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三代目魔王の挑戦  作者: シバトヨ
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初めての戦神(いくさがみ)に挑戦!

竜状態のドーラの背中に乗って、飛行訓練をしていた。

「かなり、よくなってきたんじゃねぇか?」

ドーラに聞く。

「うん!乗られ心地が、大分よくなったよ!」

ドーラがそう言い返してきた。

「あとは、飛ぶだけだね!」

…………。

そう、確かにドーラの背中に乗っているんだが、

ドシン……ドシン……。

……乗馬してる感じだ。

ただ、馬の数倍はあるので、迫力と高さが違う。

最初の頃は、ドーラに乗って歩いてもらうのも、まともに出来なかった。

……散歩が出来るようになるまで3日かかった。

とにもかくにも、乗れなきゃ飛べないので、予定を大幅に変更。

今みたいに散歩から始めることになった。

「うー飛びたい。」

「ま、待て!と、飛ぶのは、待って!!」

竜状態のドーラは、何故か、飛びたい衝動に襲われやすい。

今飛ばれたら、また気絶しちまう!

「ドーラ!小屋までガマンだ!」

「うーうー飛びたいよぅ。」

頑張れ頑張れとドーラの背中で必死の応援をする。


「ただいまー!」

「お帰りー!お昼ごはんにしよ!」

元気な2人と違い、俺はグッタリしていた。

さ、最後の最後に飛びやがった…………。

「魔王様も、お昼からの特訓に支障が出るから、早く早く!」

俺の腕を持って引きずっていくオルとドーラ。

芝生で身体中を擦られた……。


小屋の外に設置されたテーブルにオルお手製の料理を運ぶ。

1人で3人分も作ってくれたんだ。運ぶのくらい手伝わないとな。

「早くっ!早くっ!」

……お前も手伝えよ、ドーラ。

まぁ、オルと同い年だからな。うるさく言わないけど。

「オルも座ってていいぞ?」

オルに言うと首を横に振る。

「間王様こそ座ってて。特訓で疲れてるでしょ?」

まぁ、疲れてはいるけど…………特訓だけのせいかって言われるとなぁ。

「後少しだ、手伝うよ。」

俺はそう言って、大皿を持って外に出た。


「「「いただきまーす!」」」

3人で手を合わせて、日本式の挨拶をする。

……挨拶であってるよな?

「美味しい~。オルちゃんすごく美味しいよ~。」

鶏肉のソテーが、今日のメインだ。

昼から肉ってのも凄いが、もう馴れた。

と言うより、これくらい食べないと体がもたない。

空気が薄いせいか、体力の消費が激しい。ちょっと動くだけで息が上がる。

ドーラは、竜族だからか普段と変わらない。

……普段より元気な気もする。

オルは、俺と同じように平地で過ごしてきたと前に行っていたので、条件は俺と同じだと思うんだが。

2日目にオルに聞いたとき、全然えらくないよ?って言ってた。

……タフだなぁ。

このメンバーで、一番ひ(よわ)なのかなぁ…………俺。


衝撃の事実を見つけたものの、特に気にせず午後の特訓へ。

山籠りする前のタイムテーブルに、結構そって行動しているからオルの計画性に感心する。

「それじゃ、魔王様!飛ぶよ!」

「なるべく低くお願いします。」

……て、手汗がひどい。

搾ったら、紙コップ1杯くらいは出そうだ。

「いっくよ~!」

ドシン……ドシン……ドシンドシンドシンドシン

歩行から駆け足に変わったように、ドーラの足が速くなる。

翼もそれにつられて開く。

そして、

「うーん!!気持ち、いいー!!!」

……飛んだ。

全然、普通に飛んだ。

「もっと低く!飛んでくれー!!」

俺は、ドーラの首にしがみつく。

低空飛行って言葉をしらねぇのかぁああああ!!!?


