#2 王女様
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「よーし、それじゃあこれで今日のところは解散だ!」
かなりの衝撃を残した自己紹介タイムから1時間ほど経った頃。
あれから学校を一通り案内され、寝泊まりする寮についての説明を受けてAクラスの面々は解散となった。
「この後は自由時間だから、まだ見てない学校内の施設を見回るも良し、早めに寮に戻って休むのも良しだ!」
「じゃあ皆んな、学校生活楽しんでね〜♡」
そう言って先生達2人は教室から出ていった。
残された生徒達もそれぞれ動き出したが、クローフィアはぐてぇっと机に体を倒した。
最早見慣れてしまってそれがデフォルトのように見えてしまう体勢である。
「うう…… まだ頭痛い……」
「あはは…… クーちゃんお疲れ。 あれからはずっと起きてたね?」
「……また寝たら今度はアイアンクローじゃ済まない」
「あれよりまだすごいのがあるの……?」
「……聞きたい?」
「え、遠慮しとこうかな……」
アカネは普通の女の子なので、そんな痛みを伴う話は極力聞きたくはない。
自分の平常心を守るためにも。
「ご機嫌よう、クローフィア様」
そんな2人の所へ1人の女子生徒が声をかけてきた。
その所作はとても美しいもので、更に身なりからしてもやんごとなき身分の子だとアカネにも理解できた。
「……ん? あ、久しぶり、セリー」
「ふふっ、本当にお久しぶりですわ♡ えっと、お隣は確かアカネ様でしたよね?」
「あ、はい、アカネって言います」
「初めまして。 私はこの国の第二王女、セレスティアル・フォン・グラセリアと申します」
「えっ!? お、王女様っ!?」
突然目の前に現れたこの国の王族に、アカネは心臓が飛び出るかと思った。
アカネは王都に来たのも今回が初なので、王族は王様に2人の妃がいて、第一王子と第二王子、そして第一、第二、第三王女がいるということ。
そして、それぞれの名前を受験の際の時事問題対策で学んではいたが実際の顔などは知らなかったので、まさか目の前の少女が王女様だとは思ってもみなかった。
「そんな畏まらないでいいですわ? ここでは同じ生徒なのだから、クローフィア様と同じようにセリーとお呼びください」
「い、いや、それは……」
「ダメですの……? 私、お友達ができるかもと楽しみにこの学校に来たのですけれど……」
「え、えっと、私で良ければ……?」
「本当っ? ありがとうございます、アカネ様♡」
(王女様とお友達になったなんて言ったら、お母さんとか驚くだろうなぁ…… いや、正気を疑われそう……)
「セリー様」
「あっ、ごめんなさい、紹介が遅れたわね。 この子は私のお友達兼護衛兼従者の……」
「私はフィオラ・アルフエンデ。 アルフエンデ公爵家の次女でございます。 クローフィア様、アカネ様、初めまして」
「……ん、よろしく」
「こ、今度は公爵家の……」
「私とお友達という事はフィオラもアカネ様とクローフィア様とお友達ね!」
「……すみません、という事らしいので、私もお友達という事でよろしいでしょうか?」
「アッ、ハイ……」
「……フィオラ、よろしく」
引き攣りそうになる顔をなんとか笑みの形にし、アカネはフィオラに返事をした。
一方クローフィアは全然それでいいらしく、普通にお友達として認めたようだ。
「そ、そう言えば、クーちゃんとセリー様はお知り合いなんですか?」
「アカネ様、もっと口調は自然にしていただいて構いませんわよ?」
「いや、流石に……」
「ダメですの……?」
「……セリーちゃんでいいかな?」
「はいっ♡ そう呼んでくださいっ♡」
「アカネさん、すみません……」
「フィオラ様、貴女はまともなんですね……!」
「同意します…… ですが、私に対しても今のうちに気楽に接してください。 私にだけ丁寧に話されたらそれはそれでセリー様は気になさると思いますので」
「分かったよ、フィオラちゃん…… なんか、すっごく仲良くなれそうな気がしちゃってるんだけど、どうかな?」
「奇遇ですね、私もです」
2人はそう言ってお互いのパートナーの方を見た。
「クローフィア様、相変わらずお可愛らしいですわ〜♡」
「……ありがと。 セリーもちょっと見ない間に随分綺麗になった」
「まぁっ♡ クローフィア様にそんな事言ってもらえるなんて〜♡」
