Stage1-3 悲しみのドラゴン
少女は語りだす。
「わ、私はミア。『エルフの谷』の一族の末裔です。...早い話がエルフです。私はその谷でドラゴンに関する研究を行っていました。そして、数か月前、自由にドラゴンになれる方法を見つけました。そ、それで、私はその方法を広めました。...瞬く間に村にはドラゴンが溢れかえって、滅亡寸前までに至ったのです...。
力を得ると、少しでも邪な感情を持っているものは暴走してしまいます...」
「...それで、なんで俺のもとに?」
「私たちの村には伝説があります。六千年に一度、龍殺し―黒の勇者が現れ、村に異形の者が現れた際に制裁を加える、と」
「ふーん...で?」
「そ、それが悠翔というわけです...」
は?
「は?」
ビックリして二回も同じこと言っちまった。なんだそりゃ。
「あ、あの、本当です。古い書物を辿ると、悠翔、あなたにたどり着いたのです」
証拠は?と言いたいところだけど、もうほとんど証拠は出そろってるしなあ...。
「それで...俺にどうしてほしいの?」
「...私と........ってください」
...。デジャヴ。
「はい?」
「......私と付き合って下さい!」
なんでやねん!
「なんで...そうなるんですか...」
「黒の勇者は必ず村の女性と...その......ま、交わると決まっていまして...」
「はい?」
「そ、その...この世界では...だ、男女間における愛の行為といいますか...」
え、えぇ...。
改めてミアの顔を見つめてみる。...かわいいんだよな、うん。翼と同じくらいか、ひょっとしたらそれ以上だ。
そ、それに...結構胸も大きいといいますか......いかんいかん、今そんな邪なことは考えるべきじゃない。
でも見た目からすると俺とそんなに年齢は変わらない...のかな。
「でも...まずは強くなってもらわないと...」
そう言ってミアはなぜか服を脱ぎだした。
「え、何故に脱ぐ!?」
「男としても...強くなってほしいというか...」
ガラッ。
あ、姉が帰ってきた...。
※
険悪な雰囲気。
「何故...悠翔に言い寄っていた...?」
「あ、いや姉ちゃん、この人は」
「いわゆるセ〇レ関係です」
ミアさん何言ってんのおおお?
「なっ...!お前らな...せめてそういうのは二人きりの時に密室でだな...!」
「姉ちゃん、違うよ...!」
※
なんか誤解は解けた。あの後ミアが事実をそのまま伝えてドラゴンに変化してみせると、姉は「あ、そうなのか」と何故か納得したみたい。
えぇ...?なんか...ミアに変なことでもされたのかな...?