会話
妖精は、その髪の色と似た翡翠の瞳を大きく見開き、口をぽかんと開けたまま、少女の手のひらのなかに座り込んでいる。
少女はおかしな事を言ってしまっただろうかと、少し不安になったが、顔には出さずに妖精の反応を待った。
「あなたが助けてくれたの?」妖精が鈴を鳴らすような声で少女に問う。
少女は、首を横に振る。あなたが目覚めるのを待っていただけだと。
それを聞き、妖精は目を閉じて考え込んでいるようだった。
妖精が問う。「あなたはどうしてこんな森の深い場所にいるの?ヒトが入って来る場所ではないわ」
少女はその問いに困ってしまう。気づいたらここにいたからわからない。木々に聞いても分からなかったから。と言った。
妖精がまた驚く顔をした。「木々が話した?...あなたは、森の声が聞こえるの?ヒトがそんな力を持っているなんて聞いたことがないわ」
少女は、木々だけじゃなく、小鳥や魚ともおはなししたことがあると妖精に言った。
「そういえば、わたしとも普通に話しているわ。妖精の声は妖精にしか分からないはずなのに。でも森に住むものとも会話できるのなら、わたしとも話せて当然なのかしら。...ねぇ、あなた」
「行く当てがないならわたしと一緒にこない?あなたからは前に見たヒトのような邪気も悪意も感じないし、森があなたを受け入れてるから、ここで死んでしまうことはないでしょうけど、助けられた恩も返したいから。どう?」
少女が括弧内で喋らないのは少女の年齢を曖昧にするためなんですが、私が書くと何故か幼くなってしまう...その分妖精の方は若干大人っぽくしています。