第7話
木漏れ日、そして小鳥のさえずりが聞こえる中を――というロマンチック、な感じは1欠片もなく、私達――ショナ、シバ、カノン――は、ジャングルをさまよっていた。
――レインを助けた褒美に、私達は抱えきれないほどの果物を貰った。
バナナ、蜜柑、林檎、葡萄などなどだ。どれも新鮮だ。
だから、早く食べたかったのだが、シバが保存食つって、許さない。
「いきなり迷子ですか〜ハァ」
「仕方ないじゃないの。シバさんがこっち行きたいと――」
「……自重しまっす……」
グオォォオオ
……なんか、猛獣の音が聞こえるような……怖いよ〜、だなんていったら、弱虫扱いだよね……
辺りが暗くなり始めた。
近くで、水の流れる音がした。きっと、川があるだろう。
私は、足を止めた。シバたちも、つられるように足を止めた。
「シバ、ここらで野宿」
「ヤダ!」
そういうなり、シバは止めていた足を前に進ませる。
「猛獣に襲われてお陀仏してくるの? ご愁傷様です。明日、道端に死体が〜ってことにならないでね」
「いや、今日はここで野宿しよう!」
シバは、Uターンするなり、こちらに戻ってきた。
――分かりやすい奴。
辺りはすっかり暗い。聞こえるのは、ふくろうの鳴き声と、川の水が流れる音と、私達の話し声。
「ショナは、超能力、ってしってるか?」
「あ、ああ。でも、父から学んだのは暗殺術だけでな……あまり知らない」
突然聞かれて戸惑う。
「んじゃあ、教える。白猫は知ってるのか?」
「私? ……えぇ。一応ね。人間の時、なにかの超能力者だった気が……」
「そっか。超能力者と魔法使いの違いは、呪文を唱えないか唱えるかだ。ただ、超能力者は、すべて攻撃型じゃないしな」
「ああ。時遅能力者、幻覚能力者やら放水能力者。いろいろあるしな」
シバの言葉を挟む。なんだか、不機嫌そうだった。
「よくしってるな。同じところは、生まれつき、かな。%で表すと、超能力20%、魔法20%、超能力と魔法5%、後はなにも持って生まれないだ」
「んで、アンタはなんか持ってんの?」
すると、シバは得意そうに言った。
「ああ。俺は、超能力と魔法。超能力は放水。魔法は炎だ!」
へへーン、と得意そうに言うシバ。
「珍しいね。本来、能力が放水なら魔法属性は水……」
「まぁな! ……お前はどうなんだ?」
「私……?」
私は、魔力や超能力あるなんて知らないし……
「分からない」
そして、シバはにこりといかにも怖そうな微笑……
「測りま〜す!」
「え、いや、ちょっ……」
針があるのを、感じたころは、遅かった。
「ぎゃああぁぁああ」
痛い――
意識が遠のいていった気がした。
「OKだ! うん、よく我慢したなっ!」
「殺す気? あ、もしかして殺されたい?」
……そう、それは注射だった。しかもワクチン投与〜じゃなく、血抜き。
ただでされ注射嫌いなのに……
「えと……うん、魔力確認。ただ、初級しか使えない魔力だな」
「うん、それで十分」
痛さで涙が出そうだが、ここは我慢。
「私は武器で十分。ってか、疲れた。休む。お前はどうする」
「あ、私も寝るわ」
シバはしばらく考えた。
「ん……俺は、ちと練習だ!」
「早く寝なさいよ。お休み」
――事前に立てていたテントに入り、寝袋で眠りに着いた。
いつのまにかもう7話ですね。