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三代目魔王の挑戦  作者: シバトヨ
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初めての魔界に挑戦!

本編です。

あと、1本投稿します。

国王からの力試しから、約1ヶ月。相変わらずの人材不足で、魔王領は、てんやわんやしていた。……俺は、ボンヤリしていたけどな。

そんな中、魔王城の書斎で魔法関連の本を読んでいたときだった。

「魔王様。シェリーから、連絡が来ました。」

クサリさんが、1枚の紙をもって書斎に来る。

「なんだって?」

「はい。向こうの準備が出来たそうなので、魔界へ来るようにとのことです。」

あれ、迎えに来るみたいなこと言っていなかったか?まぁ、いいか。

「魔界へって、馬車か何かあるのか?」

「いいえ。飛びます。」

へぇー。魔界へは、飛んでいくのかぁ…………。

「飛ぶ!?」

「はい。魔界への門をくぐって、ビュンと。」

「へ、へぇー。……なんか、ファンタジーだな。」

「はい、ファンタジーなので。」

よ、良かった。ここで、飛竜に乗りますみたいなこと言われたら、……俺、行く気を無くすところだったぞ。

つ、ついでに聞いておこう。

「クサリさん、竜とかっているのか?」

「はい、存在しています。数は、かなり少ないですが。」

いるのか。いや、竜は問題じゃないんだ。問題なのは、……高いところが苦手なんだよ…………俺。

「あぁ、そうでした。魔王様。向こうで竜と遭遇した場合は、気をつけて下さい。」

「な、なんで?」

狂暴だからか?

「いえ、理由は…………知らない方がいいです。」

狂暴だからではないことは、分かった。……そうとう、危険なんだろうな。

「まぁ、肝に命じとくよ。それで?門は、どこにあるんだ?」

するとクサリさんは、この部屋に備わっている暖炉を指差す。

「アレでございます。」

「いや、アレ……暖炉だろ?」

「はい。暖炉です。」

……もう一度、聞いてみる。

「門は?」

「ですから、アレです。」

さっきと全く同じ方向を指差す。

「暖炉だよね?」

「はい、暖炉です。」

「もしかして、暖炉……兼…………門……なのか?」

「そうでございます。暖炉をくぐって頂ければ、魔界側の魔王城に移動できます。」

「……ここは、○グルの世界か。」

まぁ、柱に突っ込むより、マシだな。

「くぐるだけでいいのか?」

俺の問にクサリさんは、首を横に降る。

「薪を組んで、火をつけた上で、くぐります。」

……火に突っ込むのか。

「わ、分かった。それじゃ、早速準備してくれるか?」

「はい。」

クサリさんは、薪を取りに裏山へと向かった。

俺はというと、

「……どっからどう見ても、……暖炉だな。」

暖炉を眺めていた。アレに火をつけて、その中に突っ込むのか。

……いや、自分で自分に火をつけるのは、大丈夫なんだよ。最初は怖かったが、今は問題ない。

ただ、……突っ込むのか。

「ただいま戻りました。」

3分足らずで戻ってきたクサリさん。手には、小さい枝のようなものを4、5本持っているだけだった。

「そんだけで足りるのか?」

「はい、十分です。ただ、少しだけ魔力を込める必要があるため、少々遅くなりました。」

いやいや、全然早い。

「早速、準備します。」

クサリさんは、暖炉の前で枝を円錐形に組んでいく。そして、組んだ天辺に、魔法で火を灯す。焼き芋が、かろうじて出来そうなくらいの小さな焚き火が、暖炉に完成する。

特におかしい色をしているわけではない。普通に赤っぽい、オレンジかな?炎をあげている。

「準備できました。あとは、くぐるだけです、魔王様。」

速いなぁ。あと、手軽だな、魔界へ行くのって。

「それじゃ、魔界にいっている間、こっちの事は、任せる!」

そう言い残して俺は、暖炉へと突っ込んでいった。


暖炉をくぐった先は、赤い絨毯(じゅうたん)()かれた部屋だった。それ以外に、結構大きい木製の机と革製のソファーみたいな椅子が置かれているだけだ。

振り替えると、そこにあったのは暖炉でなく、立派な門だった。ただ、……。

「これって……壁……だよな?」

門が壁に埋まっている状態だった。……いや、おかしい事を言っているのは、分かっている。何て言うか、壁から門が飛び出てる?浮き出ている?ってな感じだ。

「はい。これが、人間界の魔王城とここ、魔界の魔王城とを繋ぐ門でございます。」

へぇー。……なんで向こうは、暖炉も兼ねてるんだよ。ちょっと怖かったからな。…………うん?

