初めての昆虫採取に挑戦!
昆虫ってよりは、魔物だけどな。いや、見た目は昆虫だけど。
巨大な蜂『バビー』にシックハックしながらも、襲いかかってきた5匹をなんとか捕獲。
街の方にも、被害が及ばずで、万々歳の状態だ。
そして俺達は、1度魔王城へと帰還することになった。……ただ、気になることが1つ。
「オル。あの蜂ってどうしたんだ?」
およそ1メートル弱の巨大な蜂だ。しかも5匹。
両手で持ってやっとってくらい大変な蜂の姿が、見当たらないことに疑問を抱いた。
「うん? アレならコレの中だよ?」
そう言って、魔王七つ道具の1つ。ボウリングくらいの水晶玉を見せてくる。
マミー属のマリンさんが放った『サンダーボルト』を吸い込んだときに見た以来だ。
「それって、何でも吸い込めるのか?」
俺が聞くと首を横に降る。
「何でもは無理かなぁ? オルが吸い込みたい物しか無理」
「へぇー」
なんか、便利というかワガママな水晶だなぁ。
「お、おかげで、俺がバテそうだ……さっさと向かうぞ」
オルが無意識に魔力を吸い取っているんだろう。
ドンの声に覇気が失いつつある。こんなドンは、見たことがない。
ドンが気絶する前に、急いで魔王城へと向かった。
魔王城では、『バビー』対策本部がたてられていた。いや、文字通り、白い生地に黒いインクで『バビー対策本部』と書かれたテントが張られていた。
刑事ドラマかと思った。
「A班は至急、サタブリッジへ急行しなさい! そのまま、橋を閉鎖よ!!」
『橋が封鎖できません!!』
踊っていた。……魔物退治だよなぁ?
緊迫した雰囲気はある。あるんだけど……どこか遊んでいる空気も……。
「くぅぅうう! 前に観たドラマの再現って、気持ちいいわよねぇ!」
完全に遊んでいた。こんなんでいいのだろうか。
「あら? 魔王ちゃんにオルちゃんじゃない? 特訓はどうしたのよ?」
魔界最強の遊び人こと、リリンさんが現れた。
「『バビー』が街に現れたから、こっちに来たんだよ」
オルは、水晶を掲げて、
「『アウト』!」
短い呪文を口にした。
すると、水晶から5匹の巨大な蜂が地面に現れる。
俺が気絶させて、オルが保管していた奴らだ。
「へぇー結構大きいのね」
興味本意でペチペチ触るリリンさん。
「う~ん……蜂だから、蜜とか集めないのかしら?」
「いや、さすがに無理じゃないか?」
こんな蜂がチマチマ蜜を集めると思わねぇし。
「ううん。それがそうでもないんだよ、ダーリン」
水をもらって一息ついていたドーラが、駆け寄って言う。
おいおい、水、こぼしてるぞ。
「ドーラ、『バビー』専用の樹木から蜜を持って帰ってるところを見たことあるよ」
「『バビー』専用って……」
どんな木だよ。相当デカイのか?
そもそも、コイツらって肉食じゃねぇの?
納得できないながらも、掃討作戦に参加することになった俺達4人。というか、2人と2体? 竜ってどう数えりゃいいんだ?
「でも、オルは戦えねぇだろ? どうするんだ?」
オルが戦うためには、魔王七つ道具を取り出す必要がある。
そんでもって、使用中は魔力をドンドン消費していく。
俺から吸い取っている場合は問題ない。無尽蔵に、文字通り、使いたい放題だから、ちょっとやそっとじゃどうともならん!
だが、俺以外ってなると話が違う。
オルが魔力を吸い取るから、相当な魔力の持ち主じゃないと、下手したら死ぬ。
「魔王様、手、貸して」
「お、おう」
言われた通りに左手を出す。
ぶっきらぼうに出された手を両手でこちょこちょするオル。ちょっとくすぐったい。
「……出来た! これで離れてても大丈夫!!」
「これ、なに?」
手の平と甲になんかの模様が描かれていた。
「魔王様が、大陸に行っていたときに教えてもらったの! なんでも、離れていても魔力の供給が出来るようになるんだって!!」
……なぜか嬉しそうだ。
俺にはよく分からないけど、これでオルも戦えるようになったということだ。
「なら、もうそろそろ出よう。あの蜂どもが街の上空を飛んでたんだ。被害が出ねぇようにしねぇと」
「うん! 行こう!!」
竜と化しているドーラ達の背中に乗り、蜂退治へと大空を舞った。
最近、書き方が雑になっている気がします。
夏の暑さにバテないように、気を引き閉めて取りかかりたいと思います! ……夏休みいいなぁ。




