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僕の相棒はたくましい右腕 ~冒険者には恐れられがちな邪腕ですが~   作者: スープ愛好家
第一章 邪腕とバルクスク
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先輩冒険者

実生活が落ち着いてきたので再開します


 ジェスターさんが通話機(マナフォン)で誰かに連絡をとって間もなく、店に女性が勢いよく入ってきた。


 恐らくジェスターさんに呼ばれた人だろう。


 派手な赤いロングヘアで赤銅の鎧を身につけ、上から黒いマントを羽織っている。


 腰には僕と同じで、長剣を携えていた。


 背が高く、ナイスバディさが鎧越しでも十分に窺える。


 その上美人だ。


 「よおジェスター!お前から呼ぶなんて珍しいじゃねえか!レアな素材でも手に入れたか?それとも飯か?」


 その自信に満ち溢れた表情と同じく、活発で男勝りな性格をしているようだ。


 「やあリフィア。今日はちょっと会ってほしい子がいてさ。ご飯はお礼で奢るから」


 「そいつはありがてえや。それで…その会ってほしいのが、彼か?」


 そう言ってリフィアさんという女性は僕を見定めるように見下ろした。


 「…お?君もしかして長剣使い(ロングソードマン)か?」


 「その通りです。どうも、ハルクといいます」


 「あたしはリフィアだ。よろしくな」


 そう言ってリフィアさんは僕に向けて手を差し出した。


 「それでジェスター、あたしを呼んだのは彼に会わせるためだけか?それだけってわけじゃねえだろ?」


 リフィアさんは含みのある言い方をする。


 「その通りさ、リフィア。ねえハルク君。君、長剣使い(ロングソードマン)なんだよね?リフィアと模擬戦やってみてよ」


 「模擬戦、ですか」


 なるほど、模擬戦か。


 そういえば今まで長剣使い(ロングソードマン)に一人も出会ったことがないかもしれない。


 剣士の中でも長剣(ロングソード)を使う人って少ない、と長剣を売ってくれた行商人も言っていた。


 そのため僕は個技(パーソナルスキル)と剣の使い方の本を頼りに独学で身につけたのだ。


 何やら普通の長剣使い(ロングソードマン)とは少し変わった戦い方になってしまったらしいけど…


 「えーとね、僕とリフィアは十年以上冒険者をやってたんだけど、他の長剣使い(ロングソードマン)に会ったことは殆どないんだ。だから貴重な長剣使い(ロングソードマン)の戦い方を見せてほしくてさ」


 「あたしの場合は剣を習った師匠が長剣使い(ロングソードマン)だったからその技を受け継いでここまでやってこれた。だが君を見た感じ冒険者としては初心者、しかし長剣使い(ロングソードマン)としては底が見えない。正直気になって仕方がねえ」


 …目がギラギラしていてこわいです、リフィアさん。


 「はい、受けて立ちますよ。僕は人と戦ったことがないので参考にさせてほしいので」


 「おお、殊勝でいいもんだ!じゃあ早速、あそこにいくぞ!ジェスター!」


 「はいはいわかってるさ、君がそういうときはいつもあそこだからね」


 すると二人は示し合わせたように立ち上がって店を出たので、僕もそれについて行くことにした。


 ----------


 「模擬戦といえばやっぱりここだよな」


 「ここを訪れるのも数ヶ月ぶりだね」


 二人に連れられて着いたのは冒険者ギルドだった。


 僕にとってはさっきぶりだ。


 リフィアさんは乱暴にドアを開けて中に入る。


 すると、その姿を見て周りがざわついている。


 「おい、見ろよ。"赤銅(ブロンズ)"のリフィアが居るぞ」

 「最近見かけないと思ってたら。どこで暴れてたのかねえ」

 「なあ、おい。よく見たら"便利屋"のジェスターも一緒に居ないか?」

 「彼は引退して防具屋やってるからここに来るのは珍しいわね」

 「あの二人付き合ってんのかな」


 二人を見て話してるみたいだけど、はっきりとは聞こえない。


 まあそんなに重要な話じゃなさそうだし別にいいか。


 「これは、リフィアさん、ジェスターさん。お久しぶりですね」


 「よおアリーナ」

 

 「久しぶりだね、アリーナ」


 二人とアリーナさんは顔なじみのようだった。


 だとしたら、3人とも年齢が近いのかな?


 「あら、ハルクさんもご一緒ですか」


 「こんにちは。さっきぶりです、アリーナさん」


 「こんにちは。しかし、どうしてお二人とハルクさんがご一緒にしているんですか?」


 「ああ、ハルクと模擬戦をやろうと思ったんだ」


 「そのために地下運動場のスペースを借りよう、という話になったんだよ」


 「地下運動場を使用するのは冒険者の権利の一つなので問題ありませんけど…あの、リフィアさんとハルクさんが?」


 アリーナさんは心配そうに僕を見て、リフィアさんに問う。


 確かに、リフィアさんは見るからに腕の立ちそうな冒険者で、明らかに初心者の僕が太刀打ちできるとは僕も正直思えない。


 「大丈夫大丈夫、彼恐らくまあまあの熟練者だから。アリーナがハルク君のこと知ってるってことはステータスとかも見たんじゃないの?」


 「そういえば見ましたけど…」


 暴虐腕(タイラントアーム)を間近で見ちゃうっていうステータスを忘れるくらいのこと起こってましたからね。


 「とにかく模擬戦やるからさ。困ったらジェント呼んできたらいいしな。じゃあ行くか」


 リフィアさんは呆気にとられるアリーナさんに構わず地下運動場の方に向かって行った。


 「いやーごめんね、アリーナ。でもとりあえずジェントは呼んできて欲しいかな、よろしく」


 そう言ってジェスターさんも同じく地下運動場へ向かって行くので、僕もそれについて行った。



 「…はぁ、相変わらず強引なんだから。早くジェントに伝えないと」


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