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2.おはよう
「おっ、にぃが挨拶するなんて珍し」
妹の七海は俺に先ほどまで背を向けていたが、向き直り言葉を返してきた。
朝第一声の会話なのに返しにしてはとても失礼な言い草である。
「まぁ、着替えたら学校行こう。食事は適当でよろ」
そういうと、また踵を返しドアの向こうへ消えていった。
「・・・七海だな」
なぜ、自分は一瞬でも自身の妹、自分の一人称を間違えたのだろう
寝ぼけていたにしてはおかしいと頭を悩ませた。
「っと、考えてる場合じゃねぇ。準備しねぇと」
俺は早々にクローゼットから制服を取り出して着替えて
食事をするためリビングへと歩いて行った。
それは中学3年生の春の日だった。
この日から、異変が始まったいたのだ。
そして、気づいたのはもっと後になってのことだった。