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三代目魔王の挑戦  作者: シバトヨ
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久しぶりの高校生に挑戦!

 今回から3話分(予定)は、短編です。

 そして、1度やってみたかった、コラボレーションです!

 まぁ、自分が書いている『召喚!ハイスクール!!』なんですが……。


 では、短編をどうぞ!

「それではいきましょう!!!! あかーーーーーーこーーーーなーーーーーー!!!!」

 コロシアムみたいな会場で、マイクを握ったアナウンサーが大げさなアナウンスを大音量で響かせる。

「サモナトリウム学園! 1年C組!!! ネグーーーーーディザイアぁ!!!!」

『うおおおおぉぉぉぉぉぉおおお!!!!』

 アナウンスと共にここまで奇抜な戦い方を繰り広げてきた登録選手の名前が呼ばれる。

「しろーーーーーーこーーーーなーーーーーー!!!!」

 彼と戦うのは、グラビアアイドルに出ていそうなほどのスタイルとルックスを持っている少女だ。

 ……しかも、単なる少女ではないらしい。

 俺の隣に立っている少年曰(いわ)く、パないらしい。……パないってどういう意味だ?

「同じく!! サモナトリウム学園! 1年C組!!! メアリーーーーーーーーカーールゥゥゥゥゥーーーーー!!!!!」

『うおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉおぉぉおぉぉぉ!!!!!!』

 向こうの方が声援が大きいなぁ……。まぁ、向こうは華があるからな。しょうがない。

 そんな対戦相手である彼女の後ろには、俺が一度も勝ったことの無い、メイド服に身を包んだ女性が立っていた。

「……マジで、クサリさんと戦うの?」

 そもそも、なんでこんな大会じみたっていうより、大会そのものなんだが……それに俺とクサリさんが出場することになったのか。

 あっ……ちなみに選手でなくて、うーん……なんて言えばいいのか……選手に召喚されて? 代わりに? 戦うことになってるんだが…………。


 事の発端は、数日前に(さかのぼ)る。

 その日も俺は、いつも通りに修業と就業に勤めていた。クタクタになってたが、風呂に入って、ここ8ヶ月くらい使っているベッドに入って寝た。

 もう、入ってすぐ意識をたった。

 それで夢の中に、知らねぇ男が出てきて、俺に話しかけてきたんだ。

『大会があるから出てくれね?』ってよ。ってか今思えば、初対面の癖に軽いなぁーコイツ。

 まぁ、俺も完全に夢の中の出来事だと思ってたから、適当に相づちしたんだよ。……後に知ったが、それが間違ってたようだ。


 翌朝。いつものベッドのとは、どこか違うと思って起きた。

 回りを見渡して、そりゃ、違うはずだよなと思った。

 だって、…………(わら)の上だもんな。

「ど、どこだここ?」

 たくさんの藁に埋もれながらも辺りをキョロキョロしてると、トコトコ足音をならして一頭の馬が近づいてきた。

 ……立派な角が眉間(みけん)から生えた、真っ白な馬……ユニコーンってヤツだっけ?

「うぉお!?」

 腹がすいていたのか、俺が座っていた藁をムシャムシャ食べ始めた。

 食われるのかと思って、臨戦態勢になっちまったが、……たしか、比較的大人しい草食動物だって本で読んだ気がするぞ?

 ……試してみるか。

「おーしおしおし! ドウドウドウドウ!」

 動物王国の王様をイメージして、角の生えたあたりをワサワサ撫でる。

 それが気持ちがいいのか、ヒヒィーンと馬らしい鳴き声を上げていた。

「ここか? ここが気持ちいいのか? どうれ……オリャオリャオリャ!!」

 ……俺も変なテンションだった。


 ユニコーンに別れを告げて外に出てみると、どうやら学校の敷地にいるらしいことが分かった。

 制服姿の男女が、仲睦(なかむつ)まじくキャッキャウフフと青春していた。

「………………」

 ……あぁ、懐かしき青春時代よ……。

 俺にも、あんな時期があったらなぁ……。

「っでさ、こないだの契約は、破棄になっちまったから大会に出られるかどうか怪しくなっちまったんだよ……」

 懐かしき青春時代にタイムスリップしていると、後ろから話声が聞こえた。

 契約? 大会?

