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三代目魔王の挑戦  作者: シバトヨ
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初めての拉致に挑戦……

お久しぶりです。

なかなか更新できず、すいませんでした。

それでは、本編の方をどうぞ!

「ダメだぁ~全然やる気が起こらねぇ~」

何をしようにもダラダラしちまう。

頭では、もっとしっかりしねぇとって思うんだけど……。体に力が入らねぇとか、そんな感じでダラダラしている。

そもそも、魔力値がマイナスになってからの俺は、何処かおかしい。……具体的にどこってのが分からねぇけど。

「はぁ~……」

……ゴロゴロするかな。

俺は、芝生に大の字で寝転んだ。

成長した木々の間から見える雲は、ゆっくりと流れていく。

「いいなぁ~」

俺もあの水蒸気の塊みたいに、何も考えず、フワフワしていたい……。

「はぁ~……」


「重症だな」

木陰からシェリーと俺は、あのアホを見張ってたんだが……あんなにヤル気のねぇ魔王(アホ)を見るのは、始めてだな。

「えぇ、そうですね。いつもは空回りしてそうなほど、元気とヤル気に満ち溢れていますのに」

隣にいるシェリーも同感のようだ。

「粗大ゴミよりもぐうたらできる余地があったなんて」

「……誰が粗大ゴミだ」

「あら失礼しました。生ゴミ様」

俺の事だとは自覚はしていたが、改めて言われると腹が立つな。

「それよりも、こんな森の中で戦うのですか? 相手は『赤』なんですよね?」

(がら)にもなく心配か? まぁ、それでも

「問題ねぇよ。『赤』は、戦闘大好きだが、それ以上に紳士だからな」

……たぶん。

そのアホが寝返(ねが)りをうって、俺たちの方に背中を見せた。今がチャンスだな。

「そんじゃ、……思いっきり殺ってくれ」

「……字が違いますよね?」

そう言いながらも、シェリーは盾を出現させ、あのヤル気なしぐうたら野郎の後頭部を思いっきり殴った。


「叩き起こすとは、正にこの事だな」

雰囲気の変わったアホが、立ち上がる。

ただ、後頭部にタンコブが出来ているため、正直笑っちまいそうだ。


怒っているせいなのか、元々なのか、余分な魔力が体から溢れているんだろう。こうして正面に立っているだけで暑い。

「それで? 叩き起こされた気分はどうだ? 『赤』?」

「ふんっ。悪くないな。久方ぶりに外に出れたんだ。それも気の利くことに、闘いまで用意されとるんだ。悪い気はしない」

お気に召したようで何よりだな、この戦闘狂が。

「悪いが、話が先だ。お前が乗っ取っている体の奴が、魔力不安定に陥っている。……心当たり…………あるだろ?」

俺は、確信をもって聞く。

オルと限界解放(アンリミテッド)状態だった時の事を聞いて、だいたい理解している。


『視界が赤くなった』


そう聞いて、俺の思い当たったのは、コイツだ。

「ふっ。心当たりはあるが、……タダで教えると思うか?」

そう言って魔王は、両手を胸の前辺りで構えた。

……ファイティングポーズってやつか。戦う気満々だな。

「シェリー!」

「承知しております! 『ビッグシールド』!!」

シェリーの一言で、魔王の前に背丈を越える大きさの分厚い盾が出現する。

だが、

「『火炎・剛打連拳(ごうだれんけん)』!」

それを気にせず、両手に炎を宿して、殴り付けてくる。

ーードゴンッ! ドゴンッ!!

鋼鉄を殴ってるだけなのに、何て音をさせてやがるんだ!?

「ふむ。……さすが、魔王七つ道具の1つだ」

ホント……じゃなきゃ、俺らは殺られてたぞ。

「シェリー、準備は任せたぞ!」

俺は、片手で持てる程の大きさだが、銃身が長いため、いびつな形をした拳銃を両手に一丁ずつ持ち、魔王の背後へと回り込んだ。

「悪いが手加減なしだ! 『アイスパレット』!!」

俺は、水属性の魔力で作成した銃弾を2、3発撃つ。

「この程度の魔力弾で、我が倒せるとも?」

いや、思ってねぇよ。

現に、弾は当たる前に全て蒸発してるしよ。

「チッ!」

「舌打ちしてないで、弾を撃ちなさいよ!」

せっせと準備をしているシェリーに文句を言われる。

「言われんでも分かってるっての! 『アイスパレット』!!」

俺は、性懲りもなく氷の魔弾を打ち続ける。

その様子に疑問を抱いたのか、魔王が口を開く。

「2代目は、知将だと聞いたが…………勘違いだったか?」

「うるせぇ! ほざいてろ!!」

口を動かしながらも、こっちは必死に魔弾を放つ。

……まだか!? シェリー!?


それから、数分間。

無駄な足掻(あが)きだと知りながらも、ひたすら氷の魔弾を打ち続けた俺は、魔力切れを起こしかけ、動きが鈍ってきた。

魔王もそれなりに魔力を消費しているはずだが、元々の魔力保有量が違う。

「もうそろそろ……終わらせるとしようか」

ヤバイ! 一気に熱量が上がった!

魔王が身体中の魔力を上げたためだろう。

俺は、大技だと予想して、一度距離をとった。

が、

「……逃がすと思うか?」

「っ!?」

突然、体が重くなる。

「『威圧』……か……」

マジかよ……初代やアホに比べて、確かに魔力は少ねぇけど、……そこまで差は無かったぞ?

『威圧』は、相手の魔力に干渉して、身動きを鈍らせる技だ。

対応策も、

「一発、貰っておけ。……『獄炎(ごくえん)剛打』!」

魔王は、俺を紫色の炎をまとった拳で殴りつけた。

「ぐっ!!?」

「ほう……。これを防ぐか」

俺は、凄まじい抵抗を両腕に受けながらも、魔王の拳を相棒で受け止める。

だが、あまりに酷い一撃に、一歩も動けねぇ状態まで追い込まれちまった。

「……やばいな」

正直、ここまで焦ったのは、初代魔王が討たれたとき以来だ。

俺の額から、冷や汗が流れ落ちる。

「準備できましたわよ!」

絶体絶命を覚悟した俺の後ろから、シェリーの声が響く。

「よっ、よし! ぶちかませ!!」

シェリーの合図に直ぐに応え、大量の水を魔王に放った。

今の魔王なら、大ダメージなはずだ!

「くっ! ……小癪(こしゃく)な真似をっ!」

「俺は、強くねぇからな。頭を使わねぇと生きていけねぇえんだよ!」

すかさず、片方の武器を地面に捨て、両手でしっかりと構える。

「『アイスパレット』!!」

俺は、引き金を引き、氷の魔弾を撃った。

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