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隣の家の可愛いと有名な三姉妹は俺の幼馴染み

作者: 来留美

俺の名前はユウタ。

俺の家の隣には三姉妹が住んでいる。

昔から三姉妹は俺の家へ遊びに来る。

そして今日も来る。


「ユウくん」

「メイ。勝手に俺の部屋に入って抱き付いてくるのはやめてくれるか?」


今、俺の部屋に勝手に入って来て抱き付いてきたのは三姉妹の真ん中のメイ。

彼女の見た目を言うなら目がパッチリ二重で大きく、フランス人形のような可愛い顔の女の子だ。

メイは中学生。


「ユウタ。このマンガ見せて」

「おい、レイ。俺に承諾を得る前に読んでるじゃないか」


次は三姉妹の一番下のレイ。

レイは男の子のように見えるショートカットだが、顔は女の子だ。

レイも大きな目でそれに左目の下に小さなほくろがあるのが可愛い。

彼女はこの三姉妹の中で一番、中身が大人だ。

レイは小学生なのに。


「ユウくん。また彼氏に浮気された」

「お前、それ何回目だよ」


最後はこの男運のないアイ。

アイも可愛い顔をしているがその顔に寄ってくるのは悪い手癖のある男ばかりだ。

アイは俺と同じ歳で高校生だ。


「アイはもっとちゃんと男を選べよ」

「だって、格好いいんだもん。私に優しいんだもん」


アイは泣きながら言う。


「分かったから」


俺はアイの頭を撫でる。

そしてアイの涙は止まる。


「私が自分で選ぶからダメなのかな? それならユウくんに選んでもらおうかなあ?」

「俺?」


選ぶって何だよ。

好きな人って自然にできるんじゃないのか?

誰か男を紹介しろってことなのか?


「アイ。ユウタに選んでもらうのはおかしな話だよ」

「レイ? 何で?」

「ユウタが選んでアイはその人を好きになれるの?」

「あっ」

「自分の何がダメだったのかちゃんと考えてまた好きな人を作ればいいんだよ」

「そうだよね。レイ、ありがとう」


高校生の姉が小学生の妹に言われて納得している。

レイは本当に小学生なのか?


「レイ、すごいな」

「ユウタには紹介できるようなイケメンの友達はいないでしょう? 私が助けてあげたの。だからジュース」


レイはそう言って俺に手を出している。

ジュースを持って来いという合図だ。

俺は小学生にパシられている。


こんな三姉妹が俺の部屋に毎日のように来る。

顔はいいのに少し特徴のある三姉妹だ。



ある日、俺と三姉妹はショッピングへとでかけた。


俺の左の腕にメイが腕を絡める。

そして俺の右手を握るのはレイ。

そしてレイの横にアイ。

そんなふうに歩く。

これが昔からの俺達の歩き方。


「あの美少女達はいいけどあの男の子はいらないよね?」


おいおい。

聞こえてるぞ。

俺らを見ている女子高生達よ。

俺の悪口しか聞こえない。

最近はよく聞く悪口。

もう慣れた。


するとレイが俺の手をギュッと握った。

俺はレイを見る。

レイは首を横にふる。

そう。

気にするなと伝えている。

俺も分かっていると言うように握り返す。


アイが行きたいと言っていたお店へ入る。

俺が入っても何も楽しくない。

アイとメイは楽しそうにいろんな物を物色している。


「レイは買わないのか?」

「私には可愛い物は似合わないから」

「何で? レイは可愛いから何でも似合うと思うけど」

「それなら私に似合う物を教えてよ」

「分かった」


俺はレイに似合う物を探す。

その間にレイはアイに呼ばれていなくなっていた。

俺はレイがいない間にレイに似合う物を買った。

そして三姉妹が俺の所に近づいてきた時に店員が衝撃的なことを口にした。


「兄妹でお買い物? お兄さんと離れないように気を付けてね」


俺達はみんな固まった。

俺がこの三姉妹の兄?

店員にはそんなふうに見えるのか?