 とりあえず、することもないし……情報を集めるとするか。

 俺は、話し声の方にトボトボ歩いていった。


 話し声の主は、電話をしていた。

 俺は、電話が切れるのを確認してから突撃する。

「あー……ちょっといいか?」

「あぁん? なんだ? その恰好(かっこう)?」

 一昔前の携帯電話(ガラケーってやつ)をポケットにしまって、こっちを睨んでくる。

 なんか、不審者と認定されてるみたいだ。

「部外者なのは知ってるんだが……ここってどこだ? ユーラシア大陸じゃねぇよな?」

 俺の元いた世界にユニコーンは、存在していない……はず。

 だが、ポケットにしまった折り畳み式の携帯にホンのちょっとたけ、望みをこめて聞いた。

「へぇ? ユーラシア大陸? なんだそれ?」

 どうやら地球でも、クサリさん達の世界でもないらしい。

 なら、なんなんだよ! その携帯は!!

 そんな不満を胸にしまって、情報を聞き出すことを優先する。

「いや、……何でもない。それより、ここはどこだ?」

 俺が声をかけた少年が、不審者を見る目になった。

 あまり冗談を言っている場合じゃないな。元の世界に帰るどころか、この世界の警察にお世話になる可能性まで見えてきた。

「……おっさん「だれが、おっさんだ! これでも未成年だ!!」……それはすまん。っでおっさん」

 コイツ……。

「もしかして、ここに召喚されてきたのか?」

「はぁ? 召喚? 確かに、夢で呼ばれたような気もするが……」

「あぁー……なんていうかな……夢の中かどうかは、知らねぇけど、誰かになんか言われてねぇか? そうだな……この時期なら…………大会に出てくれとか?」

 大会………………あっ!

「そんな夢を見たな……たしか、男から『出てくれねぇ?』 みたいな軽い調子で言われた気がする。ただ、それがどうしたって言うんだ?」

「……それが原因だな」

「なんの?」

「おっさんは、こっちに呼ばれてきたんだよ。誰が呼んだかは、知らねぇけど」

 呼ばれてきた? 呼ばれたっていうのは、もしや……

「召喚されたってことか?」

 何? 元いた日本から、クサリさんたちのいる世界に呼ばれて? さらにそこから呼ばれたの? 俺。何その確率。何にも笑えねぇ……。

「あぁ。おっさんは、『コールマスターズリーグ』に出場する選手の誰かから召喚依頼があったんだ。それを知らずにおっさんは、頷いちまったんだよ。ちゃんとした召喚術者(コールマスター)なら、おっさんへの説明責任を果たすだろうから……その辺のチンピラレベルの奴らが、面白半分でおっさんを読んだんだろうな。なぁ? 聞いてるか? おっさん?」

「あぁ……聞いてるよ……」

 おっさん、おっさんって……コイツ……。

「っで、おっさん「おっさん言うな!!」……ものは相談なんだけど……俺と組まねぇ?」

「断る!!」

「えっ……いや、今の流れなら、うんっていうところだろ!?」

「どう考えたら、そうなるんだよ!?」

 暴言吐きまくりのガキに、そんな都合よく従うバカがいるのか!? そんな奴がいるなら、俺の目の前まで連れてこい!!


