トーナメントに挑戦!
お久しぶりです。
かなり長い期間空いてしまいましたが、頑張って更新していきますので、首を長くして待っていてください。
それでは、どうぞ!
いやー、スッキリした。
バトルロワイヤルという名の無双ゲームだったが、余裕で勝ち残った。
そして、クサリさんが初戦敗退するという奇跡を信じたが……まぁ、平然と勝ってたよね。
むしろ、クサリさん達と俺らの力量が、遥かに違うと確信した。
だって、選手全員を無傷で場外送りだぜ?
違うブロックで良かったと、心底思う。
「ところで、優勝賞品ってなんだよ?」
バトルロワイヤルが始まる前に、俺にもったいつけるように言ってたからな。
「あぁん? まだ、初戦を戦ってねぇだろ?」
「はぁ!?」
なに言ってんだ!?
「戦っただろ?」
俺が確認すると、ネグはあぁと言って説明する。
「さっきのは、予選だ。初戦は、2試合後にあるから。それに勝ったらって意味だ」
「おい!」
お前は、そういう説明が抜けてるんだよ!
なんで……まぁいい。
「次の試合で勝ったら、キチンと教えろよ?」
「あぁ、分かってるよ」
本当に分かってるんだろうな?
そんなやり取りをしていると、あっという間に俺たちの番になった。
フィールドの焦げ跡は、綺麗に消えていた。
どんなマジックを使ったのか、知りたいぐらいだ。
「相手チームは、火力重視の披召喚者を出すことで有名だ」
「披召喚者って?」
「おっさんみたいに召喚された人のことだ。アイツは、ケンタウロスとか巨人とか、そういった馬鹿力の奴を出してくるから」
コイツ、未だにおっさん言うな。
なんか……馴れた。本当は、馴れて欲しくなかったが。
「まぁ、問題ねぇよ」
パワーなら、俺も自信あるし。
『それでは、ネグ・ディザイア選手、アルゴ・ガンナ選手は、ステージの上へと移動してください』
「よし! おっさん、行くぞ!」
「あぁ!」
アナウンスに呼ばれてフィールドへと立つ。
『レディース! アン! ジェントルメン!!』
英語なんだろうが、変な気合いの入れ方で、変な風に聞こえる。
マイクも、時々キンキンなってるし。うるせぇ。
『お待たせしましたぁ!! ただ今より! ネグ・ディザイア選手対アルゴ・ガンナ選手の試合を始めます!!』
騒々しいアナウンスの後に、ドラの音が鳴り響く。
「早速、切り札投入だぜ!」
アルゴとか言う巨漢は、1枚の赤い札を取り出す。
「げっ!? いきなりかよ!!?」
「なにがだ?」
全然、理解できていない俺を置いて驚くネグ。
なに? ヤバイの?
「こいっ! ミノタウロス!!」
赤い札をステージへと投げつける男。
すると、赤い札が燃え、火柱をあげる。
そして、その中から、3メートルほどの巨大な影が写し出される。
「おっさん! 気張ってくれよ!!」
やがて火柱が消えると、そこには俺の二倍ぐらいの人が立っていた。
頭には、鋭い角が2本も生えている。
あれに刺されたら痛いだろうなぁ~。
「叩き潰せ!」
アルゴという男が、偉っそうに命令する。
俺なら、命令口調の巨漢を叩き潰すところだ。
だが、召喚されたミノタウロスは、律儀にも命令に従う。
「ウモォォオオオ!」
牛みたいな鳴き声を辺りに撒き散らしながら、両手を固く握り、俺の頭を目掛けて叩きつける。
「おっちゃん!!?」
「大丈夫だって。コレくらい、なんともねぇよ」
コレよりすごい力で圧倒されたこともあるんだぜ?
