識を一点に集中させた。すると、彼の脳内には暗闇から光が走り、商店街の様子が光の線で表された。
商店街の所々に大きく光が反応している箇所があった。
「これらは、<火消し屋>の結界だな。一応働いているようだな。あの結界には商店街を出入りした魔力が記録されているはず、確認しに行くか。」
アラスターは目を開け、集中を解いた。
そして、彼は建物に何か掴まるものがない方探し、窓の枠を見つけた。
彼は軽く屈伸をし、ぴょんっと軽く飛び、地面から数メートルある窓の枠を掴んだ。そしてその上にある似たような形状をした窓の枠に向かって飛んだ。
「前にてれびという物で見た事があったな、確かこう言うのをボルダリングと言うのか?後でノアに聞いてみなくては・・・。」
アラスターはそう言いながら、ぴょんぴょんと建物の屋上に飛んでいった。
「さて、とっ!」
アラスターは目を細め、商店街の入り口のアーチ看板の付近を見た。入り口に薄いオーロラのような物が見えた。
「あの門が商店街の入り口だな。・・・よっと!」
アラスターは目の前にある信号機の上に飛び乗り、そして別の建物に飛んで、また別の建物に飛んでいきながら移動した。
「よし!着いた。」
アラスターはアーチ看板の上に立った。そして、指をパチンと鳴らし、何処からか槍が現れた。彼はその槍をアーチ看板の真ん中に突き刺した。
すると槍が青く光り、槍から青く光る文字が出てきた。
「俺や、連合長、7大ギルド、そして<エスペレノーヴァ>の魔力は確認できた。残りは未登録魔力だな。
・・・大体は異界犯罪グループ、か。こいつらは確か先月に七鍵王が一通り壊滅させていたんだったな。
残り1つは、、ん?」
アラスターは首を傾げた。
「何だ、これ?商店街で急に現れて、この門から商店街を出ていっている。
急に魔力の反応が現れるってどう言うことだ?」
アラスターは槍を引っこ抜き、槍の穂に近くにあるボタンをポチッと押した。
「確かこれで魔力の追跡ができるはずだ。」
ピピピッピーー!
機械音がし、槍の穂が青く光り、魔力の主がいるであろう方角にコンパスのように向いた。
「ここか、。・・・え!?」
アラスターが槍の柄を持った瞬間、槍が矢のように一直線にアラスターごとビュンっと飛んでいった。
「と、止まれない!くそ!」
目にも止まらぬスピードで槍は飛んでいく。途中で槍の目の前に建物などの障害物が現れるが、槍はぶつかる直前で避け、減速せずに進んでいく。
「な、成程。流石は<魔導具マニア>。安全面は一応あるみたいだ。・・・それにしても、一体どこに着くんだ?もう商店街から離れているし。」
光っていた槍の穂はチカチカと点滅し出した。
「もう、到着なのか? うわっ!?」
槍はある民家の前で急停止し、その反動で槍が穂を下にして真っ直ぐに立った。
穂の向きに柄を掴んでいたアラスターは当然重力によってバランスを崩し、槍から手を離した。
ドシンっ!
「痛っ!」
アラスターはアスファルトに顔面から着地した。
「いたたたた。 えっと、<クアレェ>」
アラスターは手でアスファルトにアタックした箇所を抑え、何か呪文のようなものを唱えた。
すると、傷口が光に覆われ、光が消えると傷は消えていた。
「ふぅ〜。次この機能を使う時は濃い灰色の地面に顔を激突させないように注意しよう。」
アラスターは槍の石突(穂から1番遠い場所)にあるボタンをまたポチッと押した。槍は光の粒子となり、彼の中に入っていった。
「さて、ここが例の魔力がある場所、か。」
その例の魔力がある民家の表札には来栖と書かれてあった。
ーーー
「おい!桜子! 起きろ!」
「何〜?まだ夜中だよ?」
桜子は口の悪いぬいぐるみに無理やり起こされた。
「誰かがこの家の前にいる。」
ぬいぐるみは窓のカーテンを口で開けた。
「こんな夜中に?」
桜子は目をゴシゴシしながら、窓の外を見た。
外には、短い銀髪の青年が立っていた。
・・・あれ?なんだろ、なんか一瞬、、、、。
「ん〜?」
「どうした桜子?」
「なんか、一瞬あの銀髪の子が青く光ったけど。気のせい?」