メイド隊の活動記録・2
お久しぶりです。
今回は、短編ですが、メイド隊のキャラが、多く出ます。
ごきげんよう。私は、バンパイア族のモルモー・ヴァン・アラゴルムです。
メイド隊の皆さんからは、モルモーとファーストネームで呼ばれていますわ。
リンさんとは、近接戦闘でパートナーでもあり、良きライバルとして日々、切磋琢磨している関係ですの。
その!リンさんだけ!短編とはいえ、私より先に登場するなんて許せないですよね!!
と、いうことで、今回は、私、モルモーが、大、大、大活躍するお話をいたしましょう!!
あれは、3代目魔王様が、『ペルン』を出てからのことでした。
勇者領のトップである国王から、1ヵ月以内に5つ以上の領土を落とすという力試しを言いつけられました。
そのため、姫騎士領に応援かつ、同盟を結びに『ペルン』を出発した魔王様とメイド長であるクサリ様。
もちろん、私たちメイド隊は、ここ『ペルン』と魔王城の管理のために残ることになります。
「さて、それじゃ、どうする?」
ゴブリン族のリンが、切り出したのは、管理のための人員をどうやって分けるかでした。
「こういう時こそ、副隊長の出番ではないでしょうか?」
「で、……その副隊長は?」
リンに副隊長の居場所を聞かれたので、壁の方を指さす。
「わ、私!?」
驚いているのは、体中が包帯だらけのマミーという種族の彼女。名前は、シャーナ。
……フルネームは、未だに教えてもらっていません。
「ほら、メイド長からの直々の使命なんだ。ちゃんと仕切ってくれよ。」
「そ、そんな~。」
彼女は、とても恥ずかしがり屋で、なぜ、メイド長は、彼女を副隊長に指名したのか分かりません。
ですが、指名されたからには、従うべきでしょうね。
「副隊長、頑張ってください。」
「で、では、……ど、どこをだ、誰が管理するかですが、ど、どうやって決めますか?」
噛みながらもなんとか進行をしようとするシャーナ。
「まずは、希望をとってみるのは、いかがでしょうか?」
すかさず提案する私!副隊長に提案する私!
……まるでナルシストみたいですが、そうでは、ありませんからね。
「そ、そうですね。なら、」
そういいながら、包帯を1つ取り出し床に置くシャーナ。
「み、右側が、魔王城で、左側が、ここの管理をする人で、き、希望の方にい、移動してください。」
言われた通りに移動するメイド隊の面々。
私は、ここ『ペルン』の管理を希望する。
「ま、魔王城の方が、す、少ないですね。」
だいたい半分くらいに分かれた。ですが、シャーナは、魔王城の管理にもっと人員を割いた方がいいと言う。
「と、い、いうことで、も、モルモーさんとムーちゃんは、ま、魔王城の方にお、お願いします。」
「…………了解。」「まぁ、仕方がありませんね。」
「あ、ありがとう。で、では、か、確認です。」
そういうと、シャーナは、白紙とペンを机に置き、真ん中に線を引いてそれぞれに名前を書いていく。
魔王城を管理する人はっと、
「私とリン、ムーちゃん、セレン、ゴルゴン三姉妹にラナー、それとベアータですか。よろしくお願いしますね。」
私を含めて全部で9人ですね。
「まぁ、よろしく頼む。」
「こちらこそ~。」
「…………頑張る。」
誰がどこを管理するのかが決まったところで、シャーナが、締めくくる。
「ま、魔王様とメイド長がいない、い、今、わ、私達で魔王領のか、管理をしないといけません。し、失敗を恐れず、お、各々(おのおの)、が、頑張ってください。」
「「「「「はい!」」」」」
こうして、私達メイド隊は、それぞれの役割を果たすため、一度別れることになったのです。
「で、誰がリーダーやる?」
「ここわぁ~、年功序列ってことで~、アレーが~、やればいいんじゃな~い。」
だるそうにダラダラと話すベアータ。
……相変わらず、ハキハキとしゃべれない方ですね。
アラクネ族の皆さんは、だるそうにしか話せないのでしょうか?