「……あと、呼び方はクーで良い。 仲良い人は皆んなそう呼ぶから」
「クー様…… あぁっ、愛称で呼び合うなんて、これはもう親友と言っても良いのではないでしょうか♡」
「……頑張ろうね、フィオラちゃん」
「……そうですね、アカネさん」
片や生粋の箱入りお姫様。
片や同い年にも拘わらず、詳細不明の特務騎士。
どちらも常識が著しく欠如している2人の作り出す空間に、早くもアカネとフィオラは頭を抱えていた。
「え、えっと、2人は知り合いみたいだけど、どんな接点が?」
「実は私、数年前に誘拐されましてね?」
「いや、いきなりヘビー!?」
一般市民のアカネにとっては馴染みのなさすぎる誘拐という言葉がいきなりセリーの口から出てきた。
「私の妹も一緒に誘拐されたのですが、その時に助けに来てくださったのがクー様だったんです♡」
「……懐かしい」
そんな話を聞かされ、先ほどからどこかセリーがクローフィアに対して尊敬というか憧れの様な目を向けていた事に合点がいった。
「数年前からもう特務騎士だったんだ?」
「……私は10歳の頃から特務騎士」
「じ、10歳……!?」
「それはすごいですね……」
「って事はクーちゃんってすごく強いんだね……?」
「それはもうすごいですわっ! あの時のクー様の誘拐犯をバッタバッタと薙ぎ倒す姿は今でも鮮明に思い出せます……♡」
アカネからしたら目の前の眠そうにしているクローフィアがそんなに強いとは思えないのだが、当事者が言うなら本当なのだろう。
「クー様、折角同じ学校になった事ですし、戦闘技術や魔法についてたくさん聞かせてくださいね!」
「……ん、私が教えれる事なら。 そういえば、アリスは元気?」
「ええ、元気ですわ。 あの子もクー様に会いたいみたいで、お手紙書こうかすごい悩んでましたよ。 でも、お仕事の邪魔になると思って書かなかったらしいです」
「……気にしないでいいのに。 予定が合えば全然会うって伝えておいて?」
「それはあの子も喜びますわ♡ その時は私も一緒にお茶会でもさせてください♡」
「……ん、分かった」
「クーちゃん、この後はどうする?」
「……流石にそろそろまとまった睡眠がしたい」
「そ、そっか…… じゃあ寮に行こっか?」
「セリー様、我々も行きましょう」
「そうねっ! クー様、アカネ様、一緒に行きましょうう?」
4人は共に学校にある女子寮に向かった。
そして、そこで部屋割りを聞いたのだが……
「なんの因果なんだろう……?」
「すごいですね……」
「わあっ、まさかこの4人が同室なんて、運命のようですわね♡」
「……ベッドふかふか」
なんと部屋割りを確認したところ、この4人が同じ部屋だった。
ちなみに偶然のようだが、実はこの部屋割りは成績が近い者達が同じ部屋になるようになっており、女子の中ではこの部屋の4人が入試の成績はトップなのだ。
「アカネさん、失礼ながらそんなにも優秀な方だったんですね」
「あはは…… 私はどれくらい勉強したらいいかとかの指標が無くて、難しいって事しか知らなかったからとにかく勉強したんだよね」
「どれくらい勉強されたんですの?」
「えっと、一冊だけ買った厚めの参考書を見ずに音読できるようになるくらいかな……?」
「まぁっ、それはすごいですわね! それに、実技の方もここにいるということはかなりのレベルということですよね?」
「まぁ、スキル頼りだけどね?」
「スキルも自分の力なのですから謙遜することはないですよ」
「ふふっ、ありがとうフィオラちゃん」
「ちなみにクー様は…… あらっ?」
セリーがクローフィアに話を振ろうとしたところ、クローフィアは制服のままベッドにころりと寝転がって既に夢の中だった。
「すぅ……」
「まぁ、可愛らしいですわ♡」
「クーちゃん、こうして見るとお人形さんみたいだよね」
「特務騎士と聞いたらもっと屈強な方を想像しますが、クー様はそれとは真逆ですね? 肌は雪のように白く、腕も細い…… 貴族の令嬢と言われてもなんの疑問も浮かびません」
「ほんと、何者なんだろう?」
3人はすやすやと気持ちよさそうに眠る謎の特務騎士、クローフィアの寝顔をしばらく眺めながら彼女について色々と考えるのであった。
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