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殺し屋と白猫  作者: 凍霜
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3章 第15話

遅すぎる・・・!orz


「ああもうっ! 離して下さいよ! 遅れてしまうじゃないですか! いつもいつも迷惑です!」



ダファ町のとある路地裏で、何人かの不良が一人の少女を囲んでいた。


少女如く、いつもいつもこの様な事が繰り広げられているらしい。



「しかしなぁ、オレ等、金がないんだよねぇ。だからさ、見物料分、くれないかなぁ?」



その言葉を聞いて逃げ出そうとする少女を、二人の男が取り押さえる。



「何の見物料でしょうか?」


「はい? それはお前が一番よく知っていることじゃねぇのか? ハァ?」



ボスと思われる不良が問いかける。それに対して、少女は何も答えない。


沈黙。



「いい加減に、しろ、よっ! 何とか、いえっ!」



ボスと思われる不良が、少女を蹴ったり何たらした。少女は、涙を浮かべているが、我慢しているようだった。



「――――くっ」


「何だよ〜。痛みに耐えてまでも吐かないのか? ケッ、つまんね〜の。お前等、行こーぜ」



そいういなり、子分は慌ててボスと思われる人に付いて行った。



「絶対に、やらないんだから……!」



少女は、自分の勇気のなさと、無力さに、震えた。


そして、空気を胸一杯に吸い込むと、急いでどこかへ行ってしまった。




†          †          †         †          †



「ひょへ〜、賑わっているなぁ」



シバが驚いて町を見ていた。


あれから駅から出た私達は、駅前に広がる大通りを歩いていた。目の前に広がるのは、珍しい物、物、人。


今まで見てきた、ビュリの町やら、アレインの町などとは違う、何かが――



「ああ、賑わっているな」



味気のない返事に、シバは不満のようだった。



「ですねん。キャハ〜ッ、シエロ見て見て! アレ、有名な巫女様ですよっ! ショナたん、見て行こうじゃありませんかっ!」


「ああっ、シエルいいもの見つけるじゃないですか! って、あ、待ってです〜」



シエルは、巫女の姿を見つけるやいなや、すっ飛んで行ってしまった。


困った奴らだ。



「俺達はどうする? 宿でも見つけるか? ってか、これ、ほとんど観光客じゃね? 宿なくね?」



私に訴えてくるシバ。断定した訳ではないが、確かに『土産屋』に人が群がっている。



「……確かこの町に、私の知り合いがいたな。……今思い出した。この町、昔任務で来た事あるぞ」



知り合い、で思い出した過去。その言葉に、カノンとシバが食いつく。



「確か……この町にもう一度来たときには訪ねろや! なぁに、10人くらいなら泊められるぜ! ガハハ! ……って」


「ああ、絶対それ中年の髭もじゃもじゃのおじさんっつー雰囲気じゃん」


「シバ、それ完璧にあってるよ……行こうか。カノン、悪いけれど、シエルとシエロ呼んで来て」


「いいわよ」



シエル達は、どうにかその姿を見ようと、小さい体で背伸びしていた。


カノンが、走っていく。それを見送った私達は、さっそくおじさんの家に向かった。





†          †          †          †          †




おじさんの家は、私の記憶では大通りの横から延びている道を真っ直ぐ進み、少しカーブがある部分の外側、ということだった。


宿屋ではないが、家は少し大きい。確かに、これなら10人は泊まれそうだ。


私は、家を間違えていたらどうしようかとドキドキしながら、ドアを開けた。カランコロンと、ベルの音がする。



「こんにちは〜……」


「ショナ、本当にここだろうな」



シバが耳元で囁く。私は、首を傾げた。


と、その時、どこからかおじさんが出てきた。そして、私の顔を見るなり、出てきた。



「あ、ショナちゃん! いやぁ、よく来てくれたね! しかも、彼氏連れてきて! いやぁ、成長したな! ガハハ! ……す、すまぬ。おじさんのお茶目な嘘だ」



変なことを言うおじさんに、顔を赤らめながら蹴りを入れた。シバも私より顔を赤らめて、「違う、断じて違う!」と呟いた。



「いやぁ、そこの呟いている子、かなり動揺してるってか?」


「ん、んな訳ねぇよ!」



おじさんは、しばらくシバを見ていたが、首をかしげて「やっぱ、違うか」と呟いた。



「あ、泊まりに来たってか? まぁ、部屋はこっちにあるぞ」



おじさんは、私がここに来た理由を見切っていたようだ。


くるっと向きを変え、歩くおじさんに、私達は付いて行った。






階段を上がって、すぐ真ん前にある茶色の木の扉を開けば、そこは私達が泊まる部屋だった。


左のほうに、ベットが私達の人数分より上はある。右はというと、机と椅子、そして、タンスが置いてあった。何故こんなにも整備が整っているのだろう。昔、誰か住んでいたのだろうか。



「ここ、誰か住んでいたんですか?」



答えが返ってくるまで、私は辺りをまた見渡した。


なんだ、ここは病院か、とでも思うくらいに白に統一された部屋。南にある窓から、町の賑わい、そして、太陽の光が差し込んでくる。


太陽の光が眩しい。



「ああ、昔ここは寄宿舎でねぇ、そのときの名残さ。ガハハ!」


「まぁ、泊まる場所が出来てよかったなぁ……おじさん、ありがとうだな」


「いやぁ、礼には及ばんよ! ガハハッ!」



おじさんはまた笑って、ドアノブに手を掛け、後ろを振り向く。



「ああ、そうだ。隣の部屋には絶対に行くなよ。あそこは俺の娘のプライベートルームだから、入るなよ! あ、できれば祭りでも行ってくれねぇか? おもれぇもんが見れるぞ! そんじゃぁな、ガハハッ!」



そうおじさんは言い残して、ドアノブをクルッと回し、出て行った。



「祭りか……」



シバが呟く。



「もしかしたらぁ、この町の名物ですかねん。2日に1度開かれる、神様を拝むお祭りですよん。是非行きたいです〜! キャハハン!」



シエルはすでに行くと決めているようだ。シエロも乗り気で、カノンは仕方なく頷いている。シバは、何かを考えていた。

入学して、かなり更新が遅くなります。ご了承ください(見ている人いないだろうけれどw)

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