#6 講義の終わりと密談
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「す、素晴らしいっっ!!!」
「んえっ……!?」
クローフィアの講義に皆が感銘を受けている中、第一王子のエクスヴィオが教壇にすごい速さで駆け寄り、クローフィアの手を取った。
「貴女はとんでもない発見をしたっ! 長年停滞していた魔導学は今日でいくつもの階段を何段も飛ばし、曇りがかっていた天気を快晴へと変えたっ! ちなみに魔術式はどれくらいの種類を解明できているんだいっ!?」
「え、えっと…… 各属性の上級魔法と呼ばれてるところまでは…… あと、さっき見せた『捕えよ』くらいの簡単な魔術式はもう作った……」
「魔術式を作った!? 天才か君はぁ!?」
「ひえっ……!?」
「この、おバカエクスお兄様っ!! クー様が怯えていますわー!!」
「ぐはぁっ!?」
ゴンっという鈍い音を立ててセリーが放った魔法で作られた割と大きめな氷の塊が、エクスヴィオの頭に直撃し、エクスヴィオは昏倒した。
「クー様っ、大丈夫ですの!?」
「……あ、うん。 驚いたけど……」
「全く、女性の手を断りもなく握って詰め寄るなんて、なんてふしだらなっ! これはお姉様やお父様、お母様に報告してしっかりと叱っていただきませんと!」
名実共に第一王子を止められるのは同じく王族のセリーだけだったので、クローフィアからしたら感謝しかなかった。
……何せ、特に知りもしない男が目を血走らせながら詰め寄ってきたのだ。 普通に怖かった。
「こほん、さて、驚きは分かりますが一度再び席についてください〜」
興奮冷めやらない訓練所内だったが、リリーフィアがそう告げた事で一度皆んな席に戻った。
「とっても革新的な講義だったと思います。 ですがまだ少し続きがありますのでもう少し聞いてくださいね〜?」
「……ん、ここからは少し注意事項と一応何でこれを見つけれたかを話す」
再びクローフィアが話し始めた事で、訓練所内はめちゃくちゃ静かになった。
「……まず、見つけたきっかけは数年前、魔族の犯罪組織と戦った時。 魔族は私達人間よりも魔法に優れているとされている。 ……戦った魔族も見た事ない魔法をたくさん使ってきた。 そこでなぜこんなにもいろんな魔法が使えるのだろうと疑問に思ったのが今回話した事を見つけたきっかけ」
クローフィアからの言葉に、実際に魔族と戦った事のある現役騎士達は納得の表情を見せた。
「……で、そこから1年くらいかけて今話した事くらいまでは解明した。 実はこれが3年前くらいの話」
その言葉にまた驚きの声が上がった。
3年前には既にこの革新的な説が確立されていたのかと。
「……これをなぜ広めなかったのかは注意事項の話と繋がる。 魔術式はすごい奥が深いけど、その深さに比例するように危険なものでもある」
その言葉に生徒達はあまりピンときていないようだった。
「……例えば、興味本位で魔術式を変えてみて、それが示す事象がたまたま爆発しろとかだったら? ……それを発動させようと魔力を流した瞬間、流した魔力量によっては辺り一帯が消し炭になってもおかしくない」
その言葉を聞いて、ようやく生徒達も魔術式が危険なものでもあるという事に気付いたようだ。
「……そんな懸念もあって公にするわけにはいかなかった」
「けど、今回発表したということは〜♡?」
「……ん、少なくとも学生レベルでも使える既存の上級魔法までを構成していた魔術式は確立できた。 この後、先生達と騎士団の人達には纏めた資料を渡す。 ……これをどう教えていくかは流石に専門外だから教育者達に任せる」
その言葉に、学園の先生達は闘志を燃え上がらせた。
何せ、この革新的な大発見を自らも学べ、後世に伝える事ができるのだ。
教育者としては1番の誉とも言えるだろう。
「……あと、魔術式の改変はちゃんとしたところから禁止する声明を出してもらう。 式を間違えてたら発動すらしないから、事故の可能性は限りなく低いけど、さっき言ったみたいな万が一は全然起こり得る」
「学生の皆んなは絶対ダメよ〜♡ やったら即退学ぐらいの処分食らうと思っておいてね〜♡」
