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「安井さん。どこにいるんですか」
『捜すのに結構苦労したんだよ、俺も。でもまさか、身内から裏切り者が出るとは思わなかったからさ』
嗚咽とも悲鳴ともつかぬ、この世のものとは思えない恐ろしい叫び声が、断続的にこちらに伝わってくる。
私は総毛立った。
『つか、スカウトの話だったよね?今回さ、俺も色々考えたんだけど、やっぱ菜子ちゃんにはプレーヤーでやってもらおうと思うのね』
「もういいですから!わかりましたから。とにかくそっちに行きますから、場所教えてくだ」
言葉が終わらないうちに、「ああああああああああ」という絶叫が響き渡った。
それ以上の恐怖に耐えきれず、私は電話を切ってしまった。