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#1 クローフィア

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 偶然にも同じクラスだったクローフィアとアカネは自分たちのクラスに荷物を置き、そのままの流れで入学式が行われる大講堂まで一緒に来ていた。



「えー、であるからして……」


「……ふあぁ」


「ちょっ、クーちゃんそんな大っきな欠伸……!」


「……ぐぅ」


「って、ええっ……!? ね、寝ちゃった……」



 現在、そんな入学式の真っ最中なのだが、クローフィアは校長のありがたくもながーい挨拶の途中でカクンと首を落とすと、そのまま眠ってしまった。


 周りの生徒からもとっても目立っており、アカネはすごく気まずい気分だ。


 結局、その後の1時間弱、クローフィアは一度も起きることなく入学式は終わってしまった。



「クーちゃん! 入学式終わったよっ」


「……んぅ?」


「起きてほらっ、教室行かないとっ」


「……やぁぁ」


(ぐっ、か、可愛いっ……♡)

 


 いやいやと子供のように首を振り、アカネの方へ寄りかかってくるクローフィアの姿は非常に可愛らしかった。


 が、もう他の生徒は自分達のクラスへ移動を始めており、ここで眠りこけてる姿をこれ以上晒すのは非常によろしくない。


 なので、アカネは最終手段に出た。



「ごめん、クーちゃんっ!」


「ふみゃっ!? い、痛いぃ……」



 アカネはクローフィアの額にべちんっと割と強めのデコピンをかました。


 それによりクローフィアの頭は後ろ側にグワンと揺れ、流石に目を覚ましたクローフィアは額に両手を当ててぷるぷると震えながら涙目でアカネの方を見てきた。



「アカネ、酷い……」


「うっ……! だ、だってもう入学式終わっちゃって皆んな移動してるよっ。 私達も行かないと……!」


「……んん、昼間は眠い…… まだ慣れない……」


「えっ……?」


「……むにゃ」


「あっ、こらっ! また寝ようとしてっ。 ほらっ、教室行くよっ」



 それからクローフィアは半ばアカネに引きずられるようにして教室へと連れて行かれた。


 教室の席は講堂のような長机に長椅子の作りになっていて、席は自由ということなのでアカネは引きずってきたクローフィアを自分の隣に座らせた。


 そこでもクローフィアはすぐに机に突っ伏し、眠りの世界へと旅立っていった。


 やがて全員が席につき、少ししたところで教室の扉が開き、2人の男女が入ってきた。



「よしっ、全員いるな! 俺はこのクラスの担任のダッカーという! 騎士種は前線騎士だ! よろしくな!」



 ダッカーは恐らく30過ぎくらいかという活力あふれる男で、鍛えていることがわかる立派な体をしていた。



「それで、こちらが……」


「は~い、皆さんこんにちは♡ 私はリリーフィアって言うわ♡ 一応、副担任という形でお世話になるから、分からないことあったら聞いてね~」



 リリーフィアと名乗った女性は服の上からでも分かるくらいのナイスバディをしており、声や雰囲気もどこか甘ったるい妖艶な女性だった。

 


「本来、副担任という制度はウチには無いんだが、Aクラスだけは特例で、リリーフィア先生は全学年のAクラスを見てもらってるんだ」


「副担任と言っても、やってる事はスカウトに近いかしらね~? ……特務騎士の♡」



 その言葉を聞いた途端、教室にはザワっと驚きが広がった。


 特務騎士。


 それは国の超重要機密や危険な仕事を取り扱う超エリート集団で、選ばれる事は騎士の誉れとされているが、あまりその実情は明らかになっていない。



「Aクラスは毎年、成績トップの子達が集まるクラスだから、沢山見させてもらうわ~♡ そう簡単に声はかからないと思うけど、頑張ってみてね~♡」



 現役のエリート騎士であるリリーフィアの言葉に、新入生達はとても気合が入った。



「と・こ・ろ・で~♡」



 すると、リリーフィアがコツコツと履いているロングブーツの足音を立てながら教壇から生徒達が座っている席の間を歩き始めた。


 その足は一直線になぜかアカネの方へ向かっていく。



(えっ、こ、こっち来てるっ……? なんでっ!?)