俺は、左の手のひらでミノタウロスの攻撃を受け止めた。
「さて、ミノタウロスには、悪いけど、吹っ飛んでもらうぜ?」
右腕に魔力を注ぐ。
渾身の攻撃を受け止められたことと、突然、魔力が増加したことにより、ミノタウロスは拳を引いて逃げようとする。
「吹っ飛べぇ!!」
ミノタウロスの腹部に拳を決める俺。
あまりの威力にミノタウロスの体が、空中に舞う。
そして、勢いのままにステージの外へと追い出される。
飛ばされたミノタウロスは、痛みに耐えきれなかったのか、地面に着地する前に光の粒子となって消えていった。
ネグに聞いたんだが、この光の粒子は、披召喚者が元の世界に帰った証らしい。
「おっさん! マジですげぇな!!」
後ろで退避していたネグが、感心しながら近づいてくる。
「本当に凄いと思ってるなら、ちょっとは敬ったらどうなんだ?」
全然、誉められてねぇ気がするんだよ。
そんな二人に、もはや戦意喪失したアルゴは、降参して、俺らの勝利となった。
「そんじゃ、約束通りに教えてやるよ」
選手控え室にて、ネグから優勝商品について聞くことになった。
この控え室は、バトルロワイヤルに勝ち抜いた人らに1部屋ずつ割り当てられている。
クサリさん達も別の部屋にいるだろう。
「優勝商品は、コレだ!」
そう言って、ネグは1枚の紙を手渡してくる。
「……読めねぇんだけど」
「あぁ、そうだったな。すまんすまん」
俺は、この世界の時が全く読めない。
会話は出来るけど、読み書きが出来ないって意外と不便なんだよなぁー。書き置きとかも出来ないし。
「えぇーっとだな。優勝者には、純金のメダルが与えられるのだぁ!」
「な、なにぃー(棒)」
いや、正直。貰ってもどうしようもなくねぇ?
一応、ネグのテンションに乗ってやったけど。
「断言する!」
ネグは机の上に乗って、大声で宣言した。
ってか、机に乗るなよ。汚ねぇ。
「コレを売れば、俺の学園生活はリッチになる!」
「あぁ、そうですか」
なんと言うか……どこまでも欲望に素直な奴だなぁ~って感心しそうになった。
「だからおっちゃん!」
俺の手をとって、懇願するように言う。
「あのメイドさんにも「無理だな」勝って、最後まで言わせろよぉー!」
「先に言っとくが、絶対に勝てんぞ?」
あのクサリさんに勝つとしたら、両手両足を縛り上げて、場外へ叩き落とす以外、考えられない。
まぁ……縛り上げるのも無理なんだが。
「お前は、クサリさんの強さを知らねぇから、そんなお気楽なことを言えるんだよ!」
俺が叫ぶと、真面目な顔をして告げるネグ。
「おっちゃん。人間、死ぬ気でやれば、何とかなるんだぜ」
キラーンって効果音がなりそうな笑顔で言いやがった。
クサリさんに勝つためには、人生を10回ほどリセットしないと無理じゃねぇかな?
『それでは、第二試合を開始します。選手の皆さんは、ステージ裏まで集合してください』
「おっと、集合時間だ。おっちゃん、2試合目も頼んだぜ!」
本当にお気楽だよなぁー。
「ネグ! もっと下がれ!」
「これ以上は無理だ!」
3メートルほどの巨人が今度の相手だ。
だが、その巨人からの猛攻が凄すぎて、後ろに押されつつある。
何とかガードしているが、それでも相手の体重が乗った攻撃。徐々に後ろへと下げられていく。
ヤバイな。このままだと、二人ともが場外へ出ちまって失格になる。
「ちょっと熱いけど、我慢しろよ! 『炎の鎧』!」
「はっ!? あっつ!!?」
ネグを燃やさないように、火加減を調節して『炎の鎧』を発動する。
熱気だけで済んだんだ。ありがたく思ってほしい。
俺が炎に包まれると、相手の攻撃がやんだ。
そりゃ、素手で火だるま人間に殴る奴なんて、そうそう居ないだろう。
「今度は、こっちの番だな!」
がら空きの胴体にタックルを喰らわせる。
もろに食らった巨人は、熱さに驚いて、地団駄を踏む。
「うおぅ!!?」
地震でも起きているような錯覚を覚えるほど、フィールドが揺らされる。
だが俺は、なりふり構わずに巨人へと反撃。
「『火炎・剛打連拳』!」
炎に包まれた拳を何発も叩き込む。
熱さと鈍い痛みにドンドン後ろへ下がっていく巨人。
そして、凄まじい地響きをたてた。
「勝者! ネグ・ディザイア選手!!」
コレで二回戦突破!……あと3戦でクサリさんとだ。
未だに短編ですが、本編の方も書いていきます(更新は、この短編が終わってから)。
たぶん次で、短編終了です。




