初めての自分に挑戦!……コレで?
宣言通りに連日で更新です!
結構、いろんな展開が待ってますので、文字量の割には謎が一気に増えると思います。
それでは、本編の方をどうぞ!
目が覚めると、洞窟のような場所で寝かされていた。
「……ここ、どこ?」
俺は上半身を起こして、周りを見渡す。
それにしても、体が重い。ダルいわけじゃねぇけど、風邪を引いているみたいな感じだ。
寝ぼけた目を擦ろうと右腕を顔の近くまで持ってきた俺は、目を擦る前に目が覚めた。
「……なんじゃこりゃぁあ!!?」
俺の右腕が、モコモコのヌイグルミみたいな腕になってる!?
えっ!? なにっ!? 夢なの!?
あわてふためく俺の様子を見に来たのか、堅く閉ざされていると思っていた扉が、木の擦れる音をさせながら開いた。
「……おはよう、ベアちゃん」
「……お、おはよう、……誰か知らない女の子ちゃん」
緑のとんがり帽子を被った女の子が、目を擦りながら近づいてくる。
「それにしても…………」
「な、なんだよ?」
「…………………………」
じぃーっと見つめてくる女の子。
それにしても、って一言から先が出てこない。
やがて聞こえてきたのは
「スー……スー……」
「おい!? 話の途中で寝るなよ!!?」
彼女の可愛らしい寝息だった。
黄緑色の目を開いたまま寝ると人形のようだなと思ったのは、ここだけの秘密だ。
「なぁ? 俺の体なんだけど、……なんでこんなことになってんの?」
少女に抱き抱えられたまま、状況を説明してもらうことになった。
少女に一方的なハグをされている訳だが、意外に発育の良い体に、なんだか悪いことをしている気がしてくる。
「昨日、夢に出てきた」
「はぁ? 夢に出てきた?」
「……その前に自己紹介する。魔王」
「お、おう。頼むわ」
マイペースだなぁ……。それと、俺の正体を知っているみたいな口振りだ。
「私、ゴーレム族のレム。魔王七つ道具の使い手」
「レムちゃんな? 俺は、棚部亮だ。三代目魔王をしてる。よろしくな、レムちゃん」
ゴーレム族って言うとムーちゃんと同じ種族か。
クサリさんの元で、マイペースに仕事をしているチッコイ働き者を思い出して、なんとなく納得した。
「それで? 俺の体って今どうなってるの?」
「魔界1のファンシーショップ……ファンシーゴボで買ったゴブリンのヌイグルミ。名前はベアちゃん」
「あぁ~どうりで、体が赤茶色なんだなぁ~……ってちげぇよ!! 人間の体の方だよ!!!」
そう言うと、いきなり回れ右をさせられて、俺の柔らかい体をグニャグニャと触りだすレムちゃん。何してんだよ?
「……あった」
そう言って取り出したのは、オルが何度か使用した水晶だ。
「ねぇ!? ソレ、何処から出したの!!?」
ポケットだよね!? 決して、俺の背中からじゃないよね!!?
不安になって背中を探ろうとするが、腕が届かない。
俺の体と同じくらいの大きさの水晶を手にしたレムちゃんは、不安に駆られている俺を放置して水晶とにらめっこをしている。
「……あった」
相変わらずマイペースだ。
レムちゃんが俺の近くに水晶を持ってくる。
「…………どうなってんだよ? これ?」
その水晶には、目を疑う光景が写し出されていた。
なんで、俺の体がリリンさんと戦ってるの?
「ほら! どうした! リリアーデ!!」
「くっ!?」
最初の一撃が痛かったわね。
止血する時間はくれないし、オルちゃんも放心状態。訳も分からない内に『デッド・スペース』を発動されちゃうしで困ったものよ。……本当に、冗談抜きで。
「無詠唱でどこまで引きずり込んでくれるかしらね……」
傷口に手を当てて思案すること数秒。
私は腹をくくって大声を上げる。
「オルちゃん! 魔王城のタダ飯食いにこの事を伝えてちょうだい!!」
「……へぇ…………? リリンさん?」
「いいから行きなさい!!」
「見つけたぞ! リリアーデ!」
甘いわよ!
「『デモンズゲート』!」
直径5メートルの小さい門だけど、それなりに引き込んでくれそうね。
もっとも、万全の状態ならコレの10倍くらいは行けるのに。
「……この程度か、リリアーデ?」
「っ! あんたが刺さなきゃ、もうちょい出来るわよ!!」
ホントにイライラさせるわね!
「久しぶりに会った人をいきなり刺すかしら? クロノワール」
「流石に気付いていたか、リリアーデ」
「まさか、あんたが7大精霊の一角になってたなんてね」
まったくもって笑えない冗談だわ。
「そうだな。……あのお方の側に居たお前には想像もつかんだろうがな。ふん!」
動物たちの死体を吸い込んでいた『デモンズゲート』が、クロノワールが腕を払っただけで掻き消された。
「……さすが、あのお方の血だ。過剰に魔力を注いでも枯渇する様子がない」
「……やっぱりそうなのね」
「はっ。あの方の側に居たというのに、そんなことにも確信を持てんとは……やはり、あの方を惑わしたのは貴様が原因だな」
「そんなわけないでしょうが!」
本当にムカつく娘ね!
「魔王さんと私は、ちゃんと愛し合ってたのよ!」
「……初代魔王様を『さん』付け…………やはり、許せん!」
両腕を鋭く尖ったレイピアに変形させる。
「結婚してたんだから、呼び名くらいさんでも良いでしょうが!」
私は、魔力を高めて傷口を塞ぐ。
いつまでも流しっぱにしてたら、流石に死んじゃうし。
「なぁ……?」
俺は、レムちゃんに声をかける。
いくつか確認したい事が出来た。
特に――
「初代魔王の名前って……」
レムちゃんは俺を抱き抱えて立ち上がり、
「……お腹減ったから、ご飯の後で」
お預けをくらった。
「俺のことよりご飯が先かよ!?」
お預け状態なので、次話もなるべく早く更新したいと思います。