「あたしでいいの?」
アレーなら、きちんとした仕事もするでしょうし、問題ないですね。
「私は、構いませんわ。」
「まぁ、いいんじゃないか?」
「………………決定。」
他の皆さんも納得しているようですわね。
「そ、それじゃ、だいたい1ヶ月くらいだけど、よろしくね。」
リーダーとなったアレー・スネクが、簡単に挨拶をする。
ゴルゴン三姉妹の長女である彼女ならば、この1ヵ月の間、大したこともなく過ごせるでしょう。
魔王様が、長期間いなかったことは、あるが、メイド長までいないことは、初めてですから、不安だらけですけど、メイド隊のみでどこまでできるのか挑戦するいい機会ですの!
「それじゃ、魔王城に向けて、出発!」
勢いよく腕を伸ばすリーダー。
私達は、魔王城へと向かうのでした。
――――――
一方、魔王城の城下町・酒場
「くそ!何なんだ、あの魔王は!?」
「俺たちは、一生安泰だって言うからあのくそ領主の元でやってたのによ。」
「全くだ!どいつもこいつも、あの魔王のせいだ!」
男3人が、酒を片手に愚痴をこぼす。
「何とかして、一泡吹かせてやりてぇもんだな。」
「どうする?」
「流石に3人じゃ、無理だが、かき集めれば、城攻めもできるってもんだ。」
「くくく、なら、」
「やってやるか……。」
――――――
私たち魔王城管理メンバーは、魔王城に行く途中に城下町で買い物を済ませて行こうということになり、3人一組で買い物を済ませることに。
「なぁ!串カツ買っていこうぜ!!」
「……あなたね。」
「フフフ、いいんじゃないかしら。私も食べたいですし。」
私とリン、セレンは、1週間分の食材の買い出しをするために市場に来ています。
もう、お昼を過ぎていますので、活気はあまりありませんが、それでも、おいしそうな果実や果物が、並んでいますわね。
……果物しか無いように見えますけど。
「まぁ、串カツ買うのはいいですけど、さっさと買い物を済ませましょう。」
言いながら振り向くと
「ふん、ほうはな(うん、そうだな)。」
リンの手に串カツが…………もう、食べていますわね。串カツ……。
「と、とりあえず、腐りにくい物からね。」
苦笑いしながら、セレンは、買い物のメモを取りだし、店舗の中へ。
……私も行きましょうか。
「ふぁってよ!(待ってよ!)」
買い物を終え、魔王城へと戻ってきたんですか……
「何かあったのですか?」
魔王城の管理を任された他のメンバーが、総出で魔王城を見ているので、近くにいたアレーに聞くことに。
「そ、それが……」
「魔王の兵士らに告ぐ!」
突然、魔王城の方から大きな声が聞こえ、そちらを向くとおじさんらが、魔王城にいるではありませんか!
「実は~、魔王城が~占拠されちゃったの~。」
アレーの代わりにベアータが、現状について答える。
「へぇ?ふぇんひょ(せんきょ)?」
「…………何で1人、食べてるの?」
ムーちゃんから、微かに殺気のようなものを感じられますが、そんなことより、
「どうして、こうなったのですか?」
「なんでも~、『ペルン』で雇われていた傭兵が~、腹いせに~だって~。」
は、腹いせにって……。
「も、もし、この事がメイド長の耳に入ったら…………。」
セレンの一言で、その時の様子を全員で想像し、全員の顔色が悪くなる。
「ま、不味いですね……。」
「な、何とかしないと!」
「な、何とかって、どうするのよ!?魔法は、使えないわよ!」
「『ペルン』の時みたいに役割分担をしましょう!」
アレーが、次々と役割を割り振っていく。
「近接部隊は、魔王城に潜入して、傭兵を倒して!」
「か、簡単に言ってくれるが、かなり、危険だぞ!」
「中距離部隊が、フォローにまわるから、それで何とかして!」
「む、無茶苦茶な……。」
「そして、遠距離部隊は、ここから見える人達の注意を引き付けて頂戴!」
「ちゅ、注意って言われても!!」
慌ただしく決められた役割に不安と不満を募らせる。
けれども、次の一言で全員の目の色が変わる。
「メイド長にバレたら、どうなると思っているの!?」
