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殺し屋と白猫  作者: 凍霜
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   第16話

グロいですよ、気をつけて。





後、この話はフィクションです(何をいまさら

右も左も前も後ろも、身動き1つとれず、人ごみに押しつぶされそうな4人と1匹は、祭りの会場に来ていた。


予想以上の人に囲まれて、正直オドオドした。これでは、万が一事件が起こったときに対処が出来ないではないか。


シエルとシエロは、まだ始まらないかと時々見合わせて「まだかなぁ」か言いあっている。


と、巫女姿で扇を持った4人の巫女さんが神社の中に現れた。


笛と太鼓の音楽、ワァーッと湧き上がる歓声。もちろん、シエル達も歓声を上げていた。


一方の私は、何か事件がないかとキョロキョロしていた。ふっと視界に入り口が見える。



――そういえば、入場料が半端なかったな。1人が2000円。猫はお金要らないから、合計は8000円。高い、高過ぎる。1人ずつお金を出してもらいたいが、お金がないという……ハァ



などという心の声は誰にも聞こえるはずもなく、ため息が出た。


いつもなら「どうした?」と聞くシバは、私など眼中にないようだ。



神様にお供え物をして、巫女達は踊り始めた。


その、なめらかな踊り方に、その、美しい間違え一つない踊り方に、誰もが見とれた。


――多分、この中で一番はしゃいでいるのは、双子であろう。あの歓声を発しているのは、お前達だけだぞ。




†          †          †          †          †




鈴を持って立ち上がったとき、巫女達が踊っている所へ、何人かの不良(と思われる人)が進入してきた。


目立つところにいるその不良はしばらく見て、ボスと思われる人が部下と思われる奴らに目で合図する。


一人の巫女が、固まった。



「――っ? クレアッ?」


「これ以上近づくなよ!」



固まった巫女以外の巫女達がクレアと呼ばれる、固まった巫女に近づこうとした。しかし、それを不良が阻止した。



「金をよこせっ! そうしたら、こいつを開放してやる!」



ボスと思われる奴が、叫んだ。会場にいる一部の人が、その場所から逃げ出そうとした。しかし、この人の多さで逃げられない。


巫女さんは、銃を首に突きつけられて、口を塞がれていた。ジタバタともがく巫女を、脅迫する不良。


――まったく、犯罪が多いこの世界はどうなっているんだろうねぇ。あいつらも、死を覚悟してやっているのか?



「動いたら、打つぞぉっ!」



ピクリとも動かなくなった巫女。


そんな中、私はシバにこう言った。



「シバ、シエル達をよろしくな」


「分かった」



シエル達は、オロオロしていた。私はこの状況をなんとかしなければならないので、とりあえずシバに任せておいた。



「カノン、あいつらのところに行って、上手くあいつの銃を離せさせろ……できるか?」



カノンは、反応もなく、人ごみの中へと消えていった。



しばらくすると、白い猫が不良の周りで暴れていた。


カノンだ。


カノンは勢いをつけてから不良に体当たりした。小さな体で攻撃されたのに、不良は倒れてしまった。



「ね〜こ〜!」



不良のボスは怒って、銃と巫女を他の不良に預けた。そして、自ら猫を捕まえて懲らしめようとした。


しかし、猫の素早さ、そして小回りが効いて、捕まえられない。


その光景に、誰もが笑った。


カノンは逃げながら、隙を伺った。そして、その隙が出来たとき、カノンはまた勢いを付けて跳び、銃を蹴り上げた。


蹴り上げた方向に跳んでいく銃は、遠くの木の上に引っかかった。



「猫〜!」



怒った他の不良たちも、人質なんかどうでもよく猫を追いかけた。だが、勿論捕まるはずは無かった。


他の巫女さんたちは、慌ててその巫女さんに駆け寄った。



――ここらでいいかな。



膝を曲げて、それを伸ばすと同時に私は跳んだ。そして、刀を腰から抜いた。


降り立ったのは、カノンを追いかけている不良たちの前だった。



「この世界では、犯罪は犯した者は処刑される運命……アンタ等には、分かる……?」



刀を振り上げると、不良たちは腰を抜かして、こちらを見上げていた。



「やっぱり分からないよねぇ。じゃぁ、処刑程度素早く終わらせないとねっ!」



ねっ! の言葉で、私は勢いよく刀を振り下ろした。


悲鳴こそ聞こえなかったが、いつも感じる人を切り裂いた感触がした。



「アハハハハハ!」



そう狂って私は、悲しそうに2つに割れた死体数対を見下ろした。



「……さて、神様の祭り、壊してしまったな……」



死体を抱えて、私はまた膝を曲げて、跳んだ。刀には鮮血がこびり付いていたが、さほど気にはしなかった。




私は近くの山に行き、適当な場所に穴を掘って、静かに埋めた。小枝をその埋めた場所に刺して、手を合わせて静かに黙祷を捧げた。


もう、会場に戻りたくなかった。



周りから、白い目で見られるような気がして。

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