五十三、ボス戦
ボス部屋の中に入ると、暗かった部屋が急に明るくなる。そのことに驚いているアリスとクリス。俺とミラーさんは経験したことがあるため驚くことはない。
明るくなった部屋の中、中央に体長三メートルくらいあるモンスターが、自分の身長の半分くらいの大きさの剣を持っている。
「あれが、ゴブリンキングですか」
「そうだ。あのデカイ剣には気を付けろよ。今の俺達でもただでは済まないぞ」
『はい!』
俺の言葉に返事をするアリスとクリス。
「布陣はどうしますか?」
「いつも通り、俺とクリスが前衛で、アリスとミラーさんが後衛で行きましょう」
「そうですね」
「後の指示はミラーさんお願いしますね」
「分かりました」
俺とクリスがゴブリンキングに向かって行く。
「アリスさん、ゴブリンキングの両隣に魔法を放ってくれますか?」
「できますが、そんなところに放ってどうするのですか?」
「今に分かります」
後ろからミラーさんがアリスに指示を出す声が聞こえてくる。今回の指示の意図は今のアリスには分からないだろうな。
「ファイアーランス!」
俺達が走っている横を通り抜けていくファイアーランス。ゴブリンキングの横から姿を見せたゴブリンライダーに命中。一撃で倒した。
「凄いです。五体もいたモンスターを一撃で倒すなんて」
「クリス気を抜くなよ。あいつらはゴブリンキングを倒さない限り復活してくる。数秒程余裕はあるが、そんな有余はないぞ!」
「分かりました」
俺とクリスはお互いに身体強化を使いゴブリンキングに攻撃を仕掛けていく。
最初は特に何もせずに純粋な剣と槍での攻撃。それに合わせるように、後方にいるアリスとミラーさんからの援護攻撃が飛んでくる。目を潰そうとした攻撃。その攻撃に対してゴブリンキングは手に持っている長い剣を一振り。それによっておこる風で、アリスとミラーさんの攻撃をしのいで見せた。
そのまま手を休める事なく俺達へと攻撃を仕掛けてくる。既に攻撃の体勢に入っていた俺とクリス。ギリギリの所で武器で攻撃を受け止めたが、後方へと吹き飛ばされてしまう。壁に突撃した俺達であるが、
「凄い攻撃力ですね」
「そうだな。体格がかなりいいからその分パワーもあるわけだな」
俺とクリスは何事もなかったかのように立ち上がる。冒険者服と自身が持っている物理耐性のスキルのおかげで殆どダメージはない。
「マイルさん、あのような感じでよかったですか?」
「十分ですよ。ですが、ゴブリンキングを狙う時は魔法に込める魔力量を増やしてもらえたら問題なく倒せると思いますよ」
「すみません。普段の戦闘を癖が抜けてなくて」
「アリスもか」
「はいそうなんです。ゴブリンライダーを一撃で倒せたから問題ないかと思ったんです」
この一週間、魔力効率など考えた戦闘をするために、魔法を放つときは最低限の魔力で攻撃を行っていた。それにより二人は、かなり少ない量の魔力でも魔法の放てるようになったんだが、それが癖になってしまっていたようだ。
「でも、もう大丈夫です」
「私もです」
二人から頼もしい声が聞こえた。それなら心配ないか。
「クリス、そろそろ属性付与使ってみるか?」
「いいんですか?」
クリスにも一つ制限を掛けていた。槍での攻撃の精度を上げてもらうために、身体強化と属性付与のスキルの使用を禁止していた。そのおかげでかなり槍を使えるようになってくれた。
身体強化のスキルに関してはダンジョンに入る前に解禁していたが、属性付与に関してはまだだっため、解禁の許可を出した。
「いいぞ。どの属性を付与して攻撃をするかはクリスの判断に任す」
「やってみます」
俺はとクリスは再びゴブリンキングに向かって行く。アリスとミラーさんが取り巻きであるゴブリンライダーを抑えてくれているため、ゴブリンキング一体に集中できる。
俺は武器に火の属性を付与、攻撃力を上げる。隣にいるクリスは風属性を付与して少し離れた所からでも斬撃を飛ばせるようにしている。初めてにしてはかなりいい判断だ。
それに、アリスとミラーさんがゴブリンキングに向かって攻撃をしてくれている。それにより少しずつではあるが、体力を失っている。
「マイルさん、クリスさん攻撃来ます! 左右に避けてください」
ミラーさん声が届く。その声を聞き、俺とクリスは左右に避けると、ゴブリンキングの剣が俺達が走っていた場所に振り下ろされた。
「クリスさん今です!」
その声を聞いたクリスは猛スピードゴブリンキングに突きを放つ。その攻撃に合わせてゴブリンキングが剣で防御を固める。
先ほど攻撃をしたところなのに戻りが早い。
だが、ゴブリンキングは忘れている。もう一人いる事を。
「いくら強くてもゴブリンはゴブリンか」
俺はゴブリンキングの背後を取り、剣で首を斬り落とす。それにより、力なく崩れるゴブリンキング。
「終わりですか?」
「そうだな。後は」
俺は体が消えていくゴブリンキングを無視して部屋の中央に目をやる。すると、そこには先ほどまでなかった宝箱が姿を現していた。
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