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三代目魔王の挑戦  作者: シバトヨ
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初めての肉体強化に挑戦!

俺 棚部(たなべ) (りょう)の肉体強化プログラムは、昼食を食べてからということになった。


理由は簡単、昼食を食べるには、ころ合いの時間になっていたからだ。

今は、食堂といった感じの大きな部屋に移動して、クサリさんの手料理を食べている。見慣れない料理が出てきたが、これがめちゃくちゃうまい!

見た目は、青色っぽい卵焼きみたいなもので日本人としては、抵抗がある。が、一度口にすればフォークが止まらなくなる。卵焼きみたいなのにとてもジューシーなんだ!これが!!


ちなみに、他のメイドさん達は、まだ、外でお仕事中だとか。

俺だけ、食べていて申し訳ないが、お腹が減っている事実は、食べなければ改善されない。


実験を行っていた部屋の名前は、『魔力抽出室』というらしい。初代魔王が考案、作成した部屋だそうだ。実験ではなく実際はライフライン用の液体状の魔力を抽出するための部屋だが、これを行う人は、魔力を吸い取られて体に何らかの症状が出るらしい。当時、一番魔力を保持していたといわれる初代魔王ですら、長時間行うと腹痛を訴えたらしい。


そんな中、俺は、なんともなかったため吸い取る魔力すらないと思われた。

ところが、液状の魔力が検出されたため、魔力が体内に存在することが証明された。


「それで、魔力があることは、わかりましたが、これからどうするのですか?」

昼食を終えて、これからどうするかを相談していた。というより、一方的な質問であるが。

「はい、まずは、この世界の知識を勉強しながら、魔力の運用方法を技術として習得します。」

「具体的にどうするの?」

「午前中にこの世界の知識を私が教え、午後からは、魔力を用いた戦闘訓練をメイド隊とともに行います。」

メイド隊のレベルが分からないけれど、俺、ついていけるかな?

「そう不安がられることはございませんが、2週間という短い期間で何とか戦えるようになってもらう必要がございます。」

「でも、俺は、殴り合いの喧嘩すらやったこともないですよ。」

剣道とか、柔道とかもやったことがない。

「そこは、大丈夫かと思われます。初代魔王様よりも魔力を保有していることは、先ほど証明されましたので。」


そう、昼食を取る少し前に、魔力抽出室でたくさんのカプセルを満タンにしていた。薬のカプセルを30センチくらいの大きさにしたもので、液体が見えるように縦長の小窓がついている。そんな銀色のカプセル一つでおおよそ1週間のライフラインが確保されるらしい。まぁたくさん使うとこは、その分ヘリが速いだろうが。

そのカプセルを20個ほど、満タンにしてもなんともなかった。時間的にお腹が減ったぐらいだ。

ちなみに初代魔王は、10個で腹痛を訴え始め、限界は、13個だったらしい。

さらに、カプセル1個を満タンにする時間も初代魔王より早いらしい。俺は、1個当たり3分くらいだった。

「つまり、魔法主体の戦闘を覚えればいいのかな?」

「魔法を主体にするには、少し期間が短いため得策ではありません。」

「えっ!?なら、どうするの?」

魔法を使えると思っていただけに、驚きも大きかった。

「実際に訓練に入りましょうか。メイド隊のみなさんには、中庭に集合するよう言ってありますので。」

疑問しかない俺は、クサリさんの後をついて庭に移動した。


庭師でもいるのだろうかと思うくらい庭の草花がきれいに整えられていた。そんな場所のすぐ近くには、運動場と思われる場所があった。20人前後で運動するならちょうどいい広さだと思う。

メイド隊は、きれいに横5列・縦3列にキレイに並んで待機していた。

「メイド隊のみなさん。これより、戦闘訓練を始めます。」

隣でクサリさんが号令をかける。ほんとに訓練するんだと改めて実感する。ちょっとドキドキ。


「私の隣にいるお方が、今朝方、召喚に応じていただいた3代目魔王様でございます。」

俺って3代目になるんだ。初代魔王の話は、上がっていたけど、2代目魔王の話は、まったく聞かなかったから、てっきり2代目だと思ってた。


「今日より2週間後に『勇者領』と『魔王領』の戦争がはじまります。初めての戦いになる方も大勢おられますでしょうが、心配には及びません。魔王様がいれば、たかだか5千人の人間なんて、蟻んこの軍勢同然です。」


