初めての研究施設に挑戦!
「退いた!退いた!魔王様のお通りよー!!」
カルラが、デュランダルを振り回しながら、前進する。
いやもう、前進というより、猛進だな。
俺、棚部 亮は、『ジェムナ』にあるリゾートホテルの地下をクサリさんとカルラ、聖女もとい隊員M、国王もとい隊員Kと共に進んでいた。
目的は、領主を討つことと、人造人間の研究をやめさせること。どちらにせよ、領主を討てば、問題が解決するはずだと隊員Kが、言っていた。
「どのくらい深い位置にあるんだ?」
クサリさんが、メモを取り出す。
事前に隊員MとKの2人が調べた、大まかな地下の地図だ。
「全部で地下10階ですが、領主の部屋は、地下8階にあるそうです。」
「何にしても!魔王様とあたしがいれば、問題なし!!」
……相変わらず元気だな。かれこれ10分くらいだが、デュランダルを横に振りながら、敵を吹っ飛ばしている。
ちなみにだが、ここの敵は、人型だったり4足歩行の機械ばっかりだった。
研究施設が近いからだろうか?
クサリさんや隊員Kが、言うには、魔道具の類なんだとか。
「供給源が、所々にあるはずだから、それを壊しながら進むと楽になるな。」
「カルラ隊長!次のところを右です!!」
後ろから隊員Kが、進行方向の指示を飛ばす。
……右って……壁なんだが?
「わかった!『三点突き』!!」
ドン!ドガッ!ドゴン!!
物凄い音を立てて、壁を壊すカルラ。……正直、どんな防御力でもあれを食らいたくないな……。
「魔王様!空きましたよ!!」
「お、おう……。」
俺っていらなくねぇか?
突き破った壁の中に敵の供給源と思われる装置を見つける。
「これを壊せばいいのか?」
「壊したら駄目よ!ここは、任せて。……少し時間がかかるけど。」
隊員Mが、装置の前で作業を始める。
その姿は、さながら爆弾処理班のようだ。……見たことねぇけど。
装置は、高さ1メートルくらいで円筒の機械だ。
……ファンタジー世界に来たつもりだったが、此処の領地だけは、SF感しかしないな。
「ま、隊員M!どれくらい?」
「あと1分くらいよ!カルラ隊長!!」
カルラが、後ろを振り向く。それにつられて、俺も後ろを見るが、……正直見なければよかったと思った。
「敵がわんさか来たわよ!全員!突撃ー!!」
カルラの号令で隊員Kが、腰に下げていた長剣を抜き、敵に向かって突っ込んでいく。
「カルラ隊長の敵は、世界の敵だー!!!」
……意味の分からない怒号も上げていた。
「魔王様!『バインドチェーン』!!呆けられていますと、危ないですよ!!」
「いや、俺の出番なくねぇか。」
正直、地獄絵図と化していた。
カルラが、デュランダルで機械兵を真っ二つにしていく。
隊員Kは、長剣で細切れにしている。
クサリさんは、鎖で縛り上げたうえで、同じく鎖で貫いていく。
隊員Mは、供給源の解体作業かな?をしている。
では、俺は?
「す、することねぇー!」
だいたい!戦力過剰すぎるんだよ!!向こう側が、少しだけ……いや、物凄くかわいそうになってきたぞ!!
1分間の戦闘(どちらかと言うとリンチ)を終え、供給源の解体に成功する隊員M。
解体と同時に機械兵が、糸の切れた人形のようにピクリとも動かなくなる。
「な、なんだかなぁー。」
俺のぼやきも空しく次々と階層を降っていった。
――――地下4階
「し、しつこい!!」
カルラが、犬型の機械兵と戯れていた。
……実際は、襲われているんだがな。
「なんか、微笑ましいわね。」
「いいね。うん。すごくいい。」
……バカ2人が、すごく和やかな雰囲気でそれを見ていた。
「ま、魔王様~。助けて~。」
……ちなみに、本人も余裕だった。
俺っているのか?本当に?
――――地下6階
「くっ!この!くらいなさい!!」
今度は、クサリさんが、機械兵と戦っていた。
相手は、……お掃除ロボットだ。
「クサリん!頑張って!!」
「メイドの意地を見せてあげなさい!!」
なぜ、メイドが関係あるのかと言うと、
「あぁ!右角にゴミが!!」
そう、お掃除対決をしているからだ。円形のロボットが、頑張って埃や塵などの細かいゴミを取っていく。
……いや、埃っぽいけどさ。
勝敗は、クサリさんが勝った。
「なかなかの強敵でした。次戦ったら、勝てるかどうか。」
なんて、コメントもしていた。
……なんだこれ?
――――地下8階
目的の領主の部屋の前まで来た。
正直、なにもしていない俺が、一番疲れていた。
「な、なんで……そんなに元気なんだよ!」
「「「「テンション?」」」」
4人で一斉に同じ回答する。
て、テンションか……思い当たるところが、多すぎて、困る。
「まぁ、なんにせよ。この先が、領主の部屋だ。」
隊員Kが、扉の正面にたつ。いつにもまして、真面目な顔になっていた。いや、フルフェイスのヘルメットかぶっているから、分からねぇけど。
「皆。準備いい?」
俺たち4人は、無言で頷く。
「では、……行くよ!」
ドアを蹴破り、中へと進む。
期限の関係で、最後の領主戦の開始だ!
1万PVを突破しました!
なので、次回か、その次くらい(未定)に登場キャラクターの紹介を短編風にして、お届けしたいと思います!
本編の方も楽しみにしていてください。




