一人と一本の巣立ち
新連載始めていくゥ!!
「ついに行っちゃうのね。ハルク、レフ」
母さんがしみじみと僕に言う。
「そんな風に言わなくても、たまに帰ってくるよ、母さん」
「それにしてもよ。冒険者なんて危ない職業、いつ死ぬかわからないじゃない」
「まあまあ、結局は許したんだから。温かく見送ってやろう」
父さんの言葉に母さんは「それもそうね」と答える。
「ハルク、なんか酒のつまみになりそうなやつ頼んだよ」
「ハルクお兄ちゃんわたしもあまいものたべたいなあ」
「いやいや旅行行くんじゃないんだからさ…まあ買ってくるよ」
農村暮らしのみんなには一度贅沢させてあげたいし。
「ハルク、元気でやるのよ」
「レフガンディ、ハルクを頼んだよ」
「ハルクお兄ちゃん、ちゃんとかえってきてね。レフもだよ」
「ブー」
父さん、母さん、ミルカ、アルト。
大切な家族が全員で見送ってくれる。僕たちは幸せ者だ。
「それじゃあ、行ってきます」
「ああ、気を付けて」
僕とレフは大切な我が家を後にした。
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「…行っちゃったわね」
「そうだな。でも、二人とも優しくて強い子だ。そう簡単にはくたばらないさ」
「そう願うわ。一つ気がかりなのは…あの子たちを知らない人がレフを見て驚くかもしれない
ことかしら」
「ははは、それは確かにね。僕たちもハルクがレフを拾ってきたときにはすごくびっくりしたからね」
「まさかわが子が邪腕を飼いならしてくるなんてね」
「聞いたところにはかなり強いアンデッドだって聞いたけど」
「レフを見てそうとは思えなかったわね」
「レフはとってもいいこだよ。わたしがないてるときになぐさめてくれたもん」
「うん、そうだね」
「よし。さあ、今日からハルクとレフの分も力入れて仕事するわよー!」
「ハルクたちが帰ってきたときまで俺たちも頑張るぞ!」
「「「おーーー!」」」