初めての魔力講座に挑戦!
朝の目覚めは、思ったよりもよかった。枕を少しだけ濡らしてしまった俺 棚部 亮だが、今日からは、魔法についての勉強も行うことになっている。ウジウジしてられない。
やや早めの朝食を食べてから、クサリ先生のお勉強会が始まった。
汚名返上のチャンス到来!文科系部活動の底力をみせてやる!!
「では、魔王様。まずこの世界の魔法の特徴について、説明します。」
――――魔法には、六属性と属性外の7つの属性に大別されます。六属性には、火、水、風、土、光、闇の6つあり、これらを単一あるいは、複合して使用します。また、我々魔族や魔人は、闇のみか、闇と光を除く何らかの属性をもっています。
属性外とは、六属性のどれにも当てはめることができないものを指します。
通常、魔法を使用する場合は、自分の所持する属性と同じ属性のものか属性外のものを使用します。これは、魔法の効果を安定させるためです。属性外に関しては、魔力値の高さにより、効果が変動するので、ある程度魔法が使える者ならば、ほとんど効果が出ます。
魔法の使用方法は、午後に技術としてお教えいたします。
――――
「以上が、この世界の魔法についての簡単な説明です。ナニかご質問は、ございませんか?」
「『所持』って言ってるけど、どういうことですか?」
「はい。ある書物の中に生物誕生について記述されている一節があり、『生まれた時に7つの属性の内どれかを持って生まれてくる』ということから、『所持』という言い方をしています。つまりは、先天性の属性を表します。」
へぇー。聖書のようなものがあるのかな?少し読んでみたいなぁー。
そんなことを思いつつ、次の質問を。
「自分の所持していない属性の魔法は、使えないのですか?」
「使用することは、できます。しかし、十分な効果を得られることがほとんどありません。もし、自分の所持していない属性の魔法を行使する場合は、その属性を所持している方に魔法を行使してもらうか、『魔道具』なるものを用います。」
「『マドウグ』?」
「はい。簡単に説明します。」
――――『魔道具』とは、液体状か固体状の魔力を形成した道具です。これにより、属性を所持していなくてもある程度の魔法を安定的に行使することができるようになります。
具体的な魔道具には、ガスや水道の代わりに液体状の魔力を燃料としてそれらを提供する生活用品があります。武具にも使用されていることがほとんどです。しかし、魔道具は、金属よりも耐久性に難があるため破損しやすいという欠点もございます。
――――
「魔道具を用いた戦闘は、なかなか難しいと言えます。しかし、上達すれば、これほどの脅威は存在しないかと思われます。」
「人間は、どの属性を所持しているのですか?」
「人間に関しては、属性外を所持していることがほとんどです。何らかの儀式で先天性の属性所持は、ありえないです。」
ってことは、俺は、属性外を所持しているのかな?けど、魔力値が0だから、どうなるんだ?
「クサリさん。俺は、属性外なんですか?」
「……いえ、それが、……不明なんです……。」
…………。なんとなく予感はしましたよ……。
一気に気まずい空気になるものの勉強会を再開する……。
「続いては、魔法の階級についてです。」
――――魔法を扱うもののレベルに概ねあったものが『魔法階級』です。魔法階級には、初級、下級、中級、上級、最上級の5段階あり、魔力値を基準にどの魔法を扱えるかの目安にしています。ですが、あくまで目安であるため、魔力値が低くとも中級や上級の魔法を扱える者もいます。その逆もあります。しかし、共通している点もございます。それは、魔力値の高い方がより効果が上昇するということです。たとえば、魔力値50の方が、中級魔法を50の力で使うよりも下級魔法を50の力で使う方が、効果が高いことがあります。
――――
「魔力値を上げることで、魔法をより効率的に扱え、より強い魔法使いとなります。」
「どうやって魔力値を上げるのですか?」
「では、魔力値について説明します。」
――――そもそも、魔力とは、空気中の酸素や窒素といった物質と同じようで同じではありません。物質の状態は、他の物質と同じですが、一番の違いは、他の物質と同じような効果を表すことができる点です。酸素の代わりになるように使用した場合は、水中でも酸素を取り込んで呼吸ができるようになります。しかし、魔力を代替として使用した場合は、元の物質より劣っていますので、貴重な物質でない限りは、ほとんど代替として使用しません。この性質のおかげで魔法のように多種多様な効果を生み出すことができるのです。
魔力値は、その方が魔力を他の物質に変換する効率『魔力の変換効率』により値が決まります。その為、魔力値を上げるには、魔力の変換効率を上昇させることが必要です。では、どうやって変換効率を上昇させるのかですが、これは、魔法を使用するのが一番効率よく上昇すると言われています。ですから、魔法使いは、魔法をバンバン利用することで成長するといえます。
――――
「使えば使うほど、強くなるってことですね。」
「はい、そうです。ですが、魔法を使うときに精神的疲労と肉体的疲労が蓄積されるため、常に使い続けることは、困難なのです。」
魔法についての知識を一通り覚えたところで、お腹が鳴った。
「昼食には、少し早いですが、今日はここまでにして、昼食を取りましょう。」
午後からは、魔法が使えるのか、俺はどの属性を所持しているのかなど技術的に魔法を学ぶらしい。
その前に腹ごしらえだ!