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三代目魔王の挑戦  作者: シバトヨ
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久しぶりに本気を出すわよ!

「一時中断! 私がぶっぱなすまで待機してなさいっ!!」

「「「「はっ!!!」」」」

 さてさて、かわいいオルちゃんのために一肌脱ぎますか。

「『我、魔界を統べる王なりて、()の者達を終焉(しゅうえん)に導く者なり』」

 始めの一小節で黒い煙が立ち上ぼる。

「『我の前に路はなく。我の後ろに生者はない』」

 黒い煙は私たちの遥か上空で、円形にまとまっていく。

「『我に続くは悪魔の門なり』」

 この詠唱で煙は門の形を造る。

「『彼の門、開くは、我の意思なり』」

 煙はより固まり、鉄のような黒さを見せ始める。

 そして、

「『今こそ開き、彼の者らを喰らい尽くせ! デモンズゲート』!!」

 闇属性上級魔法をフル詠唱で放つ。

 名前の呼ばれた門からは、巨大なバビーを飲み込もうと、どす黒い腕を伸ばし始める。

 その腕に捕まえられたバビーは、羽を羽ばたかせて抵抗する。

 けど、無駄。

 1度捕まれば、飲み込むまでひたすら絡み付いてくる。

「さて、魔法舞台は他のバビーの足止めをしてちょうだい」

「「「「はっ!!!」」」」

 あとは、女王蜂が逃げないことを祈るばかりね。


 そう思っていた私は、親衛隊が守っているはずの女王蜂が落ちてくることに唖然とした。

「……魔王ちゃんが殺ったとしか思えないわね」

 まるで滝のように降ってくる緑色の液体。

 バビー特有の血の色が、バラバラになった体と共に降ってくる。

 下にいた巨大バビーにも降り注ぎ、門の中へと落ちていく。

「ドーラ!」

 私は竜族の娘を呼び寄せて、用件を伝える。

「なーに?」

「私をあそこまで運んでちょうだい」

 私が指差した先には、小さな竜巻があった。


 ドーラの背中に乗り、竜巻へと近づく。

「へぇー。話には聞いていたけど、そんなことまで出来るようになるのねぇ」

 私は少し感心していた。

 なんせ、魔力の状態変化と性質変化を同時にやって、

「ダーリンが浮いてる!?」

 そう。分厚い空気の膜を張って、その上に立ってるんですもの。

 私だったら、そんな危険な真似はしないわね。

「やぁあ! 一人で悩んでたところなんだよ!」

 ……魔王ちゃんの声色で、その明るさはどうなのかしらね?

「2人が来てくれたなら安心だね! オイラもさっさと帰れるよ!」

「ちょっと待ちなさい……!」

 この調子の魔王ちゃんと話すのは、何かと疲れるけど、それでもいくつか聞きたいことがある。

「うん? なに? オイラになんか用事?」

「あんた達は、なんで魔王ちゃんに取り付くの? それと、その条件を教えてほしいのよ」

「う~ん……話したいのはヤマヤマ……タニタニだっけ? まぁ、なんでもいいんだけど。オイラが話すと余計なことまで話しちゃって怒られちゃうんだよ。だからゴメンね?」

 ちょっとイラっと来るわね……。

「でも、魔王君のお世話をしてもらってるから、ヒントと警告だけしとくね?」

 ヒントと警告?

 いったいなんのことかしら?

「オイラ達は、常に魔王君のそばにいる訳じゃない。8人全員がいれば、誰もいないときもあるんだ」

「8人?」

 7人じゃないのかしら?

「それと、こっからは警告だけど。……黒は、女王さんをかなり憎んでいるから気を付けてね?」

「ちょっと待って! その黒ってのは……!?」

 言いたいことだけ言って、魔王ちゃんの体にまとわりついていた風が消える。

 まるで糸の切れた人形のように、体は自由落下を始める。

「ドーラ!」

「うん! しっかり捕まってて!!」

 ドーラは急降下をして、魔王ちゃんを足で掴む。

 ……ビリって聞こえたけど、大丈夫よね?

「それじゃ、下に戻りましょう。オルちゃんにも報せてあげないと」

 私は少しモヤモヤしたまま、地上へと戻った。

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