⑤喋るぬいぐるみ
モササウルスのぬいぐるみはクッキーをガツガツと食べていた。
うん、どゆこと?
ほんと、まじでこの状況何?
え?夢?(2回目)
「何ジロジロ見てんだ?」
クッキーを食べているぬいぐるみが言った。
「だって、胃袋とか無いはずのぬいぐるみがクッキー食べてるもん。そりゃ、びっくりするよ。」
ほんと、どうなってんの?こいつの身体。
ぬいぐるみは最後のクッキーを食べ終わると、大きくゲップをした。
「俺様にもわからない。ただ、気がついたらお前がいて、腹が減っていた。」
「そう、なの。」
お前もわからんのかい!
「あれ?なんか疲れがない? てか逆に元気になってる!?」
ぬいぐるみのことで頭がいっぱいだったが、ぬいぐるみがクッキーを食べるまで桜子は少し疲労感があったのに、クッキーをぬいぐるみが食べると、疲労感が消えた。
鍵といい、ぬいぐるみといい、疲れが消えるといい、本当になにが起きているんだ?
「桜子ーー!ご飯よーー!」
母の声が一階から聞こえた。桜子は「今行く〜!」と言って、机の電気を消した。
「誰だぁ?今の声?」
案の定、ぬいぐるみはそう言った。
「私のお母さん。桜子これからご飯食べに一階に行くけど、絶対にこの部屋から出ないでね。桜子がここに戻ってくるまで、じっとしててね。分かった!?」
「分かってるよ。俺様のことはお前以外に話してはいけないって思うからな。
でも、俺様はここには残りたくない。」
「何で?」
色々面倒だから、存在はバレたくないのは理解してくれたのに、どうしてここに居ようとしないの?
「なんだかよくわからねぇが、俺様はお前を守らなきゃならねぇみてぇだ。言い換えれば、俺様の使命のような物?」
「使命ね〜。・・・分かった、じゃあ桜子のポケットの中に入って。絶対にでちゃダメだよ。」
桜子はぬいぐるみをポケット入れだ。
ぬいぐるみから、心臓の鼓動が感じる。本当に生きているのだと実感した。
桜子は階段を降りていって、一回のリビングに着いた。
「あ!やっぱり、オムライスだ!」
ラッキー!オムライスは桜子の好物だ。
「おむらいす?なんだそれ?」
「ちょっ!静かにして!」
ぬいぐるみがポケット中から少し顔出していた。
桜子は右手でぬいぐるみをお母さんが見えないように隠した。
「どうしたの?桜子?空いてないの?」
挙動不審だったのか、お母さんは桜子を心配した。
「いや、空いてるよ!ちょっとぼーっとしてた。」
「ったく、食べる時は妄想しないでね。」
「はーい。」
桜子は椅子に座った。ぬいぐるみは桜子の太ももの所にちょこんと乗った。
いや、バレたらどうすんの。
「俺様にもくれよ。」
ぬいぐるみは小声でそう言った。
「分かってるって、はい。」
桜子はスプーンでオムライスの端っこの方を取り、お母さんの目を盗んで机のすぐ下にスプーンをゆっくり下ろした。
ぬいぐるみはスプーン丸ごと口に入れ、ゴクンっと飲み込んだ。
「美味いな!」
「当たり前じゃん!」
どうやら食べ物の好みは桜子と相性が良いみたいだ。
「何か今、変な声が聞こえたけど、気のせい?」
お母さーーん!勘が鋭いーー!
「気のせいだよ! 多分お母さん疲れてるんだと思うよ!」
「そうかな? うーん、今日は早く寝た方がいいか。」
ふぅ〜。焦ったぁああ。
「おい、桜子!もう一口くれ!」
他人事と思っているぬいぐるみは、おかわりを要求していた。
桜子は目にも止まらぬスピードでオムライスを爆食し、ぬいぐるみに綺麗になった皿を見せた。
「残念、もうおしまい。」
「んな!!!」
ぬいぐるみはショックのあまり、口をぽかんと開け、固まった。
クッキーも食べたんだから、もういいでしょうが。
そういえば、ぬいぐるみがオムライスを食べた時も、なんか桜子の疲れがまた無くなった気がする。
どゆこと?