……とんでもないことを言ってくれるなぁ。

「ですが、油断は、禁物です。今後の『魔王領』の発展を願うのであらば、一人一人が強さを磨かなければいけません。その為の戦闘訓練です。みなさん、大きなケガに気を付けたうえで心して取り組んでください。以上です。解散!」

クサリさんの激励とともにメイド隊のみなさんが散り散り(ちりぢり)になってそこかしこで戦闘訓練をはじめた。


「では、魔王様。まずは、魔力による肉体強化を会得しょう。」

「肉体強化?」

「はい。まずはこちらを持っていただけますか。」

鉄パイプのような物を渡された。

「そちらの棒を折り曲げたいと思います。」

「これを!!」

いやいやいやいや、無理でしょ。かなり硬いよ、これ。

「もちろん、普通に力だけでは、無理ですが、魔力による肉体強化を会得したのならば、」

そう言いながら、鉄パイプを曲げ始めた。

針金のように扱ってる…………。

「このように、簡単に曲げることが出来ます。魔王様には、まずこちらを行っていただきます。」

「…………コツってありますか?」

「根性ですかね…………。」

精神論を言われても……。とりあえず、やってみるか…………。

「ふん!!………………っつ!!はっ!!………………。」

全然曲がる気がしない。

「…………。時間がかかりそうなので、違う内容も同時平行していきましょう。」

「…………はい……。」


鉄パイプを曲げる訓練は、中断して、次の訓練に移行した。

「次も同じ魔力による肉体強化です。ここから、」

!?ビュンって音とともにクサリさんが、消えた!!どこにいった!?

「魔王様ー。こちらです。」

遠くから声がするので、周りを見ると、100メートルくらい離れた場所にいた。いつの間にそんなとこに。

「今私がいるところまでを走ってもらいます。」

説明を終えたのか、戻ってきた。

姿をとらえることが出来ないため、瞬間移動でもしてるんじゃないかと思う。

「……魔法じゃないんですよね?」

「はい、魔法ではなく、魔力による肉体強化を脚に施したうえで走りました。魔王様にも同じように走れるのを目標にしてください。」

「…………はい……。」

もうこうなったら、やけだ!走りまくってやるぜ!!


――――10分後――

「ぜぇ……、ぜぇ……。もう……むり……。」

俺は、地面に寝転がっていた。

「魔王様、肉体強化以前に体力がありませんね。」

だって、運動なんて中学のとき以来ほとんどやってないからね。

高校では、文科系の部活だったし、大学では、サークルすら入っていないからね。

「ハァ…………。確かに、……体力……は、…………ないけど、……」

「……次へ行きましょうか。」

「……は……い……。」

…………ホントにがんばろ……。


「次も同じですが、今度は、防御面の強化をいたします。」

息を整えつつクサリさんから次に行うことの説明を聞く。

「私から攻撃をしていきますので、それをよけてください。避けるのが困難な場合は、ダメージをより減らせるように防御してください。」

「…………はい。」

クサリさんからの攻撃自体が怖い。ある意味、一番いい結果が出そうな特訓内容だと思う。

「それでは行きますよ、魔王様。」

ゴクッ……。緊張のあまり生唾を飲む。

「……そこ!」

ドンッ!!!

「…………。」

アレレ……。オカシイナ……。体に力が入らないぞ……。

「魔王様!!魔王さ……」

クサリさんの声が聞こえてくるが、反応する前に気を失った……。


――――――――――


「うっ……うぅん?」

目が覚めたら、寝室のようなとで寝ていた。

「お気づきになられましたか。」

「あれっ?俺って確か……特訓中だったんじゃ?」

なぜ俺は、ベッドで寝ていたんだろう?

「…………。大変申し上げにくいのですが……私の軽く放った一撃で魔王様は、気絶されまして、ここまで運ばせていただきました。」

「………………。」

……俺……ダメダメしゃないか…………。

俺が、落ち込んでいるとクサリさんが心配してくれたのだろう、優しく声をかけてきた。

「大丈夫です、魔王様。明日からもっと簡単な訓練にしますから。」

「…………うん。」

ちょっとだけ泣きそう。


「まだ、始まったばかりじゃないか……。俺は、大器晩成型だからあとから能力が開花するんだよ。」

言い聞かせるように言っていないと、泣きそうになる。

なく前に、俺は、ベッドにもぐり布団を顔までかけた。

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