表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王とかどうでもいいので放っておきます  作者: 柏木みなと
異世界テンプレ
6/7

やり過ぎくらいがちょうどいい






「実感湧かなかったけど、俺今お城にいるんだよね~」

「思った。テレビでこんなん見た事あるなって思ってた」

「ミコ的にどう?女の人ってお城とか小さい頃夢じゃなかった?俺の姉さんはそうだったんだけど」

「めっちゃ憧れてました。なんせ目につくもの全て”和”だったもので」

「それは憧れもするね」



これでも逃亡中である。本当はケンに姿消すとかそんなん出来ない?とか言ってたんだけどそれなら盗賊ってより暗殺者じゃね?となり、静か~に歩いてる。時折兵士みたいなのがいるので、レンが催眠ガスとガスマスクを出して乗り越えた。



「思ったけど魔法とかは何使えんの」

「えっとね。使えるジョブも決まりがある、まんまRPGと同じと思って。俺とトモは使えないよ」

「えっちょっとショック」

「解る。ケンとミコは魔法適正あるみたいだよ、言うの忘れてたけど”ステータス”って言ったら使える魔法とかスキル、技、あとあれ。魔力量とか見える」

「RPGか????」

「なんでもありだなおい」



ステータス、と呟くとMP30000という文字とスキル;やり直し<失敗した料理などをやり直す事が出来る>、調理開始<必要な調理器具などを出す事が出来る>、混入阻止<異物混入が見ただけで解る、また成分が解る>、と書いてあった。最初だけでこんなあんの?



「てかヤバくない俺飯とかに毒入ってても解るみたいよ」

「外で野宿になっても安心安全じゃないですか。私魔法は良くある回復だの異常回復だのでしたよ」

「俺魔法でスピードめっちゃ速くなるのあったわ」

「ま?どんくらい?」

「ゴキブリより速い?」

「レン頼むからGと並べんのやめてくれや。重ね掛け出来るみたいだからとにかく速い」

「実質Gじゃん三メートル離れてね」

「ホイホイあったかな」

「キンチョールダメでしたっけ?」

「なんで俺はいじられてるんだ?ん?」




緊張感がない。でも頭の中にミコが『周囲に兵士、レンさん催眠ガスなんか爆発するみたいなの出してください。毒でもいいです』と響かせてきた。ミコがなんかこうチャンネル接続するみたいにしたので全員考えただけで会話出来る。ただ考えた事全部垂れ流しっていう弱点があるので余計な事も流れるのだが。



『毒でいいじゃんガスマスクしてるし』

『こっわ』

『誰だよトモの事ピアスバッチバチだけど物腰柔らかいから大丈夫とか言った奴』

『ピアスと中身は関係ねぇだろがぁ』

『頼もしいけど、周りの奴多分魔法部隊だから魔封じ系の道具がないか調べるから待って貰える?』

『こっっっっっわ』

『レンさんが一番怖いのでは』

『役立たず言われた時に食い下がった男だぞ怖くない訳ないだろ俺は怖くない』

『トモ一緒に怖い組入ろうね』

『可愛い組のがいいな怖い組はミコと入ってね』

『古今東西の呪いを知っています』

『優勝しちゃった』



あ、見つけたよなんて頭に響いて、瞬間にパリン!!!って音と共に煙が舞った。お前ガスマスク付けてるとはいえせめて事前に言えや怖いわ。


周囲が混乱に満ちた。そしてレンがまた次の瓶を割る。それなに?と問えば『なんか血いっぱい出るらしいよ』と返ってきてケンがガチ目に引いた目をしていた。解る。



『ねぇ壁にかかった剣とか貰っていいかな』

『鑑定結果は模造品なので威力がクソほどないらしいよ』

『鈍器にはなりますよね?』

『あ、はい鈍器としてはいい感じ』

『トモさんケンさん、持っていきましょう』

『時代劇かな』



こうして壁にかかった剣を数本拝借して走り出す。レンが城の中の見取り図を見た事があったのが良かった、もう少しで外に出れる。


ところで、俺は元の世界では結構喧嘩慣れしていた。小学校じゃ悪ガキだったし、中高では気に食わなかった奴をボコボコなんて当たり前。性格上正社員として入った会社で新人イビリしているクソ上司のカツラはぎとってクビになったとかザラ。イビられてた奴等からは拍手喝采だけど、生きにくい世の中なもんでバイト先を転々としていた。用心棒だってした事がある位。


つまりまァ、何が言いたいかというと。


もうすぐ出口って時に急に方向転換した俺に皆驚いた。ミコは索敵出来るけれど、落ち着いていないと出来ないみたいだ。出口の柱の裏に隠れていた男を速やかに蹴り飛ばし、引きずり倒して鎧と兜の隙間、首を踏みつけた。



「なんで、」

「俺だったらもっと上手く隠れっからだよボケナス」

「だから怖いんだって」

「あら、気付かなかったけど…また囲まれました」

「あれ騎士だな。また毒使うか」



「止まれ賊共!止まらねば殺す!!」



鎧着た沢山の騎士がずらりと並ぶ。出口は重そうな扉だから開けてる間にやられるだろうな。この状態なら毒の事もバレてるみたいで隙がない。


思ったんだけど、剣の作り方とかよく知らんけど、熱して、叩いて伸ばしてする訳じゃん。それって一種の料理と相違ないのではないか。



『またなんか突拍子もない事言ってんぞ』



ならこのやり直しというスキル使えるのでは?元々想像力でどうにかなるんだから俺が料理認定すればいけるのでは。



『頭柔らかすぎないか』

『一番怖いのトモさんで決定で』



ニッコリ笑って「やり直し〜!」って言ってみた。剣と鎧が全部“料理される前になる”ように思い浮かべて。



すると瞬く間に兵士達が掲げていた剣も、鎧も、ごてんとした石みたいなのが下に落ちた。鉄かな?兵士達がどよめく。そりゃそう。ふははいい気味と笑ってやると『いや本気で怖い』『トモ、楽しいの解るけど早く行くよ』『ほらレンさんも怖いじゃないですか』と聞こえてきてごめんごめんとおどけて、ケンが既に開けていた扉から皆で飛び出した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