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三代目魔王の挑戦  作者: シバトヨ
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初めての変身に挑戦!

視界が赤く染まる。

さっきまで白色だった敵の大将は、真っ赤に染まっている。

周辺の木々や地面までも…………まるで、今までいた魔界の本当の姿を観ているかのような感じだった。

今までのは、『魔界』って感じがしなかったんだよなぁ。

どこかの都市って感じがしていた。

それらが、仮初(かりそ)めの姿なんだって言われた気分だった。

まぁ、吐き気とか気持ちが悪くなったりしていない。

それに体も軽かった。

さっきまで息切れしていたのが、嘘みたいだ。

初めての感覚に戸惑いながらも、体に異変がないかを確認した。

そして、きずいた……。

「オル……?」

背中にオンブしていたオルがいなかった。……ど、どういうことだ!?

敵の前でパニックになりそうだったが……

『魔王様、ここ!ここにいるよ!』

へぇ?

頭の中からオルの声が……ど、どういうことだ!?

『魔王様と合体したの!』

が、合体!?……どういうこと?

いまいちピンとこないが、とにかく無事ならいいか。


オルの無事を確認してホッとしていると前方から怒鳴り声がした。

「な、何故だ!?何故、貴様が……!!?」

なんでか、一見ダルマにしか見えない神界(じんかい)の大将が、自分の背丈と同じくらいの棍棒をこっちに向けて驚いている。

いや、驚いているって言うより戸惑っている?

俺が……なんだっていうんだ?

とにかく、(いきどお)りを感じているのは、全身を見れば一目でわかる。

「あ、あり得ん!この!偽者め!!」

その言葉と共に、ダルマが突っ込んでくる。

10メートルもあった距離を一瞬で縮めてくる。さっきまでの戦いは、お遊びみたいなものだったんだろう。

って!俺はこの状態の戦い方なんか知らねぇぞ!?

俺があたふたしているところに棍棒が降り下ろされる。

「死ねぇええ!!」

さっきまで余裕ぶっていた敵の本気の一撃。

不味いと思って両腕でガードをしようとしたが

『盾』

頭に響いた声と共に、さっきまで使っていた盾が出現する。

シェリーさんが使っている魔王七つ道具の1つだ。

ドゴンッ!!

俺の頭のすぐ上を起点に、鈍い音を周囲に撒き散らす。

「っ!?」

これにはダルマも驚いたのか、一度距離を開け、こっちの様子をうかがっている。

「オル!?どうやればいい!?どうすれば、武器とか出せる!?」

敵との距離が開いた今のうちに、いつ攻撃をされても大丈夫なようにガードを解いて、拳を構えた状態にしてオルに質問する。

少なくとも、俺の拳だけじゃダメージが与えられないのは、さっきの技で証明済みだ。

『魔王様も使いたい道具をイメージすれば使えるよ!』

な、なるほどな。とにかく試してみよう。

なんとなく使い方をレクチャーしてもらい、実践する。

右手を前に出して、クサリさんが使う魔王七つ道具をイメージして言う。

「……鎖」

すると、地面から俺がかざした右手をめがけて、金ぴかの鎖が伸びる。

「おぉ!」

感動で声が出ちまった。

だけど、鎖って使いずらいなぁ。

クサリさんは、こんな扱いづらい武器をよく使いこなせるなぁ。

改めて感心する。

まぁ、俺は初心者だし、それにやっぱ、ファンタジーなら……

「剣!」

鎖が消えて、俺の背丈と同じくらいの長さを持つ太刀が出現する。

「だよな!」

右手で太刀の()を掴みとり、赤ダルマに向けて構える。

……反撃開始だ!


さっきまでの戦いが、嘘のように感じる。

全然効いていなかった攻撃が、バシバシ当たるし、ダメージもちゃんと与えられている。

「はぁ……はぁ……お、おのれ!!」

さっきまでと完全に立場が入れ替わっていた。

まぁ、俺が敵側だったらマジで勘弁願いたい戦いかただからな。

なんせ、魔王七つ道具を常に複数常備したうえで、俺は接近してひたすら攻撃。

オルは、敵の攻撃を完全にガードしたり、魔法で攻撃したりだ。

……マジで勘弁だろ。こんな敵。

詠唱しようにも(やいば)が飛んでくるし、反撃しても大概の攻撃は防がれる。

おまけに、魔法もバシバシ放たれるし……。

手加減しねぇけど。

「諦めて帰ったらどうだ?」

太刀でダルマを指し示しながら言う。

完全な挑発だ。ただ……ここまで荒らしに荒らしてくれたんだ、それなりの罰を与えねぇとな。

「我が…………我が偽物に負けるものかぁぁあああ!!」

ダルマ型の大将は、棍棒を振り上げ、突っ込んでくる。

『盾』

だが、オルが出現させた盾に阻まれて、敵の動きが完全に止まる。

「これで、終わりだ!」

太刀を正面にかざして、脚に魔力を送り込む。

通常よりも魔力が込めやすい。すぐに魔力が溜まる。

そして、脚に溜めた魔力を一気に爆発させて、敵を貫く。

「『『猪突(ちょとつ)』!!』」

突っ込んだときの慣性でダルマの背中から2、3メートル距離が開いた。

すぐに振り向くと、体の中央からドボドボと赤色の血を流していた。

ここまで綺麗に技が決まったことねぇから……なんていうか……気味が悪かった。

カルラはこれを平気で放ってんだな……。

それでも俺は、気を引き閉めた。まだ、倒れていねぇからだ。

「偽……者なんぞ…………に……」

そこまで言って、最後に凄い地響きをさせて倒れた。


……勝った。

そう思うのに少し時間がかかった。

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