第4話:ファーストオーダー
5月2日。騎士に囚われた我修院除く一行は、騎士の主から恩赦状を受けた。
「そうだ、任務だ。時間は待ってくれんぞ」
漆黒の外套は鎧を隠しているのか、プレートが軋り、禁書庫にその音が響いた。
「俺らみたいな一般人に何ができると? それに、ただの一般人じゃない、流入者だ」
胸の内で去来する思いを拭い、虚し気な顔で硲は答えた。何が引っ掛かったのだろうか?
「だからこそだと主は仰った。それこそ、貴様らはただの流入者ではないだろう?」
「そうじゃな」
騎士の言葉に我修院が相槌をうつ。この野郎、後で殴らないと気が済まない! 硲はゆっくりと拳を握った。
我修院は何かを隠している。だが、今はこの騎士の束縛に従うのが賢明だろう。
「そろそろ、我々の腹積もりを……いいかね?」
騎士の並々ならぬ威厳に圧された一行は、未だに座ったままだ。
「いや、先に報酬の話をしたほうがいいんじゃなかろうか?」
騎士が一行を釘付けにしながらも、一歩踏み出したその時、我修院が二歩先に踏み出た。
「何が貰えるんだ? 金か?」
「いやない。それは追加報酬に期待するんだな」
柴島が欲望を吐露すると、騎士は直ちに否定した。騎士の言う作戦の報酬にはないらしい。
「端的に言おう。1つ、王族へのコネクション。2つ、能力、3つ、貴様らが欲する流入者のあらゆる情報、最後に、名誉だ。他に質問がなければ、内容を伝えて私は消える」
数を数えるたびに指を折り、ややテンポの速い口調で、報酬を伝えた。
「質問」
「しっ! 私にも任務があるのだ。しかして、これが任務内容だ」
硲が不機嫌そうに、顔を顰めながら手を挙げると、騎士はその腕を払い、人差し指を立てて、口にあてた。
「あら……」
騎士の眼差しに束縛された一行の下へ、封書が落ちた。時代にそぐわない、古めかしい茶の封書で、驚くべきことに、封蝋が押してある! 一行は焦りつつも、目を輝かせた。
「その封蝋でワシらの主はどなたか、もうわかったな?」
サーフル公国の国章……、それは間違いなく、公室関係者か、公王であるヴィヴァックス=マギアからのオーダーだろう。
「……拙者らのような連中に勅令と?」
「お笑いかよ」
「これからわかる」
大きい疑問を持つ忍足と硲の肩を、我修院は意味ありげに叩いた。
「内容はどんなだ?」
「え、ええ」
任務よりは報酬とトラブルを好む柴島にとっては、疑問などない。その柴島に促されたジェネカは、封を破って中身を取り出した。
「……まぁ!」
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