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三代目魔王の挑戦  作者: シバトヨ
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再び、肉体強化に挑戦!

新メニューをコツコツこなしている俺 棚部(たなべ) (りょう)は、自分にできる限りのことを必死に取り組むことを決意した。


――――そんな決意をしてから1週間が過ぎた、ある日。――――


「ふっふっ……はっはっ……。」

毎日の日課のごとく長距離を走っている俺に同じく訓練に励んでいるであろうメイド隊達の視線が集まってくる。

……なんだろ?気になるな?……。


「ふっふっ……はっはっ……。」

「「「「「ジーーーーーーーーーー。」」」」」

あまりにも気になるので、ちょっと足を止めて聞きに行く。


メイド隊は、どの子もかわいいし、メイド服を着ているのでなかなか声をかけにくい。おまけに、女の子との会話レベルが、低いので緊張しまくり……。

「あのー、なにかよう?」

自然な笑顔を心がける。……こんなことを考えている時点で自然らしさなんて、皆無じゃないのか?

「い、いえ。なんでもありません。」

6、7人いるメイドの中から一番年下の子が、緊張しながらも応えてくれる。

「そ、そう?」

こっちも緊張しながら応えてその場を離れた。


「ふっふっ……はっはっ……。」

…………まだ、視線が集まっている気がする……。自意識過剰なだけかな?…………。

「魔王様。」

!!?

「びっくりした!クサリさん、後ろから突然、声をかけないで下さいよ!!」

足音すらしないで近づいてきたら、気づけないですよ……俺。

「一度、短距離走をしてみては、いかがでしょうか?」

うん?ここで短距離走?

俺が疑問に思っていると、顔に出ていたのだろう。クサリさんが、理由を簡単に説明する。


「残り1週間しかありませんので、途中経過でどのくらい会得できているのかを知るには、ちょうどよろしいかと思います。」

「確かにそうですね。じゃぁ、切が悪いので、あと半周したあとに。」

「分かりました。」

短くそう言うとクサリさんは、準備のためにその場から消え去った。

……あんまり変わらないような気もするけどな……。


俺は、言った通りに半周を走り、城の裏側にいたクサリさんの元に。

「それでは、準備が出き次第どうぞ、魔王様。」

脚に魔力をためるイメージをする。この1週間で感覚的に身に着けた方法だが、ほんの少しだけ、速く走れるようになった。

「いきます!」

思いっきり、地面を蹴る。

「うわっ!!」

「きゃっ!!」

先にゴールへ移動していたクサリさんにぶつかりそうになった。

「っとっとと。」

何とかぶつからずに止まることが出来た。

…………。今、一回地面を蹴っただけで、100メートルを移動した……。

「……化け物だな……。」

「いえ、魔王様でございます。」

いや、そういう意味じゃないんだけど……。


「まさか、もう成果が表れてきてるなんて思いもしなかった。」

マグレじゃないかどうかが心配だけど。

「魔王様。今の感覚を忘れないように何度か短距離をしましょう。」

そう言われて、この後に20本ほど短距離走をした。

何本かは失敗したが、15、6本ほど瞬間移動のような移動をした。

「これは、すごいなぁ。」

自然と感想がこぼれる。まさか、1週間で移動スピードが亀から光にレベルアップした。


「それでは、明日からは、今の速さを保ったうえで、ジグザグ走行をしてもらいます。」

……。レベルが上がったら訓練内容もレベルが上がった。けど、魔力値0の俺が、頑張れが成果が出ることを嬉しく思わないわけがない。

「っしゃ!やってやるぜ!!」

「ついでに他のも試してみましょう。」


初日の特訓以来、巻き藁を殴ってきた俺が、今までは、巻き藁をへし折るイメージで行ってきた。今度は、走る時と同じ要領で拳に魔力をためる。

「……はっ!!」

ドンッ!!!

……巻き藁は、まっすぐ立っていた…………。

うーん。魔力のためが少なかったのかな?けど、魔力の量なんてまだよくわからないし……。

「攻撃の方は、まだまだ同じ訓練でよさそうですね。」


次は、防御力だ!気合を入れるぞ!!

クサリさんが、俺の目の前に立ち、

「準備は、よろしいでしょうか?」

「うん。よろしく。」

……気合を入れたものの、1週間前の恐怖がよみがえる。


「では、…………行きます!」

事前に目と脚と手にそれぞれ魔力をためておく。目にためることにより、動体視力や視力の強化につながる。脚は、少しでも回避能力を上げるため、手は、防御時のダメージ軽減を考えてのものだ。

「っ!」

避けることは、出来なかったが正面から俺の腹部目指して繰り出された正拳突きを両手で防御する。

バンッ!とすごい音がするものの初日のように気絶することはなかった。

かなりの進歩だと内心驚いていると、2撃目が左から迫ってくるのが分かった。回転を加えているため、防御するには今の俺では心もとない。この攻撃は、避けなければ!!

そう思い、後ろに飛び退く。


クサリさんの2撃目は、空を切る。それだけで、ビュッ!!とすごい音がする。

冷や汗を流しながらも次の攻撃に備える。が、

「そこ!!」

後ろから声が!!

バンッ!!振り向く前にお尻に攻撃を受けた。痛い……。


「魔王様!まさか、2撃目を回避するとは、思いませんでした。」

「後ろからの攻撃は、避けることも防御もできなかったけどね。」

それでも初日に比べればかなりの進歩だろう。


ちなみに、この訓練が一番不安だった。相手の攻撃を目で認識して、回避か防御の選択をするには、規則的すぎる攻撃は、慣れてしまうからだ。それでも、信じて黙々と訓練に励んだ結果が、これなのだ。

嬉しさは、今日一番だろう。


「明日からは、メイド隊の中から近接戦闘の得意な方と組み手をしてもらいましょう。」

「組み手ってことは、俺からも攻撃をするってことですよね?」

正直、女の子を殴ったり蹴ったりはしたくない。

「大丈夫です。魔王様と同じく、彼女たちも防御力の強化につながりますので、本気で攻撃をしてください。」


……まぁ、攻撃力強化は、まだできていないから大した攻撃にならないだろうから、心配ないか。


この途中経過を知るためのテストは、とてもいい気分転換になった。

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