表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三代目魔王の挑戦  作者: シバトヨ
7/179

初めての魔法と新しいメニューに挑戦!

昼食を食べる前にこってりとしぼられた俺 棚部(たなべ) (りょう)は、午後の戦闘訓練のためにも昼食をたくさん食べた。……正直なとこ、腹ペコだったのと異様にうまかったからである……。


昼食を終えて、戦闘訓練に移った。

今日の戦闘訓練は、昨日よりも簡単にしたメニューと午前中の勉強の復習を兼ねて、魔法についての技術訓練もやる予定だ。

「クサリさん。具体的にどうするんですか?」

今日もクサリさんとマンツーマンで行う。昨日のことがあるため、精神衛生はあまりいいと思えないけど。

「六属性の初級魔法と属性外魔法を実験的に行います。」

そういうと、クサリさんから一枚の紙を渡された。

なになに。『フレア』『フリーズ』『ウィンド』『ストーン』『フラッシュ』『ダーク』という魔法名と効果について簡単に書かれている。

どれも攻撃魔法らしい。

「そんじゃ、一番上のやつから順番に……『フレア』!!」

………………。何も起きない……。

「『フリーズ』!!」

………………。何も起きない……。

「『ウィンド』!」

………………。何も起きない……。

「『ストーン』。」

………………。何も起きない……。

「『フラッシュ』……。」

………………。何も起きない……。

「……『ダーク』…………。」

………………。何も起きない……。

「もう、帰りたい……。」

「魔王様!大丈夫です!!初めて魔法を扱える人なんて、ほんの一握りですから!!」

……懸命に励ましてくれるクサリさんは、やさしいな……。

「クサリさんもそうだったんですか?」

「……………………。」


……あれ、目の前が歪んできたぞ……。おかしいな、少し目頭が熱くなってきた。

そうか、…………これが……心の汗か……。

「魔王様!大丈夫です!!いきなり『無詠唱』で魔法を使おうとしたのが間違いなだけです!!!」

「?『ムエイショウ』??」


クサリさん曰く、行使する魔法に対して、必要以上の魔力を込めて詠唱せずに発動することらしい。

……でも、初級だぜ、初級魔法だぜ……。

まぁ、騙されたと思って詠唱句を覚えて実際にやってみる。


「『最初の知より生まれし灯よ、彼のものを燃やせ!フレア!!』」

……ボッ!……。ライターで火を付けたような燃え方をしてすぐに消えた……。

……これなら、100均ライターの方がまだ性能が上だろう。

…………100円以下か……。


「魔王様!使えましたよ!!火ですよ!火!!火の魔法が使えましたよ!!!」

クサリさんが、俺を励まそうとちっぽけな火をこれでもかと褒める……。

けどね、クサリさん……。この火に対して、そんなに褒めると、……惨めに思えてしょうがないんですよ……。

「……次の属性魔法を行いましょう。魔王様……。」

……そうですね。


結果からいうと、詠唱をすれば、どの属性でも扱うことが出来た。この点に関してクサリさんはものすごく驚いていた。何よりも、魔族・魔人であるはずの俺が、光属性を扱えたことである。


俺は、人間だと思ってるけどね。なんでも、『魔王』として呼ばれたため、闇属性を基調として魔力値などの値が決まるらしい。が、

「俺は、結局どの属性何でしょうか?」

「……分かりません。ですが、どの属性でも魔法を使用する可能性があるだけで十分すごいです。」

「…………使えるレベルならいいんですけどね……。」


そう、六属性全ての魔法が使える。そこだけを聞けばすごいだろうが、効果は、全く使えない。

火属性は、100均ライターの方が性能が上だろうし、水属性もほんの少しだけヒヤッとしただけ。

特にひどいのは、光属性と闇属性だ。光属性は、LEDライトで一瞬照らされただけ、闇属性は、ほんの少しだけ、周囲を暗くしたが、サングラスをかけた程度の暗さ……。


……つかえねぇー…………。

「まぁ、魔王様。魔法は、使えば使うほど効果が上昇するため、今日からどんどん使用しましょう。そうすればいづれ強力な魔法となりますよ。……きっと……。」

…………『きっと』なんて言葉は、聞こえてない……。


――――――――――


魔法の練習の後は、昨日実践した魔力による肉体強化の特訓を開始した。

ただ、クサリさんと話した結果、メニューを改良させてもらった。


まず、攻撃力の強化。いきなり鉄パイプを曲げるのは無理なので、巻き藁を殴ってへし折ることを目標に頑張ることにした。これなら、まだ希望が持てるということと、『殴る』というより攻撃に近いモーションの練習にもと思って実践する。

俺は、自分の腕ほどの太さのある丸太に手をケガしないように藁を巻いたものを目掛けて思いっきり殴る。

「せいっ!はぁ!!」

バシッ!バシッ!と巻き藁が音を立てるものの折れる気配は、まだない。


続いて、走力の強化。100メートルという短い距離をひたすらダッシュするよりも長距離を徐々に速く走るようにした。体力の強化は、魔力による肉体強化でも必要なことなので、理にかなった訓練となると思う。何気に一番重要だろう。城の周囲をできるだけたくさん走るという訓練方法に切り替えた。

「ハァ……、フゥ……、ハァ……、フゥ……」

半周程度で息が上がり始めるが、こればっかりは、仕方がないと思いつつも頑張ろうと思う。


最後に、防御力の強化。クサリさんから目にも留まらない速さの攻撃は、今の俺の防御力では、一発KO間違いなし。なので、木の枝に程よい太さの丸太をぶら下げて、それを殴っては、避ける。殴っては、避けるを繰り返す。攻撃と回避を少しずつ体に覚えさせるためだ。この訓練が一番不安なところである。

と言うのも、実際の攻撃は、こんな単純でワンパターンな感じでないことは、素人ながらにもわかるからだ。ほんとに大丈夫だろうか?

「おりゃ!そーい!!」

……丸太を避けながらも、攻撃を加えて丸太を揺らす。


もちろん、どんな訓練でも2週間でどこまでできるかは、俺の努力次第。だから、ひたすらに励むことをひそかに決意する。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