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私がバイトを始めたのは最近だけど、りなと安井さんはもっとずっと前からの知り合いみたいだった。
りなは売れっ子デリヘル嬢として店を支え、1人でかなりの額を稼いでいたらしい。
「最近、りな見ないんだよね」
1本終わって事務所に戻ると、安井さんが煙草を吸いながら何気なく言った。
「菜子ちゃん聞いてない?」
「私も会ってないですね。ていうか、そもそも学校来てないんですよ」
「いつから?」
「10日くらい前からかな」
呼吸の乱れ一つ許されない、毛ほどの動揺も見せてはならない。
こういう時の安井さんは、すさまじい勘と洞察力を発揮する。
黙って息を詰めていると、部屋中に染みついたメンソールの匂いに頭がくらくらしてきた。