「ユウタ。帰ろう」

「レイ?」

「私はもう、帰る」

「レイ。どうしたんだよ」


レイは帰ろうとするから俺はレイの手を握る。

レイは俺の顔を見て泣きそうだった。


「アイとメイはまだいるだろう? 俺達は外で待ってるから好きなだけ見てていいよ」

「レイは大丈夫なの?」

「アイ。レイは俺が見てるから」

「うん」


そして俺とレイは店の外へ出る。


「レイ」


俺はレイの頭を撫でる。


「どうしたんだよ?」

「だって、私のせいでしょう?」

「何が?」

「ユウタがお兄さんに見えたのは私のせいでしょう?」

「何でレイのせいなんだよ?」

「私が小学生で子供だからだよ」

「レイだけじゃなくてアイもメイも俺の妹に見えてたと思うよ」

「みんな?」

「レイ達、三姉妹と一緒に来るのは兄弟だって店員さんは思っただけだよ。レイが気にすることないよ」

「でも……」

「俺はレイが三姉妹の中で一番、大人だと思ってるから」

「アイより?」

「うん。アイは同じ恋愛繰り返すし、メイはおっとりしてて自分じゃ何も決められないし、それに比べてレイはしっかりしてるお姉さんみたいに二人を支えてる」

「でも、アイみたいに身長は高くないし、メイみたいに女の子らしくないよ?」

「見た目じゃないよ。俺はレイの中身が好きだよ」

「好き?」

「うん。レイは可愛い」


俺はレイの髪をくしゃくしゃにする。


「ユウタのバカ」


レイはいつの間にか笑っていた。

そしてアイとメイはお店から出てきて俺達は家へ帰る。


「アイ」


三姉妹の家の前に男がいた。

アイの名前を呼んだ。


「何でいるの? もう終わりって言ったでしょう?」

「アイ。聞いてくれ。あれは誤解なんだ」

「もう、いいから」


アイの中ではもう終わっているみたいだ。

面倒な男だな。


「アイは俺のだから」

「ユウくん?」

「そうだろう? アイ」


俺はアイに目配せをして話を合わせるように伝える。

アイは俺に合わせる。


「そうよ。ユウくんが私の新しい彼氏なの」

「分かったか。俺達は付き合ってんの」


男は逃げるように帰っていった。


「ユウくん。すごい」


アイは俺に抱き付く。

そんなアイの頭を撫でる。


「ちゃんとアイを愛してくれる男を探せよ」

「うん。ありがとう。ユウくんにしようかな?」

「俺?」

「ユウくんなら私を大切にしてくれるでしょう?」

「俺は君たち三姉妹が幸せになるのを見てるよ」

「どういう意味?」

「君たち三姉妹の隣にいるのは俺じゃないよ」

「何で?」

「小さい時から一緒にいる君たちを好きになれると思うか?」

「そうだよね。それならユウくんみたいに優しい人を探すよ」

「そうだな」


そして三姉妹は自分の家へ帰っていった。

俺は部屋に戻ってポケットに何か入っているのに気付いた。


「あっ、レイにあげるはずだったのに。明日でいっか」


そしてそれを机の上に置いた。



次の日、俺が目を覚ますと俺の机の前に誰かがいた。


「誰?」

「ユウくん、おはよう」

「メイ。おはよう」

「これって私に?」


メイはそう言って俺がレイの為に買った物を見せてきた。


「それはメイのじゃないよ」

「えっ、私のじゃないの? 絶対私の方が似合うよ」

「ダメ、それはメイが似合うと思って買ってないからね」

「それなら誰に似合うと思って買ったの?」

「レイ」

「レイ? レイには似合わないよ。こんな可愛いの。それにレイは可愛い物が嫌いだし」

「そんなことないよ。レイは可愛い物を好きだよ」

「嘘よ。私が持ってる可愛い物を可愛いなんて言わないよ。レイがそんな可愛い物つけてたら絶対似合わないよ」


『ガタッ』


俺の部屋の外で音がした。

俺は部屋のドアを開ける。

レイが目に涙を溜めて立っていた。

そしてレイは逃げるように自分の家へ戻る。


「レイ!」


俺が呼び止めてもレイは帰っていった。

俺はすぐにレイを追いかけた。

レイの部屋のドアを開けようとしたが鍵がかかっている。


「レイ! レイ!」


俺はレイを何度も呼んだ。

それでもレイはドアを開けない。


「レイ。開けてくれないならそのまま俺の話を聞いて。メイに悪気はないから。それだけは知っててよ」

「…………」


レイは何もこたえない。


「レイ。昨日の君に似合う物、渡したいんだけど。開けてくれないと渡せないよ」


するとレイは少しだけドアを開けた。

