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三代目魔王の挑戦  作者: シバトヨ
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初めてのボスに挑戦!

「もうちょっと……早く……出てきて欲しかったなぁ……。」

オルを背負って、肩で息をする俺。

「貴様の魔力は、底がないからな。体力切れを狙うのは、当然であろう。」

何となく理解できるけど、だからって最後の最後に出てくるかよ?

魔法で泥々になった地面だと踏ん張りが効かないので、城門から少し離れたところで、恰幅(かっぷく)のいい兵士と出会(でくわ)した。

今、魔王城を攻めている大将みたいな奴だ。

「お前を……倒せば……終わり……なんだろ?」

「そんな体力で、我に勝てると?」

そう言って、ダルマに手足が()えたような兵士が、自分の身長と同じくらいの大きさの棍棒と、身体を隠すほどの横幅のある盾を手にとって構えた。

「来るがよい!ヘッポコ魔王よ!」

ヘッポコ言うな!


戦い始めてから、かなりの時間が経った。

だが案の定、俺は攻めきれてない。攻撃は、ちょくちょく当たってるんだけどな。

当たり前だが、動けば動くほど体力が消耗する。

細かい魔力制御でなけなしの体力をカバーしてるけど、それでも消耗する体力は、ゼロにならない。

「ほらほら!どうした!(いきお)いがないぞ?」

くっそーバカにしやがって!!

「ダルマのクセに!!」

「『剛打連拳(ごうだれんけん)』!!」

オルの罵倒(ばとう)に少しキレたのか、行動が鈍ったところをすかさず攻撃する俺。

……なるほど、口が二つあるとこういうことも出来るのか。

まぁ、かなりどうでもいいけど。

「なんの!『鉄壁(てっぺき)』!!」

大将の腹部に最初の一撃が入る。

もらった!

ひたすら拳を叩き込み続ける。……だけど、

「なんで、倒れねぇ!?」

10発くらい叩き込んだのに、ピンピンしていた。

「軽い拳だ……いくら打とうが、我に問題ない」

感触は、鉄製の鎧を殴ってる感じだった。

それでも大概の奴は、鎧の上から殴って気絶させられた。

ってか、全力で殴ってるのに軽いって……。

事実こいつは、ノーダメージ。マジかよ……。

「こちらからも行くぞ!『天激(てんげき)落墜(らくつい)』!!」

攻撃が効いていないことに唖然としていたため、反応が遅れる。

「うぐっ!!」

避けるのが間に合わないため、腕でガードするが、そのまま地面に叩きつけられる。

「うっ!」

「うへぇっ!」

ヤバイ、背中から倒れたため、オルが下敷きになって余計なダメージを与えてしまった。

俺より華奢(きゃしゃ)なオルは、あまり体力がない。

それもあって、なるべく攻撃を避けていたんだが……。

「これで終わりだっ!」

そう言って、ダルマの兵士が棍棒を降り下ろす。

俺は慌てて、その場から横に転がり、何とか避ける。

……再びオルが下敷きになったが、二人とも何とか問題ない。

「はぁ……はぁ……。」

「はぁ……はぁ……。」

二人して息をきらしている。オルも呼吸が荒い。

「いつまで避けきれるかな?ヘッポコ魔王よ」

う、うるせぇ!って言ってやりたいところだけど、ちょっとでも体力を温存したい。

ぶっつけ本番たが…………やるしかないのか。


城門に行く少し前に、俺はオルに聞いた。

クサリさんやシェリーさんが使った、『アンリミテッド』状態についてだ。

「オルも……ってか俺もか?クサリさんみたいに『アンリミテッド』って使えるの?」

そう聞くと、う~んと首をかしげるオル。

「さすがに無理か?」

「そもそも、オルを使える人がいなかったもん。分かんない。」

「……そりゃそうか。」

オルが魔王七つ道具を使うには、オリジナルより莫大な魔力を消費するらしい。

その代わり、オリジナルと遜色(そんしょく)ないレベルで扱えるが。

そんで、俺と会うまでその力は使えなかった。

オルの体内魔力保有量より、道具の魔力消費量が激しいからだ。

たしか、体調が万全の状態で30秒?だったか?……まぁ、時間は忘れたが、とにかく、長い時間ましてや戦闘なんて出来なかったわけだ。

そこに未だ魔力値ゼロの俺が出てくる。

ぶっちゃけると、魔力使いたい放題の俺と消費の激しいオルは、相性抜群だろう?

道具に足りない魔力を俺が補填(ほてん)してるから、今までほぼ無制限に戦えたわけだ。

簡単に言うとオルが戦うには、俺がいるわけだ。

……オンブって状態は、なんとかしたいけどなぁ。

「発動の仕方は、分かるのか?」

そう聞くと、オルは首を縦に振った。

「シェリーみたいに、『アンリミテッド』って言えばいいと思う。」

…………思う……か。

ここで実際にやってみたいところだけどなぁ……。

話は、そこで終わった。

まぁ、敵兵士に見つかっちまったからなんだけど。


「はぁ……オル……やってみるぞ……」

俺は息を切らしながら、オルに言う。

オルも決意を固めたのか、息切れしながらも(うなず)いた。

「行くぞ!『アンリミテッド』!!」

俺は、変身ヒーローみたいに片腕を突き上げながら叫んだ。

…………………………なにも起こらなかった。

恥ずかしい!!

「お、おい!?なにも起こってねぇぞ!?」

あわてふためく俺をよそにオルがあっけらかんと言う。

「それは、……オルと一緒に……言ってないから……だよ。」

それ、先に言えよ!?

変身かなんかすると思って、思わず腕を挙げちまったじゃねぇか!?

お陰でよけいに恥ずかしい思いをしてるよ!

周囲にいる敵兵たちの視線が、凄く痛い。

「じゃ、じゃあ!頼んだぞ!?……せーので言うからな?」

「うん。」

俺はドキドキしながら、第一声を発した。

「せーの!」

「「『アンリミテッド』!!」」


すると、俺の視界は、赤く染まった。

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