久し振りの教育係に挑戦します。
お久しぶりです。
明日から学生生活最後の冬休みに入ります。
更新速度が、上がるか、下がるか分かりませんが、出来る限り更新していきたいと思います。
「か、カルラ様……こ、これはいったい?」
「おはようございます!クサ……じゃなかった、メイド長!」
な、何故、カルラ様がメイド服で………………部屋を荒らしているのでしょうか?
「あの……カルラ様。何故こちらに?」
「へぇ?3日くらい前に言ってなかったっけ?」
確かに連絡を貰いましたし、来ることも知っていましたが……。
「何故、メイド服を?」
「あたしの修行だから!」
相変わらず、元気いいですね……。
それと、何の修行でしょうか?…………空き巣?
「今は、何をされているんですか?」
「魔王様のお部屋の掃除!」
モップを掲げて掃除しているんです!っとアピールしてきましたが、私としては……
「……泥棒が入っても、こんな状態になら無いと思いますが。」
棚に飾られていた写真や置き物は、床に散らばり、壁紙も所々破けており、ベッドはズタボロに…………。
唯一無事なのは、天井だけの状態。
「へぇ?………………そうだね。」
周りが見えていなかったのか、カルラ様が、キョロキョロ周りをみて冷静になる。
「……私も手伝いますので、片付けてしまいましょう。」
「うん!頑張ろう!!」
パリン。
…………この部屋に無事な所がなくなりました。
部屋の片付けを始めて2時間と少し。
カルラ様の凄さを目の当たりにしてしまいました。
なんせ、
「うわ~ん!クサリン、助けて~!」
「……はぁ。」
片付けを始めてからと言うものの、ずっとこの有り様ですから。
2時間前。
床に散らばった物をまとめておくようにと、そこそこの大きさの箱を用意したのですが、その箱を破壊。
さらに、箱の破片が床に散乱。
仕方なく、ちり取りと箒を持ってくるため、その場を離れたのですが…………戻ってくるとドアノブが、床に転がっていました。
「いやー……ちょっとでも片付けをしようと物を退かしたら……転んじゃって………………テヘヘ。」
テヘヘじゃないでしょうに。
「怪我は、ありませんでしたか?」
「うん!大丈夫だよ!クサ……じゃなかった、メイド長!」
「クサリンでいいですよ。」
そして、私はドアノブを付けながら、カルラ様に再度、箱を渡して物を入れさせたのですが…………呪われているのですかね?
再び、箱が散り散りに……。
「……掃き掃除をお願いします。」
「う、うん。」
箒を手渡して、掃き掃除を始めるカルラ様。
……目を離したら、何か起こるのでは?
そう思ってしまったため、ジーとカルラ様の行動を観察することに。
「く、クサリン?」
「はい。なんでしょうか?」
「そ、そんなに見られると……照れちゃうよ。」
「何をおっしゃってるんですか?見てないと私が、不安なのです。」
まばたき1つで、部屋が全壊になるんじゃないでしょうか?
そんな不安を抱えながら、何とか部屋の修復、もとい片付けに成功。……片付けに成功と言うのもおかしいのですが。
「クサリン!次はどこを掃除すればいい?」
……まだ掃除をしたいのですか?
これ以上時間を取られても仕方がありません。
「カルラ様。……いえ、カルラさん。貴女には、メイド隊の誰かと共に行動していただきます。」
「うん!分かった!」
さて、カルラ様の教育係に適した人材となると…………。
「と言うわけで、アネサさん。カルラさんにメイド隊訓練マニュアルを一通り、伝授してください。」
「はい!」
『豪雪姫』の異名を持つ彼女なら、あのお転婆姫でも何とか教育できるでしょう。
なぜ、イエティ族のアネサさんが、『豪雪姫』の異名を持つのか。
それは、初代魔王様が、ご健在のころ……。
「リンさん、サボっていないで掃除をしてください。」
外の落ち葉掃きをリンさんとムーちゃんさんに頼んだのですが、……リンさんは、木陰で昼寝をしていました。
「な、何を言ってるんですか、メイド長?やってるじゃないですか?」
……はぁ。
「リンさん。口のヨダレの跡、何とかなりませんかねぇ。」
えっ!やばっと口を塞いでいますが、もう手遅れです。
「ほら、ムーちゃんさんを見習って、あなたも掃除を進めなさい。」
隣で黙々と掃き掃除をしているムーちゃんは、私が呼んだと思ったのか、手を止めてこちらを見ていた。
「ムーちゃんさんは、休憩に入ってください。あとは、リンさんがやっておきますので。」
えぇーと不満の声を上げていますが、彼女を監督に着ければ問題ないでしょう。
「私はこれから、城下町まで出かけていきます。……またサボられても困るので、アネサさんを監督役に付けますので、しっかりとやってください。」
「えっ……あ、アネサが……監督役…………。」
うーん。なぜ、イエティ族のアネサさんを避けているのでしょうか?