無理矢理ドアを開けられるけれど俺はその隙間からレイに渡した。

レイは受け取ってくれた。

そして小さな隙間からレイの声が聞こえる。


「これが私に似合うの?」

「うん。レイに絶対に似合うよ」

「こんなの持ってないから付け方が分かんない」

「それならこのドアを開けてもいい?」

「うん」


そして俺はドアを開けてレイの部屋に入る。


「レイ。付けてあげるからおいで」

「うん」


レイは俺に近づく。

俺はレイの髪を耳にかけて耳のすぐ上にリボンがついたヘアピンをつけた。


「やっぱり似合う。可愛いよレイ」

「本当?」

「うん。鏡を見てみて」

「本当。可愛い」

「初めて自分が可愛いって思った言い方だね」

「うん。初めて思ったよ」

「えっ、レイは可愛いよ。知らなかったの?」

「うん。だっていつもメイやアイが言われてたから。私はいつも格好いいねなんて言われてたの」

「レイは可愛いよ。絶対に可愛いよ」

「ユウタ。必死過ぎだよ」

「だってレイ自身が可愛いのを知らないなんてもったいないからね」

「もったいないの?」

「そうだよ。レイは可愛いのに可愛い物を付けなかったり、可愛い物が本当は好きなのに言わないのはもったいないよ」

「知ってたの?」

「知ってるよ。何年、隣に住んでると思ってんだよ」

「私だけ?」

「ん? 何が?」

「私だけ? それともメイやアイのことも何でも知ってるの?」

「あの二人は何も隠してることないだろう?」

「そうだね」

「だからレイだけだな」

「嬉しい」


レイは嬉しそうに笑った。



「レイもそんな可愛い笑顔するんだね」

「えっ?」

「やっぱりレイも女の子だね」

「私が女の子になるのはユウタの前だけ」

「えっ」

「私はユウタの前でだけ女の子になれるの」

「えっと、それは?」

「好きよ。ユウタのことがね」

「俺は高校生でレイは小学生だよ?」

「だから? 私達は同じ学生だよね?」

「そうだけど、小学生ってまだランドセルだよ?」

「ランドセルって関係あるの?」

「それは分からないけど。ちょっと待ってくれ。頭の中を整理するから」


俺は頭の中で整理する。

レイは小学生で、

俺は高校生で、

レイは俺が好きで、

俺もレイが好きだけど、

その好きはレイと同じなのか?



「分からない」

「ユウタ?」

「時間をくれないか? よく考えたいんだ」

「いいよ。でも私はもうすぐ中学生になるよ。そしてユウタより好きって思える人ができるかもよ」

「その前には必ず答えを出すから」

「それなら待ってるよ。私はずっとユウタが好きだと思うから」


レイは笑いながら言った。


それからレイは中学生になった。

俺とレイの関係はまだ何も変わらない。

隣の家に住む幼馴染みの三姉妹の一番下の女の子。

そしてもう一つ。

何も変わらないものがある。

それはレイの髪についているリボンのヘアピン。

あげた日からレイはずっと付けている。

そんなレイの髪はショートカットからロングへと変わっていた。

そんな髪型もレイには似合っている。

レイの髪型が変わったように俺の気持ちも変わったんだ。


「レイ」

「何? ユウタ」

「レイ。好きだよ」

「えっ」

「俺はレイが好きなんだ」

「ユウタ。私も大好きよ」


レイは俺に抱き付いた。

レイの身長はあれから伸びていた。

もう、子供なんて言われない。

俺はレイを抱き締める。


「丁度いい」

「何が?」


レイは俺を見上げる。

レイの首を傾げる姿が可愛い。


「レイの身長だよ」

「ん?」

「身長が高くもなく、低くもなく、丁度いいんだ」

「前は低すぎたよね」

「そうだね。今はキスするのに丁度いいよ」


俺はそう言ってレイにキスをした。

レイはゆっくり目を閉じた。

目を閉じたレイを見て俺も目を閉じた。

レイとの初めてのキスをちゃんと脳裏に焼き付けたくて。

読んで頂きありがとうございます。

人は見た目じゃなくて中身で判断してほしいですね。

楽しく読んで頂けたら幸いです。

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― 新着の感想 ―
[一言] なんで来留美さまはこんな甘酸っぱいものを・・ ぐわっ・・身悶えるくらい甘酸っぱい。 梅酒・・うわっ甘っ しかし、あーだこーだ言いながら癖になってるわたし・・
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