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奇術師の涙  作者: 片霧 孤帖
2/7

キャラメイク(冒険までもうちょい)

そんなこんなでオープン当日。

弟は何とか全クリできたらしい。よくやるよね~


「ところでねーちゃんはアレ何日でクリアしたん?」

「一日。」

「うわぁ。これだからリアルチートはっ!!」

「これ私のギアのナンバーだから、登録よろ。お先っ“ダイブ”。」

「ちょい待て!ああもう!“ダイブ”!!」


こういう時ってなんか連打したくなるよね。

まあ、実際今AFOのスタート画面を連打しているわけなんですが。


「サービス開始まであと3秒…2秒…1秒…」


秒数がゼロになると共に私の周りが暗闇に包まれる。

一筋の光が射したかと思うと、写し出される映像の数々。

それは草原を走るモンスターの群れだったり、空を飛ぶドラゴンだったり、活気のある街並みだったり、おどろおどろしい魔王城であったり。

そして最後に現れたのはこの世界の神話を描いた美しい壁画。


―あなたの人生が素晴らしいものでありますように―


そんな声が聞こえると目も開けられないほどの光があふれ…


「いらっしゃいなの~」


少し間抜けな声が響いた。


「あなたは?」

「わたしは~キャラメイクサポートキャラクターのアリスなの~貴方のお名前を教えてほしいの~」

「私は…そうだなぁ、“ザクロ”だよ。よろしく。」

「よろしくなの~それじゃあキャラメイクを始めるの~ザクロさんは~βテスターの時のキャラをそのまま使うの~?」

「いや。作り直したいんだけどいいかな?」

「了解なの~これはザクロをスキャンした3Dモデルなの~そのままはお勧めしないの~」

「髪の毛のばして髪色は白、目の色は赤で、身長を5cm高く。」

「ふんふん。任せるの~!えいっなのっ!」


私の姿のマネキンがみるみるうちに髪は腰までのび、身長は160cmぐらいに変わっていく。

βの時は黒髪に金色の目だったからばれないでしょ。


「おお。2回目だけど感動するね。」

「朝飯前なの~次は種族を選ぶの~」

「種族はβと変わってない?」

「色々と増えてるの~」

「めんどくさいからランダムで。」

「多すぎるから~人族、獣族、妖精族、魔族、その他から決めてほしいの~」

「魔族で。」

「わかったの~ランダムは3つ候補が出るからそこから決めてほしいの~」


目の前に現れたスクリーンに表示された種族は

マミー、レイス、バンパイア(デイウォーク)


「おめでとうなの~!!このバンパイアはレア種なの~。レア種はランダムでしか出ないんですの~大当たりなの~」

「じゃあそれで。」

「はいはいお任せなの~!!バンパイアは種族スキルが~

 ・吸血

 ・催眠

 ・日光無効

 ・ナイトフィールド

この4つが固定で~、夜になると強い種族なの~スキルはあと6個選べるの~」

「ランダムで…は怖いから、お勧めで。」

「あいあいさ~なの~」

「もういい?」

「はいなの~ALOの世界を楽しんでほしいの~」

「いってきます。」


そして私はALOの世界に乗り込んだ。

…キャラメイクってめんどくさいのよねぇ。













~弟サイド~


「あんの姉!先に行きやがって、だいたい友達の登録ってどうすりゃいいんだよ」


一応ナンバーは覚えてきたけど、ゲームの注意点とかもっと俺に対してアドバイスあるだろう普通!


「にひひ、何かお困りのようだねぇ」

「誰だっ」

「にひひ、オイラはキャラメイクのサポーターの一人“チェシャ猫”って言うんだ。少しの間だけどよろしくなぁ」

「よろしくなチェシャ猫、それにしてもキャラメイクとかゲームっぽいなっ!」

「ゲームだからなっ!まずはお前の名前を教えてもらおうかぁ?」

「そうだな、“秀”で頼む」

「にひひ、お前さん運がねえなぁ。その名前はもう登録されているから他のにしてくれ」

「くっそっ、先を越されたか!なら“玉藻”で頼む」

「にししし、それなら大丈夫だぜぇ。…よしこれで登録が終わったぜぇ?次はキャラの外見を決めるぜぇ。」

「外見はそのままで、身長も今と同じで頼む。」

「まったく同じにすると危険だからおすすめはしねぇが、それでも同じにするのか?」

「なら、髪の毛の色と目を銀色で。」

「面倒だからもう金色でいいよなぁ。」

「なにその適当な感じ!もうそれでいいよっ!」

「りょうかーい、よっと!」


目の前に現れたマネキンが注文通りに変化してゆく。


「これでいいよな、次は種族を決めてもらおうか。何にするんだぁ?」

「そうだなぁ…、獣族ってあるか?」

「かなりの種類あるからランダムで三種類選ぶぞ。いいよなぁ?」

「頼んだ」

「えいっ」


目の前に現れたスクリーンに表示された種族は、

トカゲ族、犬族、狐族


「おっ、当たりぃ~。狐族は微レア種族だからあんたついてるねぇ。名前のおかげかねぇ?」

「ほんとかっ!ならそれで頼む!狐!!」

「へいへーい。あっ、そういえば言い忘れてたけど狐族が最初から持つ種族スキルは、

 ・幻術魔法

 ・眷属召喚

 ・MP上昇

 ・結界魔法

の四つでなぁ、視界が悪い場所での戦いなら強い種族だぜぇ。これに獣族全体が持つ『速度上昇』を足した五つが基本スキルだぜぇ。後5つスキルが決められるから後は自分で決めてくれぇ。お勧めはいくつか紹介するからよぉ」

「いろいろありがとな。」

「にししし、なんてこたぁねえよ。最初の客だ、サービスしとくぜぇ。…ALO楽しんで来いよ」

「ありがとう!行ってくる。」


俺の感謝の言葉を聞くとチェシャ猫はニヤニヤ笑い、すっうっと空気に溶けるように消えてしまった。

そして俺はALOの世界に乗り込んだ。

…チェシャ猫は、やる気は無かったが良い奴だったなぁ。


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