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Reality Fantasy World  作者:
8/8

リアルな戦闘

遅くなったどころの騒ぎじゃないなぁ……すみません。

 さてゲーム世界に帰ってきたぞ。

 今日の飯はレトルトカレーでした。ただのレトルトカレーと侮るなかれ。アグー豚が溶け込んだ沖縄に売ってるレトルトカレーだ!美味かったわー。


「とりま薬草採集だなー‥‥‥。種類多いわー、婆ちゃんの薬知恵袋凄すぎかよ。」


 なにが必要になるかなんてそのときにならないと分からないものだと俺は思っている。だから作れるものはすべて作ろう、と思っていた。


 だがしかし、婆ちゃんの薬レシピの数が多すぎてさすがに無理だと反省した。俺があの婆ちゃんに出会って気に入られたのはすごいことだったんじゃないかとこの婆ちゃんお手製薬まるわかりブックを読んでると思う。


「グォオオオアアアァ!」


あ、言い忘れてたが薬草採集のために俺は今、街の外に出ている。


んで、


「わー、ゲーム初めてのバトる魔物がトロールなんてー、光栄だなー‥‥‥‥嬉しくない。」


巨体で醜い容姿。トロールにしか思えない。

トロールとか街近郊に出てくるなんて聞いてねえぞ‥‥‥‥。明らかに倒すの簡単じゃないし。

誰だよ街近郊は倒すのが容易なやつしか出てこないとか言ったの。あ、公式もNPCも知り合いも全員だー☆うん、笑えない。


「ガァアアアゥウウウ!」


現実逃避をしている暇は無かったようだ。トロールの振り下ろした右腕が俺の頬を掠める。少量の血が舞う。


回避が間に合って助かった、掠ってるけど。多分当たってたら冗談抜きでミンチ。だってこのゲームだもの、で分かれ。


杖術まだ学んでねぇっつうのに‥‥。やってみるしかないな、思考についてこいよ体。


「おらぁ!」


トロールの動きが愚鈍なのが幸いして懐に入り込むことが出来た。


トロールにぶつける位置を瞬時に無属性で鋭利にコーティング、そして身体中に魔力を行き渡らせる。


そしてさっきのお返しとばかりに奴の右腕を切り落とす。俺の顔に血が降ってくる前に元の位置へ下がる。


この時無属性特化の杖に地味に感動した。

感触がリアルだとは思ったがそれより切った断面を確認した後の標本図鑑であんなん見たなーという感想の方が強い。


「バァ?」


トロールはきょとんとした顔で辺りを見回す。


切り方が綺麗すぎて気づかないとか言う男のロマンのあれか?あれなのか?と俺はこの時ニヤニヤご機嫌になっていた。


その三秒後にはその顔をひきつらせることになったが。


「マジかよ‥‥‥‥。」


何とトロールは自分の切られた腕を拾っておもむろに元の場所へとくっつけたのだった。


トロールが腕の感覚を確かめている間、俺はこの出来事への考えを巡らせる。が、考えたって知らないもんは知らないんだから皆大好き毒舌敬語ウィンドウさんに頼らせてもらうことにする。


「ウィンドウオープン、ウィンドウヘルプ、トロールの説明音声でおねしゃす!」


『音声解説を開始します。トロール、魔物の一種で、大きな体格と醜い容姿が特徴です。地域によっては妖精と伝わっています。知能は低く、愚鈍。粗暴で怪力。痛みに鈍く再生力が異様に発達しており、頭を切り落とすか、心臓をつくかしないと死なないしぶとさから討伐ランクはCとされています。』


‥‥‥‥トロールの再生能力が高いとかどこの世界の話だよ!?


『【一般的なトロールについてのイメージは、巨大な体躯、かつ怪力で、深い傷を負っても体組織が再生出来、切られた腕を繋ぎ治せる。醜悪な容姿を持ち、あまり知能は高くない。凶暴、もしくは粗暴で大雑把、というものである。(Wikipediaより)】』


あ、現実世界の話でしたね、すみませんでした。


とりあえず、こっから勢いつけて心臓一突きするか‥‥‥‥。


力は強いが愚鈍なこいつのどこがランクCなんだろうな?と思いながら心臓に強化した杖を突き刺す。


「っまじかよっ!」


杖は確かに突き刺さっている。だがしかし、胸を貫いた感触はないのだ。杖が胸に埋まっている。


そんな隙はさすがに見逃さないのだろう。

トロールのその剛腕と剛脚が俺をプレスせんと迫ってくる。


「っだぁあ!アイテムボックス!強制収納!無属性特化の杖!」


そのプレスをトロールの腹を蹴って後ろへ跳び回避する。


さっき使った強制収納はバカ多い魔力を消費する代わりに自分の所持物に限り自分で放り込まずにどこかにあって出せない状況になっていたとしてもアイテムボックスに強制的に収納する魔法である。


このトロールに会う前道中でアイテムボックスの可能性について考えうる限り試してみていたら当たりがあったんだよなー。ガッツリ減った体内の力に結構びびった。


ま、今はまだ属性魔法を使っていないから、魔力は余ってる訳で、一度くらいなら使える。


「流石に魔力量が心許なくなるから二回は嫌だけどなー。アイテムボックス。」


討伐ランクCの怖さを実感したところで、杖を取り出す。早々に死ぬのはご遠慮願いたい。ということで。倒します。本当に。


とりあえず。再生ムズくなるように、跡形消そう。


高揚する精神を無理矢理落ち着ける。息をゆっくり吸う。刹那。


「ふっ。」


右腕を指先から切り刻む。切り刻む。切り刻む。次。


「はっ。」


一寸も違わず目を突く。もう片方は目を隠した手への対応するための杖部分強化の変更が間に合わない。次。


「しっ。」


動かす間に強化の変更も終え、右足も右腕と同じように切り刻む、断面を潰す、手を切り取って奴の口へ突っ込む。


ここまでの動作でトロールは自分を支えきれず倒れることになった。


おれ、リアルでできないくらいはやくうごいたかもしれない。やっぱでかくてブサイクな奴に殺されそうになるとか火事場の馬鹿力が問答無用で発動されちまうもんなのな。


後はトドメをさすだけなんだが‥‥‥‥ゴムみたいなのに硬い胸部の皮膚とか攻略方法わかんないし頭も急所なんだからそうなんだろうと予測してる。ならどうしたか。


突いて空けた目の穴に杖ぶっ刺して脳をミックスしました。おいそこ、グロいとか言うな、そんなの俺がよく分かってる。


死んだのを確認した後、武器とか作る材料になるかもしれないと思ってアイテムボックスに入れた。アイテムボックスが時止まっててよかった。生臭くならない。


あ、時止まりも道中の実験で見つけたアイテムボックスの可能性な。


そこではたと気付いた。


今の俺を周りから見た感想。夜中に、血濡れで、死体を処理してる、狂気の青年。


こ  れ  は  や  ば  い。


俺は今本当に鉄の匂いをむちゃくちゃさせている。トロールを刻みまくってたことを思い出して欲しい、‥‥‥あ、今のなし、俺が狂気の青年て思われる。


これは薬草どころじゃない。泉は汚したら祟られそうだしな‥‥‥‥よし、街に戻ろう。ここまで来たのにとか言ってらんない。風呂。清めの魔法欲しい‥‥‥。


その後俺は街へ戻り身を清めた後、予定遅れで目的のものを大量に採集して、無心で薬草を磨り潰していた。


夜散々だったわー。楽しかったけど血濡れで勝利の余韻に浸るのは駄目だった。視覚的に。


さ、ログアウトログアウト‥‥‥‥。

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