優しき人
色々大変なことがあってかなり間が空きましたが第八話です!
昔、そう、昔のことを思い出していた
まだ俺が小学生の頃、
誰も俺のことを僻まず
皆が、笑顔を向けてくれていたあの頃を、俺の記憶の中で幸せな部類に入るあの頃を、
みんな俺が何か一人だけ出来ても
「すげー!」
「俺にもおしえてー!」
みんな妬みなどではなく、ただ純粋に俺と仲良くしてくれてた。
でも、短い幸せもすぐ終わった
ある時、クラスの女子の一人がこう言った
「水無月くんってさぁ、出来過ぎてキモいよね〜」
最初は友達だった子たちが
「そんなこというなよ」
「凛夜がかわいそうだろ!」
と、庇ってくれてた
だが、俺の悪口を言い始めたのはクラスでも派手なグループのトップの女子
そのうち庇ってくれてた子も、その女子の圧力に負けて俺の悪口を言うようになった。
集団の意識というのは恐ろしいもので
クラスが変わっても、中枢にいた人間が一定数いるとそのいじめは続いた、
決して俺は屈したくなかった
だが、心が崩壊するのが早かった
「いやだ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、ろ、やめろ、、、、
やめろぉぉぉぉ!!!!!!!!!」
………………………………………………………
「やめろぉぉぉぉ!!!!!!!」
最悪の悪夢、ましてやその中の自分の悲鳴で俺は目を覚ました
「り、凛夜大丈夫!?顔色悪いよ?」
上から灼香が俺を見下ろしてる、
え、これどういう状況?
頭を少し動かすと柔らかい感触に包まれた。
うん?なんだこの幸せな感触は
あぁ、太ももかぁ、道理で柔らk
「うおっっ!!!」
驚きが頭が追いついてきて跳ね起きた
「だ、大丈夫?寝苦しかった?」
灼が何か言ってるが右から左にぬけてくそれどころではなかったからだ
「ふふふふ、太もも!?つ、つまり
俺は、ひ、ひ、膝まくらをしてもらってたのか!?」
小さく焦りながら独り言を言うくらいには動揺してた
膝枕なんて母さんにもやってもらったことなかった、だからこそ初めての膝枕の衝撃は大きすぎた
一人悶々としていると申し訳なさそうに灼が
「ご、ごめんね凛夜、私いつも具合悪い時、お母さんがこうしてくれたから!つい、、」
「い、いや!いいんだ!、あ、いや、そうじゃなくて!あ、ありが、とう。」
メチャクチャ焦りながら礼を言うと
灼は笑顔で
「よかったぁ、迷惑じゃなくて本当に良かったよ!凛夜に嫌われちゃったら私独りになっちゃうからね」
なんて事までいう
灼の笑顔をみてるとなんだか落ち着いてきた。
なんだろう、不思議な気分だ。
「なんで凛夜は此処にいたの?」
不思議な気分の正体を掴もうと思考していると灼が不思議そうに聞いてきた。
そうだ、俺は自分の異能力を知って、、、それで、、
「灼、俺なんかといちゃだめだよ、俺は、人を殺したんだ、」
「り、凛夜?」
それから俺は、俺の異能力、そしてそれがもたらす災厄を灼に話した。
灼は最後まで真剣に話しを聞いてくれた。
「…だから、こんな人殺しと一緒にいちゃダメなんだよ、」
話が終わって、灼は少し考える表情をみせてから口を開いた
「でもさぁ、それって一番可哀想なのは凛夜だよね、?」
「え、?」
予期しない返答を返してきた
「だって凛夜は無理矢理それを発動させられちゃうわけで凛夜に選択肢がないんでしょ?それってすごく酷いことだし
とても苦しいことでしょ?」
そんな風に言ってもらえるなんて思ってもみなかった俺は、なんて返したらいいのかわからなくて、俺は、
「凛夜?、泣いてるの?」
「…あぁ、そんな風に殺される人じゃなくて俺の事を可哀想だなんて、言ってもらえるなんておもってもみなかったからそれで、なんか、俺…」
どうしよう、目から流れ出るそれを止められない、止まらない
「凛夜は優しいね、自分じゃなくてこの力によって殺されちゃう人のことを考えられるんだもの」
「、、!」
自分の感情の波を上手く抑えられない俺の頭を灼が自分の胸に抱き寄せた。
「凛夜が罪を感じなくてもいいんだよ、この力は凛夜の意思じゃないんだから」
「でも、俺がまた死んだら、また人が死んでしまうんだ、」
「だったら強く在ればいいんだよ
もう、誰も傷つけないくらい強く、本当の強い人っていうのは本当に優しい人だってお母さんが言ってたよ」
灼が強い眼差しで語りかけてくる
「そうか、俺は弱気になってたんだな、
死んでしまうことで他の誰かを殺してしまうということを恐れて生きようとする心、強く在ろうとする心を見失ってたんだ、うん、そうだな。
灼、ありがとう、俺頑張るよ
誰も傷つけないくらい強く生きるよ!」
「凛夜、そうだね!私も頑張るから!凛夜も頑張ろ!」
「あぁ!」
自分の心を見定め直し灼と約束をしたところで俺の端末が光って新しい情報の受信を知らせた
『異能力一覧が更新されました』
異能力一覧が更新された?どういうことだろうか俺は灼と一緒に新しく更新されたという異能力一覧を開く
そしてそこに記されていたのは俺の新しい力だった。
能力名『疾風刃雷』
能力内容:
1:意識を集中して念じる事で能力保有者(以下.あなた)の視界内を瞬間移動できる(連続使用は7回までそれ以上は三時間のチャージが必要)
2:???(解放条件:剣状の物を装備
「しゅ、瞬間移動だなんて!すごいね凛夜!」
新たなる力、そう、これはきっと灼の優しい心が俺に与えてくれた力なんだろう
これを駆使して俺は生き残る、生き残らなければならないんだ
その時端末が赤く点滅し振動した
「ダンジョンエネミーが接近しています」
このダンジョンに仕掛けられてるのは罠だけではないらしい、
だがここは洞窟の通路の行き止まり俺たちに退路はない、強く在るためにはどんな障害だってのりこるしかない!
「灼!くるぞ!」
「うん!」
次回はエネミーとのバトル♫
ワクワクだ!