アリスサイド
隣でマイルさんがケイルに話しかけている。たぶんマイルさんも、ケイルに何を言っても無駄だと思っているのでしょう。それでもマイルさんは優しいから、少しでもケイル達の罪が軽くなるようにしようとしておられるのですね。マイルさんのパートナーである私のすることは、
「キリエさんとライラさんでしたか?」
「な~に、初心者冒険者が私達に命乞いでもしようって言うのかしら」
「いえ、そんなことはしませんよ。と言いますか、先程の私の魔法を受けてなお、そのような言葉が出るなんて凄いですね!」
「生意気! 年下で初心者のくせに」
「そうね。あんなクズに付きまとっているだけのバカのくせに」
「本当に仕方がない人達ですね。でも、マイルさんならきっとこう言いますよ。素直に投降しませんかとね」
私は、この人達に情けを与える必要なんてないと思う。けど、マイルさんならきっとそうするから私もそうしただけ。あの人のように強くなりたいから。
「あんた、本気でいってるのかしら? 私達はAランク冒険者なのよ。実力も上で、冒険者をやっていた時間もあんたより長いの。その私達があんたに負けるはずないでしょ。さっきは油断しただけなんだから」
何処からこれほどの言い訳が出てくるのだろうか。
「Aランク冒険者って元ですよね? それに実力が上って言ってましたけどあなた達程度の魔法はDランク冒険者でも撃てますよ。それに時間なんて関係ないですよね。私の方があなた達よりも強いんですから。それに油断しただけと言っていましたが、そもそも、あれだけ必死な顔で魔法を放っていて、油断をしただけなんてよく言えましたね」
私は笑顔で言う。そんな私に二人は、
「ガキが生意気言うんじゃないわよ!」
「殺してやる」
キリエとライラは私に的確な殺意を向けてくる。
「ライラやるよ。あの子殺すよ」
「分かった。マイル生きていればそれでいい」
ライラが私に向かって矢を射てきた。それに合わせてキリエがファイアーボールを放ってくる。お互いの攻撃が邪魔をせずに、矢の後ろにぴたりと合わさっている。息の合っている連携ではあるが、
「期待外れかな」
私は風魔法の盾、ウィングシールドを発動して攻撃を防ぐ。魔力量は最低限にしている。このシールドを突き抜けてくれば少しは面白い戦いが出来ると思っていたけど、正直残念。
私は、この人達に時間を使っていてもしょうがないなと思い、
「身体強化」
身体強化のスキルを発動して基礎能力を底上げし、腰につけている短剣を抜く。地面を思いっきり蹴り、キリエに向かって行く。それに対して魔法で応戦してくるも、威力が低いために、ダメージはない。これも魔法防御のスキルのおかげ。
「なんで効いてないのよ!」
あれ? 私、さっきもあのケイルとか言う人の魔法を受けてピンピンしてたのに何でそんな驚いているのかな? もしかして忘れているのかな? そうだったらこの人かなり頭悪いよ。
「私がやる」
ライラが矢で私を狙ってる。
「はぁ~、その攻撃はさっきも見たよ」
私は、先程と同じ攻撃をつまらなく思い、
「サンダー!」
雷の魔法のサンダーを放つ。この魔法は対処の頭上より威力の小さな雷を落とす魔法。対象を倒すことは出来ないが、意識を奪うことは出来る。そのため対人戦などで相手を無力化したいときによく使われる魔法である。
私の放ったサンダーを受けたライラは、狙い通り意識を失っている。
「え!」
そして、キリエがそのことに驚き、意識をそちらへと向けた一瞬に間合いを詰めて首元に剣を突きつける。
「終わりです」
「そうかしら?」
キリエはまだ何かを狙っている様子。でも、もう何もできないのではないかと思っていたら、私の周囲を囲むような形で十数本のファイアーランスが展開されている。
「正直魔力はギリギリだけど、これであなたも終わりね」
「奥の手がどの程度かと思いましたが、この程度でしたか」
私は、キリエと同じファイアーランスを同じ数用意して、キリエの展開しているファイアーランス目がけて放つ。そして、両方のファイアーランスは消滅してしまった。
「どうして」
私はまだ魔力も残っている。だが、キリエにはもう殆ど魔力は残っていないだろう。
「これでおしまいですね」
私はライラの意識を奪った時と同じ、サンダーの魔法でキリエの意識を奪って戦闘終了となった。
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