「お久しぶりです、3代目魔王様。」

声がする方を向くとシェリーさんがいた。

「あぁ、お久しぶりです。」

……全く、気配を感じなかった。

「メイド隊って皆、気配を消せるの?」

クサリさんの部隊は、全員できる。ただ、意識しないと出来ない人もいる。……無意識の人が、一番困るけど。

「そうですね……隊長は、全員できたと思います。隊員も得意不得意の差はありますが、全員できたと思いますよ。」

……へぇー。ってことは、俺が一番気配を隠せないのか……。

「まぁ、あえて気配を消さない人もいましたが。」

「……消せるんだよな?」

「少なくとも、私は見たことないです。」

消せない言い訳じゃないの?と思う俺だった。


シェリーさんに魔王城の案内をしてもらった。正直、驚いた。

部屋の数は、20を越えていて、どの部屋もかなりの広さがある。風呂場も、床が畳張りになっていた。

……ここは、日本か?と思ったが、そんな感想も吹き飛んでしまうほどだった。うん、城。魔王城だと思った。……外観は、見ていないけど。

様々な部屋を案内してくれたシェリーさんが、扉の前で立ち止まる。

「これから約1年間、魔王様には、こちらの部屋で過ごしていただきます。」

そう言って、シェリーさんは、扉を開く。

俺の部屋は、結構広かった。1LDKにクローゼットとかが備わっている。リビングにあたる部屋は、15畳くらいある。

「さ、さすが、魔王って感じだな。」

内装しか見てねぇけど。

「人間界の魔王城もここまでとは言わないけど、……もう少し……なぁ……。」

「仕方がありません。初代魔王様の言いつけで、あまり大きなものを建てないようにとの事ですから。それに、大きいと大きいなりに不便ですからね。」

まぁ、掃除する人にとっては、小さい方が楽だよな。

「お風呂は、先程のお風呂場でお願いします。また、洗濯物などもお風呂場で。」

……なぜだろうか?風呂について、細々と言われている気がする。

……臭うのか、俺?自分の腕などを嗅いでみるが、特に臭いと思わない。

「どうされました?」

「いや、俺って臭う?」

自分では気づかないだけかもしれない。だが、シェリーさんは、臭いませんよ。と言ったのでとりあえず、一安心する。


「それでは魔王様。魔界の代表に挨拶をお願いします。」

俺の部屋から、1つ階を上がって、東側の一番奥にある部屋を目指して歩く。

「魔界の代表って言うと……シェリーさんのお母さん?」

「そうです。そして、初代魔王様の奥方様です。」

……やっばい!めっちゃ緊張してきた!

シェリーさんは、俺に構うことなく先を歩く。ヤバイヤバイ!!な、なんて挨拶すればいいんだ!?は、ハロー?とかか!?だ、大丈夫だよな!?

緊張でガチガチになっている俺を見て、隣でクスクス笑うシェリーさん。いや、笑い事じゃないから!!

「この部屋が、代表の書斎になります。普段は、この部屋か3階の居間におられます。」

だ、ダメだ!めっちゃ、帰りたい!!

「心の準備が出来次第、扉の中へどうぞ。」

「当分、出来そうにないので……帰っていいですか?」

シェリーさんは、満面の笑みで

「ダメです。」

俺に釘を指した。ですよねー。

諦めて、気を引き締めて、ノックする。

「はーい。開いてるわよー。」

明るい声で入室許可が帰ってくる。

勢いよくドアを開くと……目に強烈な痛みが走った!

「め、目がぁぁぁあああ!!!うをぉぉぉおおお!!!!」

痛い!洒落にならないくらい痛い!!

「代表、初対面の相手にイタズラはお控えください。」

「もう、シェリー。何度言えば気が済むの?お母さんとか母上とか、言ってみなさいよ。なんなら、ママでもいいわよ。」

うをぉぉぉおおお!!激痛のせいでうずくまっている俺を、放置して、話をする2人。ほ、放置ですか!?

「だいたい、あなたもソレを盾に使ってたでしょ?」

初対面でソレ呼ばわりかよ!と心の中でしか突っ込めなかった。

くそ!全然見えねぇ!!

「お、おい!いきなり何すんだよ!!」

「そこは、壁よ。」

…………。こ、こっちか?俺は、右を向く。

「ふざけるなよ!こっちは、緊張してたんだからな!」

「私に申されましても、やったのは、真後ろの代表ですから。」

…………。回れーー右!心の中で号令をかけて、体を180度回転させる。

「めちゃめちゃ痛かったんだからな!」

「プ、……ご、ごめんね…………プフフ!」

笑いながら謝ってきたよ。イラッとするな!


俺の回復(主に視力)を待ってから、ちゃんと挨拶をする。

「ごめんなさいね。いやーいいストレス発散になったわ。」

「頼むから、程々にしてください。」

シェリーさんが言うには、ドッキリとかサプライズなるものが、シェリーさんの母親、リリンさんのストレス解消法兼趣味なんだとか。……迷惑にも程がある。

「えーと。確か、私から政治について学びたいって話よね?」

「は、はい!今は、クサリさんや他の人に代行してもらっていますが、いずれは、きちんとした「あぁ、いい。そういうの要らないから」って、……はい。」

け、結構考えたんだけどな。不完全燃焼気味の俺を無視して、真顔になるリリンさん。

「あのね。国の運営が、1人で出来るわけがないの。もちろん、全く出来ない訳じゃないわ。現に出来ていた人物もいる。けれど、長年続いた国は、1人でなく、皆で政治をしていたわよ。まずは、そこを理解しなさい。」

まるで、母親のように厳しくも優しく、最初の指導を受けた。

「それじゃ、私の秘書として動いてもらうわよ。明日からよろしくね。」

……あれ?パシられる?

「いや、戦いの特訓もするって…………。」

「そっちも大丈夫よ。24時間戦い続けられるでしょ。」

…………それの何が大丈夫か、説明をしてほしい。栄養ドリンクでも飲めっていうのか?

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