 ……数分後。

「あぁ、……コイツが、都合よく従うバカか……」

 鏡を見てうなだれていた。

 あのあと、騒ぎを聞きつけた警備員みたいなのに追われそうになったところを、ガキに助けられた。

 陰湿すぎる。これが、計画されての出来事でないなら、マジで……泣きそう。

「まぁ、気にすんなよおっさん。刑務所行きじゃなくてよかったな?」

 くそっ! マジで腹立つ!! ニヤニヤ笑いやがって。

「ってか、おっさん言うな。俺は、棚部(たなべ)亮って名前があるんだ」

「そうか、そりゃすまんかったな。俺は、ネグ・ディザイアだ。よろしく頼むぜ、リョウ」

 そういって、アメリカンな感じで手を出してきたネグ。握手の文化なのか……。

「こっちこそ」

 俺は、ネグの右手を強く握った。……おっさん言った仕返しだ。

「それより、大会って何するんだ?」

「あぁそうだったな。俺と組むから、俺が説明しないとな」

 そう言って、ネグが持っている白い肩掛け鞄から紙とペンを取り出した。

 ここ半年くらいは見ていないため、新鮮な気持ちになった。

「簡単に言うと召喚術者(コールマスター)によるバトルだな。リョウは、俺が召喚したことにしてその大会に出てもらう」

 …………呼ばれた先でも戦いですか。いや、もう慣れたけどね。

「それで? その大会が終わったら俺は、帰れるのか?」

「あー……たぶん、何とか出来るはずだ」

「たぶん?」

 一気に不安になってきた。俺……帰れるかな…………。


――――――――――


「と言うわけで、よろしくお願いします」

「こ、こちらこそ! よ、よろ、よろろろろしくおねがががいします!!!」

 まったく、可愛らしい方ですね。

 今、私は、メアリー・カールさんと契約を交わしたところでございます。

「そちらへは、いつごろ召喚されるのでしょうか?」

 彼女は、ピンクの手帳をパラパラとめくり、スケジュールを確認する。

「えーっと……ちょうど1週間後のお昼ぐらいに召喚して、……その日から2日後に大会初日を迎える予定です!」

 緊張しているのでしょうか? 先ほどから語尾だけが変に裏返っています。

「メアリーさん」

「は、はひふ!!」

 ……そんな返事は、初めて聞きますね。

「そんなに緊張なさらないでください。そちらの事情は存じているつもりでございますので」

「へっ!? ほぉ~」

 ……ワザとでしょうか? 分からなくなってしまいました。

「それでは、召喚をお待ちしております」

 そう言って、誰もいない部屋に独り、お辞儀をして、メアリーさんとの会話を終えました。

 それにしても……

「魔王様は、いったいどこに行かれたのでしょうか?」


――――――――――


「うめぇな! コレ!!」

「そうだろ!」

 現状を悩んでもしょうがないので、昼飯をごちそうになっていた。

 俺が食べているのは、学校から歩いて10分足らずの商店街で売られていた、鳥の串焼きだ。

 ……なんか、初めて召喚された時も串焼きを食べていた気がするけど……うまいからいいか!

 席について、飯を食べ始めたが……ちょっと不安なんだよなぁ。

 念のため、聞いておくか。

「……だけど、ほんとにいいのか?」

「あぁ? なにがだ?」

 何がって……

「俺は、ここの通貨を1枚も持ってねぇぞ?」

 ポケットに入っていたのは、クサリさん達の世界で通用する銅貨1枚だけだ。ってか、よくポケットに入ってたと思う。

「別に構わねぇよ」

 そう言いながら、財布を確認するネグ。

 確認を終えたのか、顔を青白くしながら財布をしまった……って、まさか!?

「……おい「いや! 何でもねぇから!!」……」

 絶対、ダメなやつだろ?

「ちょっと待ってろ。おばちゃんと交渉してくるから……」

 俺は、料理を運んでくれたおばちゃんの元へと歩いていった。


「おばちゃん、ここの責任者っている?」

 おばちゃんと言われたことに腹をたてたのか、それとも、突然の声をかけられたことを怪しんでいるのか、とにかく不機嫌な様子のおばちゃんは、店長を呼びに奥へと行った。

「交渉なら俺に任せろ」

「いや、お前だと不安だから」

 何かトンデモないことを言いそうで怖い。

「どうかされましたか?」

 おばちゃんに呼ばれて出てきたのは、若い男性だった。

 この人なら、俺でも交渉しやすそうだ。

「すいません。俺達、お金があまりなくて……払うに払えないんですよ……」

 そう言った途端。

 店長の顔色が変化した。まぁ、当然だけどな。

「それで?」

 俺は、緊張しながらも続きを口にした。

 店を震わせるような大きな声で。

「ここで少しの間、働かせてくれませんでしょうか!」

 ここの飯代だけでなく、数日間、生活するための資金が必要になる。

 だったら、いっそのこと。

 ここで働いて、生活費を稼いだ方がいい。

「……………………経験はあるのか?」

「皿洗いくらいなら……」

 店長は、背中を見せて俺に言う。

「なら、厨房に来な! まずは、今食った代金分を働いてもらわねぇとな」

「あざまーす!!」

 俺は店長の後に続いて、厨房へと入っていった。

 そして、独り取り残されたネグは、ボソリと(つぶ)いた。

「アイツ等……なんか、キャラが変わってねぇ?」

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