 そして、アカネに手が届く位置でリリーフィアは足を止めた。


 更に、その手をアカネの…… 隣にいるクローフィアに伸ばした。



「この子はな~にをしているのかしら~……!?」


「んみ゛ゃっ!?」



 リリーフィアはクローフィアのこめかみに指を当て、アイアンクローをすると、その細腕のどこにそんな力があるのか、ギリギリと力を入れてクローフィアの事を持ち上げた。



「んぃぃぃぃ……!? り、リリっ……!?」


「うふふ~♡ ねぇ、クーちゃん? 私、学校ではいい子にするのよって言ったわよね? 貴女は入学初日で先生が挨拶している中、眠りこけるのがいい子だと思っているのかしら~♡?」


「ご、ごめんなさいぃぃぃ……!」


「あら、すぐ謝れるのはとってもいい子ね~♡」


「あ、あのっ、リリーフィア先生っ」


「うん? 貴女は確かアカネちゃんだったかしら? クラス名簿に載ってたけど~」


「お名前憶えていただけて光栄ですっ。 その、クーちゃんが……」


「あらあら~♡ この子の事をクーちゃんって呼んでくれるお友達がもうできたのね~♡ とってもいいことじゃない~♡」


「あ、えっと、それで、クーちゃんがもうすごいことになってますよ……?」



 クローフィアはリリーフィアにアイアンクローで宙に浮かされたまま、手足をぷらーんとさせて呻き声も上げなくなってしまっていた。



「心配までしてくれるなんて、貴女いい子ね~♡ 貴女に免じてまぁ、これくらいにしといてあげましょうか~」



 リリーフィアはそう言って、ぺいっとクローフィアを席に戻した。


 席に戻されたクローフィアは、先程とは違った理由で机に突っ伏し、そのまま顔を上げる事はなかった。



「お騒がせしてすみませんわ~、ダッカー先生~」


「はは…… まぁ、ちょっと教室の雰囲気も良くなったからよしとしよう。 そしたら、一人一人自己紹介をしていくぞ!」



 ダッカーの音頭で今度は自己紹介が始まり、名前と希望騎士種を言うことになった。


 一人一人自己紹介が進んでいき、アカネの番になった。



「えっと、アカネです! 希望騎士種は前線騎士で、こう見えて力には自信があるのでよろしくお願いします!」



 元気なアカネの挨拶に、教室からは拍手が送られるが、中には快く思っていない視線もあった。


 というのも、名前だけ名乗って家名がないという事はこの国では平民である事を意味し、この学校では身分は関係ないという明確なルールはあるものの、貴族の中には市民を快く思っていない者もおり、そんな市民がAクラスである事に疑いの目を向ける者も少なからずいた。


 が、アカネも当然それは覚悟の上で、むしろ割と好意的な視線が多い事に喜んでいた。



「それで、最後だが……」


「クーちゃん~♡? 起きてるわよね~? まさかさっきの事を理由にして寝てやろう、なーんて思ってないわよね~♡?」


「はいっ、起きてます……!」



 リリーフィアにそう言われたクローフィアはシュバっと顔を上げ、教室の目線が自分に集中しているのに気づいた。



「……えっと、アカネ、今なんの時間?」


「自己紹介だよ! 名前と希望騎士種言えばいいの」


「……名前はクローフィア。 希望騎士種……? リリ……?」



 そこでクローフィアは何故かリリーフィアの方を見た。


 その視線にリリーフィアはゆっくり頷いて微笑んだ。



「えっと、やり直し…… 私は特務騎士、クローフィア…… よろしく……」


「えっ……? く、クーちゃん、希望が特務騎士って事……?」


「……ん? ……いや、そこのリリと同じ特務騎士。 一緒に仕事してる」


「え、えぇぇぇぇ~~~っ!?」



 クローフィアの落とした特大の爆弾に、アカネを始め教室の生徒達が驚きの声を上げた。



「は~い、皆んな落ち着いて~♡」



 すると、教壇でパンパンっとリリーフィアが手を叩いて注目を集めた。



「驚くのもとっても理解できるわ~? でも、クーちゃんの言う通り、この子は私と同じ特務騎士の一員です~♡ 今回入学させたのはこの子自身の社会勉強と、皆んなの刺激になればと思って入学させました~。 ちなみに、私の義娘でもあるから仲良くしてあげてね~♡」



 そんなリリーフィアの言葉に、より一層教室のざわめきは大きくなるのであった。

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