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三代目魔王の挑戦  作者: シバトヨ
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今度こそ、自分の体に挑戦!……やっぱりコレで?

 まさかの2本連続投稿!

 あと何本更新できるか、頑張ってみます!

 レムちゃんと共に食事を済ませると、そのまま外に連れられていった。

「なぁ? せめて初代魔王の名前を教えてくれよ?」

「レム……初代の名前知らない」

「なんだ、そう「名字がタナベってことくらいしか」なんだって、知ってんじゃねえかぁ!?」

 名字だけでも十分だぞ!?

「そんじゃあ、リリン……リリアーデさんとクロノワールって奴の関係は?」

「……初代のメイド」

「……冥土?」

 初代魔王を地獄に送った感じの2人なのかな?

「発音がなってない。……メイド」

「……発音はともかく、あの二人が初代魔王の家政婦だったってか?」

 あの2人が?

 いや、クロノワールについてはよく知らねぇけど、リリンさんが……メイドって。

「いやいや、あり得ねぇだろ? あの人、基本的に気分屋だし」

 なんせ、自分の城をめんどくさいって理由で明け渡すんだぞ?

 そんな人がメイドなんって勤まるわけがねぇよ。

「あれでも、凄腕のメイドだった」

「過去形なのが凄く気になるけど……その口振りだと、リリンさんの働きぶりを知ってるみたいだな」

「うん。……レムは、リリンと同期のメイド」

「あぁ……そうですか…………」

 なんか、驚くのも突っ込むのも疲れてきたなぁ~。

「ちなみに、……メイド隊の隊長クラスは全員が初代様に雇われている」

 ってことは、クサリさんも初代魔王に雇われたことになるのかぁ~。

「うん? ってことは、レムちゃんもメイド隊に所属どころか、何番目かの隊長になるのか?」

 そう聞くと、レムちゃんは無言で首を左右に振る。

「レムはメイドを辞めた」

「そうなのか」

 まぁ、今のところメイド隊の隊長格って言えば、クサリさんとシェリーさんしか知らないもんなぁ。

「……もうそろそろ着く」

「そういや、何処に向かってるんだ?」

 飯を食ったら直ぐに洞窟を出たからなぁ。行き先も教えて貰ってないし。おまけに抱き抱えられたままだから、俺に許されているのは口を動かすことだけ。

「……水晶で見えたところ」

「…………………………」

 えっ?


 俺の耳を疑うのと同時に、すさまじい爆発音が森を響かせる。

「さっさと死ね! リリアーデ!!」

「まだまだ、死ねないのよ! クロノワール!!」

 怒号のする方を向けば、辺りを焦土に変えようとする凄まじい戦闘が繰り広げられていた。『サーチ』を使わなくてもヤバイことが分かる。

「なんでこんなところに連れてきたんだよ!?」

 今の俺は、単なるヌイグルミだぞ!?

「……アレを止めるのは、魔王の仕事」

「おい、無茶を……何をしようとしてるんでしょうか、レム様……?」

 俺が異議を唱えようとするのと同時に、高々と持ち上げられてしまう。

「待って!? お願い! マジで待ってください!!」

「魔王様……お仕事頑張ってね♪」

 可愛らしい表情とは裏腹に、地獄へと投げ混まれてしまった。


「貴様が初代様に媚を売ったそのせいで魔王軍が負けたんだ! 死をもって償うがよい! リリアーデ!!」

「負けたのは事実だけど、私のせいにしないでよ!」

 何度目になるか分からない過剰な魔力のぶつかり合い。

 自然で溢れていたはずの森は、二人の戦闘により焼け野原と化していた。

 1度距離をとった2人は、次で決めると身体中に魔力を溜め込む。

 正常な頭であれば、絶対に近づかないほどの戦い。

「死ねっ! リリアーデ!!」

「あんたはソレしか言えないのか!!」

 双方が溜め込んだ魔力を相手に向かって一直線に放つ。


 そんな戦闘の最中にヌイグルミが放り込まれた。

「レムのバカ野郎!!?」

「「なっ!?」」

 放った光線のような魔法の丁度真ん中辺り。互いの魔力が重なる点の位置に――ゴブリンのヌイグルミが放り込まれた。

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああ!!!!!??」

 人形とは思えないほどの悲鳴を上げる棚部。

 人形だったのが幸いなのか、叫んでいるけど痛みはない。

 むしろ凄まじい光を浴びせられているせいで叫んでいるのだ。


 そんな拷問にも等しい苦行は、15分後に途絶えた。

「死んだ……リリンさんじゃなくて俺が死んだ…………」

 赤茶色なゴブリンから、焦げ茶色なゴブリンに昇格した。

「どこが昇格だ!? 降格より酷い扱いだろ!?」

 まったく。

「なんだ、このゴミ屑は……?」

「お前が乗っ取ってる体の持ち主だ! いいから、体を返せ!!」

「ゴミ屑の癖に生意気だな」

「ホントねぇ~」

 おめぇ等がゴミ屑にしたんだろうが!

「なんでもいいから、体を返せ!」

 ボロボロの体(まだ何もやってないのに)で、俺の顔を睨む。

「ふんっ。力付くで奪ってみるがいい」

「言いやがったな……やってやるよ! 『炎の鎧』!!」

 俺はいつもの癖のような感覚で、『炎の鎧』を発動させた。

 いつも通り、俺の体が炎に包まれた。


「…………何をした、ゴミ屑」

「ソレはこっちの台詞だ! なんでお前が燃えてるんだよ!?」

 体は体でも、クロノワールが奪った人間の体が燃えていた。

「小賢しい……ふん!」

 クロノワールが、戦闘体制に移る前に……!

「『炎の鎧』!」

 魔力が身体中を巡る。そんないつもの感覚に包まれる俺。


 だけど、またも燃えたのは、ヌイグルミの俺じゃなく、体を奪ったクロノワールだった。

「なんでだよ!?」「どういうことだ!?」

 地面に膝を着く2人。

「……プフッ!」

 そんなコントのような状態の俺らを笑うリリンさん。

「「そこ! 笑うなっ!」」

「ご、……ゴメン……プフッ!」

 全然、謝る気ねぇじゃねぇか!?

「もういい! 体を返せ!!」

「貴様こそ! 私の邪魔をするな!! ふん!」

「させるか! 『水の羽衣』!!」

 今度は、身体中を水が覆う。

「お前だけ、好きにさせるかっての!」

 状態変化による技がダメなら、直接攻撃だ!

 俺は、右腕に魔力を流し込み、俺の体に殴りかかる。

「『剛打』!」

 力強く殴った俺だが……

「………………」

「………………」

 バフッて音がしただけだった。

 あまりの可愛らしい音に気まずくなる俺とクロノワール。

「ブフッ! だ、ダメ! ……笑いすぎて死んじゃう!!」

 肩をプルプル震わせて大爆笑するリリンさんには、殺意を覚えた俺だった。


 そんな爆笑の嵐が到来している最中。

「……オル」

「…………オルにも分かんないよ?」

 ガスターとオルが、腹を抱えてうずくまるリリンさんと、ゴブリンのヌイグルミとにらめっこをする俺の姿に困惑していたらしい。

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