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骨なんかよりもっと奥、どうしても刺さって抜けない棘がある。
「あ、ぐにった」
国道沿いのロイヤルホストで、私と沙希は向かい合って座っている。
沙希は最近ネイルにはまっていて、グラデーションに染まった指先に慎重に一粒ずつキラキラしたラインストーンを接着剤で張りつけている。
手先が器用じゃないくせにこだわるから、乾ききってないのに塗り重ねたマニュキアがえぐれて断層になっている。
指先1センチで起こる惨劇。
「ていうか聞いた?りな、彼氏できたらしいよ」
薄いオレンジジュースのストローをつまんでかき混ぜながら、気だるげに言う。
「またLINEで知り合った人?」
「いや、普通に紹介だって。店の関係の人かもしんない」
「あーね」
と適当な相槌を打ち、私は携帯の上を流れるおびただしい数の文字に目を落とす。