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りなの彼氏  作者: 凪子
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05

「これ、売り上げです」


1万円を手渡すと、安井さんは「お疲れ」とにっこり笑ってねぎらってくれる。


この笑顔が欲しいばかりに破滅した女のしかばねが、うず高く積まれているのが見える。


「次ちょっと遠いけど、鈴木に車出させるから行ってくれる?」


「どこですか」


「芝公園」


「あー、無理ですね。てか私、そろそろ帰るんで」


「もう帰っちゃうの?今日1本しか行ってないじゃん。行けるとこまで3本でも4本でも行っときなよ」


「門限あるんで。親には部活って言ってあるんですよ」


と私が言うと、安井さんは吹き出した。


「やべー、超ウケるんだけど。菜子ちゃんて意外と面白いね」


「安井さん」


「ん?」


「そろそろプレーヤーは引退して、私もりなみたく打ち子の仕事したいんですけど」


安井さんの目が銃口のように引き絞られた。


まばたきもできないような威圧感、言い終えてしまった後悔が苦く舌を刺す。

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