「ご、ごめんなさい……。」

竜状態から人の姿に戻ったドーラが謝ってくる。

「いいんだよ!グリーンだよ!!」

「ま、魔王様?」

……俺は、ちょっと壊れていた。

精神が70パーセントオフになっていた。

心配そうにオルとドーラが見てくるので、悪ふざけをやめる。

「……とにかく、ドーラ。今度は、ゆっくり低いところを飛んでくれ。」

頼むから。

「うん!分かった!」

ボフンと竜状態になる。

「オルは、ご飯を作っとくね。」

頼んだと手をあげて、俺は飛行訓練に入った。


今度は、ゆっくり、かつ低いところを飛んでくれている。

「や、やれば……出来るじゃねぇか。」

……少し怖い。だが、不意打ちのような飛び方をされ、それで馴れたせいか、気絶するほどじゃなかった。

「徐々に馴れてけば、いいんだよ。うん。」

自分に言い聞かせるようにブツブツ言っていると、

「もう!魔王様、うるさい!!」

ドーラに怒られた。

機嫌を損ねて飛ばれても困るので、俺は、ごめんと言って、口を閉じた。

それにしても、結構大丈夫になってきた。

始めの頃は、飛ぶなんて考えられなかったしなぁ。

……俺も成長したな。

「ねぇ?魔王様。」

俺の成長ぶりに1人で感心していると、ドーラが声をかけてきた。

「どうした?」

「あっちって、魔王城じゃない?」

そう言って、鋭い爪で東の方を指す。

空は、少しだけ明るんでいた。

…………明るい?

リリンさんに貰った時計を見る。……午後7時。

夏場の時間でも暗くなっているはずだ。

昨日も、このくらいの時間には、太陽が沈んで暗かった。

ドゴン!!

「うわ!?」

「な、なに!?今の!?」

2人して突然の衝撃音に驚く。

……魔王城……からか?

「ドーラ、一度戻るぞ。」

「うん!」

急いで転回して、山小屋へと戻った。


「オル!」

小屋へ入って行くと、台所で夕飯の準備をしていた。

「うん?どうしたの?」

この様子だと、外がどうなっているか知らないらしい。

「一度、魔王城に戻るぞ!」

突然腕を引っ張られ、困惑するオル。

「な、何で?」

「何もないならいいんだが…………城の方が明るいんだ。」


オルと一緒に外で待機させていたドーラに乗る。

「ドーラ、急いで魔王城へ向かってくれ!」

「うん!とばしていくよ!!」

「……低空飛行で……お願いしまーす。」

小声で付け加えた俺の注文に、オルとドーラが短いため息をついた。


一方、魔王城では。

「えぇい!」

ドガン!!!

「おい!俺まで巻き沿い、食うだろうがぁ!?」

まったく、もう少し娘を見習えってんだよ。

「あら、ただメシ食いも敵だと思うのよ。」

………………。

事実、ただメシ食ってるから、なにも言えねぇなぁ。

俺、ガスターとリリンは、戦える奴を引きずり出して、奴等と戦っていた。

『神界』の連中と。

「貴様ら魔界の者たちが、我等神界の騎士に勝てると思うたか!」

……雑魚だな、コイツ。

だいたい、リリンの実力が分かってたらそんなこと言えねぇての。

「おい、そこの雑魚。」

「誰がざ、グブッ!」

おめぇのことだよ。

威張り散らしている雑魚の腹部に拳1つ。

そんだけで気絶しやがった。こんなヘボパンチ、あのアホならやり返してくるぞ?

「り、リーダー!」

「貴様ぁ!」

うるせぇー、元気なだけかよ。

「つまんねぇなぁあ!」

「ぐふぅあ!」「がはっ!」

……武器を出すまでもねぇな。

「あぁ……早く来ねぇかなぁ?あのアホは。」

「ガスター。」

「だから、せめて『さん』をつけろよ。……なんだよ、なんか用かシェリー。」

俺の後ろから盾使いが来る。

「私は、今からクサリのもとに行ってきますので、それまで魔王城をお願いします。」

……クサリは…………呼ばなくていいんじゃねぇのか?

「……魔王城なら、リリンがいれば問題ないんじゃねぇのか?」

あの得たいの知れない初代魔王すら尻に敷いた女だぞ?

だがシェリーは、首を横に振って衝撃の事実を突きつけた。

「…………飽きた……そうです。」

「…………………………そうですか。」

いや、もう言葉がでねぇよ。

飽きたとか…………何言ってるんだろうな?

「まぁいいや。さっさと行ってこい。」

「はい。では、よろしくお願いします。」

気配を消すように姿を消すシェリー。

……アイツがよろしくっていうことは、結構ヤバイってことだな。

「……1度戻るか。」

俺は、魔王城へと戻った。


「ど、ドーラさん。もう少し低くお願いします。」

「無理だよ!?お腹擦(こす)っちゃう!」

……だ、だって、速いうえに高くなってるんだもん!

俺は、ドーラの背中で戦っていた。

……高所恐怖症と。

クリスマスに魔王は、ハーレムかよ……。

こっちは、独り身だぞ。ちくしょー。

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