リアルな正体
短いですがキリがいいので投稿。
沈黙が生まれる。
それを破ったのは講師だった。
「っぷ!あはははは!またいきなり突拍子も無いことを質問するね!問いかけを返しちゃって悪いけど、どうしてそう思ったんだい?」
「あれですよ、話し方に柔軟性が有ったっつーんですか?リアリティを求めて、て言ったらそれまでなんですけど、なんか違う感じがして。さっきも動揺が見てとれましたし。」
ここまで言って自分になんの根拠があったのか分からなくなってきて適当な一言で纏めた。
「ま、ようするに感覚です!以上!」
講師や脇で話を聞いていたアリィがニヤニヤし出す。
「へーええ、オフィ君理詰めで考える人かなって思ってたけど、感覚信じちゃうんだ、そうなんだーへー。」
「それすごいわかるよ、同感!」
「あんたら二人がかりでからかってくんじゃねえよ!」
顔が赤くなっているであろう事が見なくても分かるくらいに熱い。
「と思うんだけど。」
そこで講師は言葉を区切る。
「当たりだよ。俺としたことが本当にビックリしてしまった。そう、運営。データじゃなくて生きてるよー。」
ブイサインをする講師もとい運営。アリィは俺の疑いが真実だったことに目を丸くしている。俺は自慢気な表情をした。その顔を見てアリィの顔が不満げになる。
「全然そんなこと気にしてなかったよー。すごーい。でもちょっと悔しいなぁ。」
からかいすぎるのもいけないので表情を普通に戻した。
「ふふ、まさかちょっとの交流で見破られるなんてこっちも悔しいよ。流石有望株だね。そんな有望株な君達に耳寄り情報。ゲームの重要な要所のNPCはお馴染みリアリティを追求するために運営の人が担当しています。」
まさかの情報を開示された。NPCに本物使うなんてありかよ。
「例えばー?」
「言ったらつまらないだろう?」
「んーと、ギルドの名物受付員。」
「………………。」
「当たりかなー?」
俺は思った……この人、チョロい、と。嘘つけないタイプだなこの人。
「俺は何も言ってないよー!言ってないからぁー!情報はあげたし、後は頑張ってね!これ以上やらかすと運営の他の皆の顔が一週間般若になりそうだから逃げるね!さらば!」
突如その場から運営の姿が煙のように霞んで消える。ログアウトでもしたのだろう。
いい情報が貰えた。やはり情報は大事だ。俺がホクホク顔でいたらアリィがいきなり笑いだした。
「あはははははは!あー、面白い運営さんだったなぁ。じゃ、私そろそろ習い事だから出るよ。ありがとうねー。オフィ君と行動すると面白いってことを学んだよ。また一緒に遊ぼうね。」
「おう、またな。学校で。」
リアルの話をされると俺も腹が減ってきた。俺も今日は一度ログアウトすることにしよう。ま、また飯食ったらすぐ戻るけどな!廃人じゃないから!今日は暇なだけだから!
俺の意識が遠退いていく。いつも思うんだが、気絶ってこんな感じなのか?