少し知る
大変遅ればせながら明けてましておめでとうございました。
もう1月も中旬ですよ。
では第二話です。
―の見たことあるようなという言葉に対し、葛葉は、
「なら車に乗ったときにあの人にメールしたら良いんじゃ無いか?それかDMとか。」
「反応遅いんです。」
「とりあえず送りなよ。」
―がメールを送ると、彼が掛けている眼鏡のレンズに返信を告げるメッセージが出る。
あの人と呼ばれている人物から彼が現在の職場に入った祝いとして、突然送りつけられた物である。
通常は中程度の近眼である彼の近視修正用眼鏡として使われているが、彼の愛用スマホと連動するウェラブルデバイスとして機能もする。
「師匠、今日は車中泊でも良いですか?」
「あの人の返信にはなんと?」
―がスマートフォンの画面を見せる。
「家には帰らず、それでいて飲み食いするなと。どうするんだ。」
「幸い、ここはまだ店の下ですから。」
再びメールが届く。
「……。あ。やっべ。師匠、急いで店長探してください。まだ中にいるはずです。」
開封されたメールにいったい何が書いてあったのか、慌てた様子の―青年
「わかったけどどうした?」
「詳しくは車の中で。」
「で?―、葛葉さんに急いで連れてこられたと思ったら、おまえの車に乗れと言われて、何がなにやらさっぱりなんだが。」
「詳しくは、僕もまだ把握していませんが、師匠の師匠とも言うべき人が、有る分野で非常に秀でているんです。その人から、今日、そのまま家に帰った上で飲み食いをしたら、明日の太陽は拝めないと言われたのです。」
「ごめん言ってることがさっぱりわからない。」
そうだろうなあという顔の2人。
普段から言われなれているせいだろうか。それとも。―はかなり焦った表情でスマホで誰かとやりとりをしているが、そこを流れる相手からの返信が早すぎてついて行けていない。
「あー。もう。あの人設定変えなさいよ。早すぎてついて行けないよ。頭痛くなるほど早いってーの。」
―君さじ投げた。
「とりあえず、今いえることは、その人の言うことは非常に信頼性が高いこと。そして、今日店長をお返しするわけにはいかないことです。」
そう言って―青年がカーナビの画面で何かしらの操作をする。
『初めまして。店長さん。簡単な説明は彼から受けたと思います。今からお話しすることは、皆さんの命に関わることです。荒唐無稽に聞こえるかもしれませんが、決してふざけているわけではありませんので。なお、私は訳あって、名を明かすことができませんので、ご了承ください。』
―が操作のあと画面に映った女性。
『まずはじめに、今皆さんが居る場所は皆さんが普段住んでいる世界ではありません。
おかしいと思いませんでしたか?
葛葉さんが手伝ったとはいえ、お客が今日は一人も来ない。携帯、PCも活気が無い上にスタッフに葛葉さんと店長さんと彼以外見覚えのある人物が居ない。
しかもおそらく本日の記憶19時半以降
そして、携帯コーナーが広すぎる。』
「言われてみれば。」
そう言って、考え込む店長さん。
『いま、そこの彼に、有る場所を指示しました。店長さんは、確か今日の出勤は徒歩ですよね。』
「そうです。」
女性がうなずき、
『ではその場所でお待ちしています。』
カーナビには経路が記されていた。
くねくねと曲がりくねった経路。それを確認し運転席の―は、案内開始を選択する。
静かに走り出した車。―お気に入りのHV車だ。
たまには良いかと、後部座席に体を預けた店長さんだった。
「この景色が、作り物とはね。まあ、聞こえるはずの対向車の音とか一切聞こえないからなあ。そして―は、長距離運転モードの真剣顔だし。私は何をしていよう。携帯を見るにしてもこれ以上やると眼鏡が必要になりそうだからな。そういえば、今度の新機種で君が飛びつきそうな物があったよ。―。」
葛葉は無言、まじめ顔になった助手兼足を見ながら、窓の外の景色、車内の様子を見てふと思い出したように、―に話しかける。
「さいですか。お二人にお話ししておくと、目的地は、河原です。―川の。そこで、有る儀式というか術式というか、まあ、何かしらやって、我が家とも言うべき世界に帰ります。」
何を言ってるかわからないという顔であるが、前の二人が切羽詰まった顔をしているので黙っていることにした店長さん。
車が河川敷に入ると、前方に向こう側が見えないほどの強さを持つ光の柱が見えた。
「お疲れ様。」
光の柱のすぐそばにあの画面に映っていた女性が居た。
光の柱に近づけばどんどん光の強さは弱くなっていった。
3人が車を降りて、女性に近づく。
「それじゃあ、これをボンネットに貼って、術式解除と、別の術式を発動っと。じゃあ、三人並んで…やべ、これ心臓に負担掛ける方法だった。危ねえ危ねえ。危うく関係ない人殺すとこだったよ。」
光の柱周囲が一瞬揺らめき元に戻る。しかし、見える景色は同じ河川敷であるが、離れた国道を走る車の音も聞こえてくるなど異なる部分がある。
「宗主様。」
「一先ず帰ってからね。それと、店長さんに問います。このあと、あなたをご自宅まで車と一緒にお送りしますが、その際に記憶は残しますか?消去しますか?」
宗主様と―青年から呼ばれた女性が問いかける。
「とりあえず残しておいてくれますか?話のネタにできたら良いなと。」
「さいですか。さて、認識阻害を解除します。これであの店が如何におかしいかわかるかと。」
ここでも宗主と呼ぶことにするこの女性の髪が、車のヘッドライトからの光を受けてきらめく。
光の柱が消え、店長さんを送るべく3人を乗せた車が走り出す。
『―は、どこから知っていたのかな。』
『おそらくあの扉に入ったときに、宗主さんが何かしかの守護を行ったのでしょうね。』
「…はあ。いつも仕事で見てて行動が見えないのはH村(今後あまり登場しません)だけど、思考も含めてわかりづらいというか、俺からしたらおまえも十分あっちの住人だよ―。」
―という青年を
(高音と低音が入り交じった和音のような声)「それは。それは。実に喜ばしいことですね。私は変人を自認していますが、こうして、職場でも認定してもらえるとうれしい物があります。今後ともどうぞよろしくお願いします。店長。さて、お待たせいたしました。ここから先は申し訳ありませんが私はお供できません。師匠。お願いいたします。」
葛葉は無言で頷くと、車を降り店長さんを連れて、歩いて行く。
―は、一人運転席に座り楊枝を咥えた。
「どうでしたか?」
「なんが?」
前を見つめたまま問いかけるような―のつぶやきに答えた声。
「何がって、今回の件、全容をご存じなのは宗主様だけですから。」
「そね。ま、うちはあまりかかわらん。というよかかかわりとうない。」
いやあ、疲れた。といわんばかりの宗主様。
「あれだけの偽装空間を作れると言うことは、それだけ、魔素の収集がうまかったと言うことでしょうか?」
「さあ。」
どうでも良いという声音の宗主。
「あ、お久しぶりです。」
「久しぶりです。こんど、うちの本家にいらっしゃいな。いろいろおはなししてあげるから。」
[どうも宗主と呼ばれている者です。今回は非常に強引な流れですが、作者が寝ているときに見た夢が元なのでここの強引な流れはご容赦を。今回はここまでなのですが、次回は葛葉ペアをシャーロック・ホームズや、明智小五郎としたら、ワトソン氏や小林少年に該当するペアが登場します。さて、また次回お会いいたしましょう。]