「……ん、これで本当に以上。 あと、個人的な質問はしばらくは控えて欲しい…… これから渡す資料にちゃんと全部まとめてあるし、生徒の中で分からないことがあったら、授業中とかその前後ならいいけど、それ以外は睡眠時間が削れるから……」
「という事ですので、先生方や騎士団の方々で不明点があったら私に聞いてください〜♡ クーちゃんほどではありませんが、その資料にまとまってる事くらいなら分かるので〜♡」
「……ん、じゃあ今度こそお終い。 おつかれさま」
「はいっ、という事で、クーちゃんにもう一度大きな拍手を〜♡」
訓練所は再び大きな拍手に包まれ、クローフィアは眠そうな表情で教壇を降りた。
*
「あっ、クーちゃんお疲れ様!」
「……疲れた」
「ふふっ、だろうね? でも、本当に凄かったよ! もうずーっと驚きっぱなしだった!」
「私もですわ! クー様、あんなに立派に講義なさっててカッコよかったです〜♡」
「お疲れ様でした。 寮に戻ったら安眠を促進する紅茶でも淹れさせていただきますね?」
「……ん、皆んなありがと」
今日のところはこの場で解散となったため、クローフィア達は寮に戻った。
そうしたら、クローフィアは直ぐに寝るとアカネ達は思っていたが、クローフィアも生活リズムを直したいらしく、頑張って夕食、そして入浴が済むまではなんとか起きて、入浴が終わって部屋に戻った瞬間、ベッドに沈むように眠りについていった。
「ふふっ、クーちゃんお疲れ様? 頑張ったね」
「可愛らしいです、クー様……♡ ずっとこうして眺めていたいですが、少し私は行かなければいけないところがあるので失礼しますわ!」
「あ、そうなんだ? フィオラちゃんも?」
「はい。 お先に休んでいただいても大丈夫ですよ」
「そっか。 2人ともいってらっしゃい」
セリー達は何やら用事があるようで部屋から出ていった。
アカネの方は明日に備えて自分も早めに寝ることにした。
「おやすみ、クーちゃん♡」
*
一方その頃、セリーとフィオラは寮内の共有スペースでとある人達と邂逅していた。
「ふーん、あのおバカ、また暴走したのね?」
「そうなんですの! 許せませんわっ…… 私もまだクー様のお手を握ったことなんて無いのに……!」
「……別にそれはセリーが頼めば握らせてくれるんじゃない?」
「そ、そんな簡単に仰らないでくださいララお姉様!」
セリーが会っているのはこの国の第一王女のララスティア・フォン・グラセリアだった。
「まぁ、話は分かったわ。 私の方からもちゃんと叱っておくし、お父様とお母様にも報告しておく。 何かお詫びもしなきゃね…… あ、そうだわ。 まだ私は詳しい話は聞いてないけど、そんなにすごい大発見をしたなら、国からもちゃんとしたお礼をしないとよね? おバカに謝罪させるついでにお城に招くのはどうかしら?」
「うーん、クー様はあまりそういうのは……」
やめておいた方が、と言おうとしたセリーだったが、ここで一つ思いついた。
(クー様にお城に来てもらえれば合法的にお茶会に呼んだり、お城の案内などで一緒にいれるのでは……!? アリスもきっと喜びますし、さらに褒賞を渡すということは、形式上は謁見ということになる…… つまり、クー様のドレス姿が見れる……!?)
なお、今の考えが頭を駆け巡るのに僅か数秒しか経っていない。
「いや、とても良い考えだと思いますわ、お姉様! ぜひお招きしましょう!」
(セリー様…… また何かよからぬ事を考えてそうなお顔をしている……)
「ふふっ、中々楽しそうな日々を送れてるようね?」
「……フェレスお姉様」
少し呆れたような表情のフィオラを見てクスクスと笑みを見せたのは、隣に立っているフィオラの姉のフェレスだ。
フィオラがセリーの従者であるように、フェレスはララの従者であり、その実力は折り紙つきで、現役のエリート騎士にも負けない実力をしている。
「久しぶりね、フィオラ? 去年の末に帰ったぶりかしら?」
「そうですね。 フェレスお姉様もお元気そうです何よりです」
「貴女と同じ学校なんて、嬉しいわ♡ 今度、久しぶりに2人でお茶でもしましょう?」
「はい、喜んで」
王族とその従者達のお話はその後もしばらく続き、また面倒そうな事がクローフィアに襲いかかるのだが、それはまた少し先のお話。
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