模擬戦
今日俺は15歳になるとは言え、何か変わるかと聞かれても何も変わらないだろう。
とにかく、今は目の前にいる師匠と訓練をしなければ・・・
「おはようございます。師匠」
「おはよう、今日もやろうか」
そう言って師匠は杖を構える。俺は杖は無いが、そんな事は関係ないもうすでに師匠には力を抑える、魔法を自身にかけている。呪いと言ってもいい、何故そんな事をしているかというと、これが魔力量を上げるのに適しているからだ。魔力を自身の魔法で負荷をかける事により、全体的な魔力量を上げるのだ。
それを24時間休まず行う事により、魔力の回復スピード、量、技量を上げるのだ。
俺もそれをしているが、師匠回復スピードと技量は増えたのだが肝心の魔力量が増えなかった・・・・。
まあ、それは置いといて、その魔力を抑える魔法を全力で使い俺と対峙してもらっているのだが、それでも俺との魔力量全然適わないので、しょうがないからそれ以外で対応している。
そうこうしている内に師匠が魔法をうって来た。風魔法か、相変わらず自然災害以上だ。竜巻が優しく見える。俺は咄嗟に、風魔法のある一点魔力の流れを書き換える。そうすることで、俺の周り以外魔法が来ないようにする。とは言えこの方法はすぐに対応されて、書き直される。それにこれは風魔法、一点の魔力の流れを変えた所で、別の風がやってきて意味が無い・・・。
だから、俺はずっと書き換えを続けなければならない。それに、師匠は一定方向に風を飛ばすわけでは無い。四方八方から風を流してくる。触れれば真っ二つ即死亡の魔法を・・・
よく今まで生きてきたよ本当・・・
とにかく俺は、魔力の流れを変えて風魔法を交わす。すぐにそこに炎、雷、水魔法が加わった・・・
師匠、いつもの事ながら死にますってこれ・・・・
それから、2時間俺は耐え切った・・・信じられるか?これウォーミングアップなんだぜ。
俺は肩で息をしながら、何時もの様に次の修行を聞こうとしたところ・・・
「そういえば、もうお前も15歳だな・・・」
「・・・・はあ・・・?」
いきなり師匠にそんな事を言われた。えっ誕生日に食事だけだされて、誕生日おめでとうさえ言わなかった師匠が俺の歳を言った!!?
俺が驚いていると、
「ほれ、誕生日プレゼントだ」
そう言って杖を渡された・・・。
ちょっと待て、誕生日に何時も、肉山盛出して終わりにしている師匠が、俺の歳を言ってプレゼントを渡している?
これは、
「師匠死ぬのですか?」
「?いや死なないが?」
死なないのか良かった・・・いやおかしいだろう!!今まで誕生日に特別な事(まあ、肉は毎年おいしくいただいているが)をしてこない師匠が今年に限ってこんなことをしてくるなんて、そうか、
「おい、偽物!本物の師匠はどうした!!」
「・・・本物だ、馬鹿者」
そう言われて、杖で叩かれた・・・考えてみたら、どう見てもこの魔力は師匠の物だ。
「はあ、この杖を渡したのは、卒業の証だ」
「へっ?」
余りの言葉に俺は言葉を失った、卒業って、
「いやいやいや、俺師匠に一度も勝ててないでしょう?」
「当り前だ、元世界一をなめるな」
「・・・へっ師匠世界一だったのですか?」
「まあ、周りがそう言ってただけだがな・・・」
そんな事聞いてないんだが・・・それに
「師匠俺の子供の頃より強くなってますよね」
「まあ、まだ強くなりたいからな」
・・・ちょっと待て、今何だか重要な事を言われてないか?
「・・・師匠普通の人より魔力が無いって・・・」
「ああ、それな、俺の修行を15年真面目に受けてそれだけしか魔力量が増えなかったからなあ、それは才能って考えてくれ、変わりに魔力の使い方は俺以上だしな」
そう言って師匠は笑い出した。・・・待ってください。
「そうなると、一般の魔法使いよりは」
「ああ、十数倍は多いんじゃないか。まあ、本当は数百倍にしたかったんだが、俺と同じ才能なら数千倍は目指せたのになあ、まあその少ない魔力でもあれだけ戦えるのなら大丈夫だろう」
そう言ってまた、笑い出した。いやいやいや、俺今すげー混乱しているのだが・・・師匠が強いのは知ってたけど、世界一強いとは聞いていない・・・俺一般の基準が今の俺以上を基準にしていたから師匠より強い人も当然いると思ってた・・・。
それが素でも魔法使いを圧倒できる魔力量を持ってたなんて・・・
「まあ、そう言うわけで、お前には王都に言ってもらう」
「どういうわけでですか!!!?」
「いや、お前今まで様々な魔物を俺と倒してきたよな」
「ええ、師匠と一緒に」
そう、俺は師匠と模擬戦以外に魔物との戦闘と言った実戦もしてきた。まあ、最初は色々大変だったが、今ではドラゴン下種の数頭なら何とか一人で倒せる位までいっている・・・。
「そうだ、お前は闘いについてならすでに独り立ち出来るまで強くしたつもりだ!だがお前には足りないものがある、それは一般常識だ!!」
「はあ・・・」
余りにも怒涛の展開でそれしか言葉が出てこなかった・・・
「まあ、それも仕方ないだろう、ずっと王都所か村すら偶にしか行かなかったからな・・・だがそれだとお前自身困ると思う、よってお前には王都に行ってもらう!!」
そう言って師匠は俺を指さした。何だか今日の師匠テンション高いなあ。
「ううん、とりあえず、王都に行って町がどういったものか学んできなさい」
咳ばらいをした後そんな事を言われた。
まあ、ずっと修行しかしてなかったし、そこまで興味ないけど・・・王都行ってみますか。