序章
正真正銘の処女作となっております。
お楽しみいただければ幸いです。
えぇ…ここってもしかして…
私、転生してる?!
私は日本に住む、いたって普通、いや、とあることに異常な執着をもった女子大生だった。バイトの帰り、目の前が暗くなったと思ったら意識を失い、次に目覚めたときには中世ヨーロッパのロココ調の家具に天蓋のついたベッド。マリーアントワネットになったような気分だ。
「うん?」
自身の手を見て違和感を感じる。白魚のような手に桜貝のようなかわいらしい爪。思わず全身が映る大きな鏡の前に立つ。そこにはダークブラウンの髪に紫と翡翠色の金銀妖眼を持つ美しい少女が立っていた。
ーいやいやいや、確かに私、二次元は大好きだったよそりゃあもう。でもこんなのあり得ないでしょ。私現実主義者だよ。うん。リアルと二次元の区別ぐらい...よし、落ち着こう。ー
深呼吸をしてポーズをとる。そう、決して美少女が取らないようなポーズを。
「シェー」
ー...うそ。まじかよ。ー
美少女は信じられないことにポーズをとっていた。シェーのポーズを。
このフォルムは見たことがある。私がプレイしていた乙女ゲーム『秘密は薔薇の下に埋めましょう』のライバル令嬢ジュリア・フォン・ローゼンバーグだ。
「今更中二病とか笑えないんだけど!?私、流行に乗らない質なんだけど⁉なんでライトノベルでよくある悪役令嬢転生みたいになってんの~‼」