……もしかして、虐められているのでしょうか?だとしたら、問題ですね。
これは、メイド隊隊長として、いじめ問題を解消しなければ!
そう決心した私は、城下町での仕事を早々に終わらせ、影からリンとアネサの様子を探ることに。
「ほら!リン!!こっちもやるよ!!!」
「わ、分かってるよ。ちょっと待ってろよ。」
どうやら、アネサさんも掃除を手伝っているようですね。
この時期の庭掃除は、落ち葉や枯草で大変ですからね。魔王様の面子のために頑張って頂きたいです。
「あぁ、もう。ほら、こうして……こうすれば……ほら!」
バリバリバリバリ!!!
「あぁ!……まぁ、いっか。」
……細身の彼女からは想像もできない怪力で…………芝生ごと引き抜きましたね……。
「リンさんも止めて欲しいところです……。」
これでは、魔王様の面子も剥げてしまいそうですね……。
「そして、これは……こうして……こうすれば…………ほら!」
バンバン!!……バンッ!!!
「…………まぁ……いっか。」
……あ、アネサさん……豪快すぎますよ。
芝生をバンバンはたいて、最後に地面に引き直しました。
「これくらい出来なければ、真のメイドになれませんよ!」
「……それができるのは、あなただけですよ?」
思わず小声でツッコんでしまいました。
「ほら!こっちも」
バリバリバリバリ!!!
……心臓に悪いですね。
「リンさん、少しよろしいですか?」
「な、何ですか?」
掃除が終わったところで、リンさんを呼び止める。
「アネサさんについて、お聞きしたいのですが?」
「……もしかして、見ました?」
「はい。いつもあのような感じなのですか?」
イエティ族自慢の怪力を発揮して、芝生を布団のように扱うのでしょうか?
もし、それが、日常茶飯事だと言われたら……気絶してしまいます。
「い、いつもじゃないですよ?……ホントですよ?」
「そ、そうですか。」
「け、けど、嫌いじゃないですよ?……豪快だけど。アネサは、世話焼きですから。……豪快だけど。」
どうやら、虐められている訳ではないようですね。
……あの豪快な性格さえ何とかなればいいのですが。
当時の豪快な性格は、かなり柔らかいものとなり、新人教育につけても問題ない方となりました。
むしろ、彼女が教育したメイドは、どこに出しても恥ずかしくないほどです。
「と、言うわけでカルラさん。アネサさんに付いて、メイドの勉強をしてください。」
「はい!クサリン!」
私は、アネサさんにアイコンタクトを送る。
それを受け取った彼女は、頷いた。
「それじゃ、カルラ様。先ずは、外掃除から行きますよ!」
「うん!アネッチ!」
…………相変わらず、適当なニックネームで。
2人が、外へと歩いていくのを見送って、私も書類整理に入る。
書類整理も一段落し、お茶を入れようと立ち上がったとき、
「く、クサリ!」
青ざめた顔で部屋に入ってきたのは、魔界で魔王様の特訓に付き合っているはずのシェリーさん。
「しぇ、シェリーいっ「魔王城が、占拠されたの!」たい………………事情をお聞かせ願いますか?」
シェリーを座らせ、話を聞くことに。
……いったい、魔界で何が起きているのでしょうか。




