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おんな  作者: くにたちぬ
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こころの傷

人は、多くの間違いと失敗を繰り返しながら幸せになることを願って生きているのであるが、一番重要な事は、生きるということであり命を大切にするということなのであるのだが、世間体を気にしたり自分の犯した間違いを隠すために他人を利用して体裁を取り繕う事に躍起になった結果から家族を不幸にしてしまったという幾つかの物語を紡ぐ布石である。

 何人かの女と色々立場で接してきた時に会社の同僚や後輩や部下として仕事を教えたり手伝うという事も当然あったのであるが、純粋に好きになると言うことができなかった。

 その理由として両親の離婚と姉の妊娠・結婚・出産に伴う秘密というものがあったからなのである。

 

 自分が、中学2年生の時に3つ上の姉が妊娠したらしかったのである。

 母子家庭で大黒柱として働いていた母親は、娘の異変に気付くことに遅れて中絶出来る時期を逃してしまい赤ん坊を出産する方向で、世間体を整える為だけに幾らか動いていたのだが、妊娠させた相手に将来があるからと結ー婚を断られたようで、姉と母親は途方に暮れていたようであった。

 何日かして姉に結婚を申し込んできた男が、現れたのだが、第一印象から胡散臭かったことを記憶していて自己紹介をしてきたときに顔が、「真田広之に似ているだろ」と、有名人を引き合いに出してきたお調子者であったのである。

 母親や姉から事の顛末を聞かされていなかったのだが、家庭の事情で様々な体験をさせられてきていたので、人を見る目があり勘もよかったので直ぐに察することもできた。

 その男は、自衛隊に勤務していてまがりなりにも公務員であるという事が、結婚して家族を養うことができる根拠と考えていたようだったのだが、そんな簡単な話でないことは、明白であったのである。

 男ばかりの職場や寮に住み門限等がある環境で、遊びたい盛りの19歳の未成年が、困っている女子高校生の隙を突いて近付いてきたのであるから飢えた獣が、獲物を見つけて骨までしゃぶりつくそうと考えないわけが、ないと簡単に見て取れたのであった。

 立派な大人として、命の大切さを考えての行動だったと受け取る事もできたのだが、お金に余裕があり英国紳士のように婦女子を大切に思っていたのであれば1本筋の通った男であったと褒められたものであっのだが、そうでなかったようであった。

 自衛官のその男は、休暇や週末になるとタクシーをよんで繁華街やパチンコ店に出掛けていきお金を浪費して借金を重ねていたのであった。

 

 他人の子供を身籠もっている女との同居生活というものが、健全な家庭を築く場として不適切であることは、想像に難くない。

 世間体を整える為の欺瞞に満ちた環境を取り巻く家族の心に大きな不安と心配の種が植え付けられてしまったのであった。

 

 自分は、出生の秘密を持つ女の子のおじとしてなにも知らない振りをしながら付かず離れずの距離感を保ちながら本当の父親だと思いながら共に暮らし成長して大人になった姪の心中を計りながら姉夫婦の補助をし続けなければならないと重い十字架を背負わされてしまっている。

 

 単純に血の繋がらない父親と娘であっただけならよかったのであるが、その父親というのが自分を殺してでも血の繋がらない娘の成長を願っていたのであれば美談として語り継がれたかも知れなかったのであるが、煙草を吸い酒を飲み賭け事に興じ時に浮気をする事もあり借金を抱えるようになり職を転々とすることもあったので悩みあぐねた姉は、手首を切って自殺未遂をし、お互いの事を考えて市役所に離婚届を出して別居する事もあったのであるが、夫婦間の折り合いを付けることが出来たのか再度婚姻届けを提出して共に暮らし続けるようになって幾年月が、経過してしまっている。

 

 姉夫婦の現在の家族構成は、父親と血の繋がらない長女と父親と血の繋がっている長男と次女(高校三年生)となっている。

 出生の秘密を持つ長女は、父親と血が繋がっていないという本当の事を知らされて複雑な心境を保ちながら続けながら義理の父親に感謝の気持ちを持って生きる事を選択したのか、自分には知ることが出来ないし何となくわかるのだが、成長過程で経験してきたことを推測でしか捉える事ができないでいる。

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