第21話
ちょいとグロイ。でも。そこまでの描写は…。想像したら負けかなと思っている。
「下がって」
私は後ろに付いて来ていた仲間を下がらせる。
湿地の魔女。かなり多くの懸賞金がかかっている。
だが、誰も倒そうとする者はいない。何故ならば、湿地の魔女は禁じられた魔法を使い、人を動物に変えてしまうからだ。
なので、帰って来た者はほとんどいない。百人の人間の内、人間の姿で帰還する者は一人か、それともいないか。
「湿地の魔女、お前はここで倒す」
左腰の刀を二本構える。二刀流が私の基本だ。
「いなっ……」
後ろから殺気を感じた。それも、少し遠くから。
シバは湿地の魔女に後ろから抱きつかれ、手を上げて降参していた。
「こいつを殺されたくなかったら、今すぐ刀を置くがいい」
「どっち道殺すんだろう。だからと言って、シバは関係ないだろ――」
「関係? ここに入り込んだ時点で関係性は持っている」
シバは口を開いて私に何かを伝えようとして――湿地の魔女の手の平から出された魔法により、見るも無残に砕け散った。
双子も巫女も猫も皆が固まった。
「あたしは巫女のクレア!」
名乗り上げたクレアは、黄緑に発光する刀を一本構えていた。
だが、それも簡単に終わる。
「禁じられた魔法。求めるは記憶と肉体変え。ヴェヴェルシー」
クレアの後ろに回り込んだ魔女が、背中に手の平を当てて呟いた。小さく光り、光が去った後では、一匹の兎が何も知らぬ様にしてその場に居座っていた。
「しょ、初級魔法、求めるは押し上げる風、吹き上げ!」
「しょ、初級魔法、求めるは押し上げる風! 吹き上げぇっ! です!」
双子が揃って自分たちから遠ざけようとしている。やはり怖いのだ。
「駄目だ、シエル、シエロ!」
「こんな風、アタイに通用するとでも思っているのかい?」
そしてはじけ飛ぶ青髪の二人。
仲間を多く失っていく。もう白猫しか残されていない。
「やっ……やめろぉっ!」
そして駆け出さないまでには冷静だった。だが、叫ぶほどの冷静は失っていた。
自分も殺される。
自分も、殺される。
湿地の魔女がこちらを見て、嫌らしいほどニタァと笑った。