………………………………。
「絶対に!取り返すわよ!!」
「「「「「おー!!」」」」」
「食らいなさい!」
「ぐはぁ!」「おい!こいつ!!」「何処から入って来やがった!?」
コウモリに分裂して窓から侵入した私は、裏口で見張りをしていた傭兵3人を片付ける。
「サンキュー、モルモー。」
裏口のカギを開けるとリン達が、中へと入ってくる。
「お礼なんかいいわよ。それより、先に進まないと。」
「…………どんどん行こう。」
「そうね~、早くしないとね~。」
ベアータの言うとおりね。
「それじゃ、行くか!」
「こ、こいつら!」「一体どこから!?」
魔王城内部を進んでいくと階段から2人の傭兵が下りてくる。
「退きなさい!!『ダーク』」
傭兵2人を闇で覆う。
「な、何だ!?」「前が見えない!!」
困惑した傭兵をリンとベアータが、攻撃する。
「おらよっと!」「さよ~なら~。」
リンは、腹部を豪快に殴り、傭兵を壁へ吹き飛ばす。
ベアータは、床から蛇を伸ばして、傭兵を床へと埋める。
スキュラ族の独特な攻撃方法なのだけど……
「……ベアータ、ここは、魔王城なのよ……。」
「あ……ま、まぁ~、気にしない気にしない。」
下半身だけを魔王城の床に埋められ、傭兵が気絶する。
……穴、なるべく早くふさがなきゃね。
「…………次、来る。」
ムーちゃんの言うとおりね。
「さっさっと行こうぜ。」
「そうね。」
「とりあえず、ここまで来たわね。」
魔王城の最上階、魔王様の書斎へと入る唯一の扉の前で止まる4人。
「……ここの中で戦うのか?」
「仕方ありません。……なるべくものを荒らさないように。じゃないと……。」
「…………メイド長の雷が落ちる。」
ムーちゃんの一言でゾッとする4人。
「……い、行きますわよ。」
私は、勢いよく扉を開け放つ。
「無駄な抵抗はやめて、おとなしく投稿しなさい!!」
「こ、こいつら!!」「他の奴らは、どうなった!?」
書斎には、5人の傭兵が、突っ立っていた。
1人1人が、武装している者のそこまで強そうに見えない。
……こんな傭兵ごときに魔王城を占拠されたなんて……。
「速攻!!」
リンが、傭兵の1人に突っ込む。
「させるか!」
背中から円形の盾を取り出し、リンの一撃を防ぐ。
「痛ってー。」
「……今までの傭兵たちより、できるようですね。」
リンの攻撃を防ぐなんて。
「ここには、腕利きの奴しかいないからな。そうそう負けはしないぜ。」
よりにも、一番戦い難いところで!
「…………厄介。」
「全くですわね!」
ムーちゃんの言う通り、こちらはあまり派手に動けないため大技が、出せない。
「おめぇら3人だけなら、楽勝だ!」
…………3人?
疑問に思い、辺りをチラチラ確認する。
リンは、窓際の方で傭兵1人と交戦中。
ムーちゃんは、私の隣にいて、ベアータは、…………どこに?
「これでも食らいやがれ!」
リーダー格の傭兵が、火属性の下級魔法を発動する。
「な、何てことを!?」
狙いが悪かったため、当たりはしなかった。
けれども、カーテンに当たり、引火する。
「し、しまった!!」「何してんだよ!」「下手くそ!」
傭兵同士で言い争っているが、こっちとしては、とんでもないことになった。
「あ、あんた達…………覚悟は出来ているのですよね?」
なんとか鎮火させたものの修復不可能な状態になってしまったカーテン。
……メイド長に見つかるのも時間の問題ですわ。
「ひぃ!」「な、なんだ!?こいつら!」
私達の魔力が、上昇したからか焦り出す傭兵達。
「お前らは、やっちゃいけないことをしたんだよ。」
「…………サンドバッグ確定。」
リンもムーちゃんもキレましたね。……私もですけど。
「ふ、ふざけるな!!」
逆ギレ気味にかかってくる重装備の傭兵。ですが、
「うぐっ……。」
リンの拳が、鎧を凹ましながら傭兵の腹部に決まる。
「そこで寝てろ。」
口から泡を吹きながら倒れた傭兵を見て、ビビりまくる4人。
「わ、悪かった!本の出来心なんだ!許してくれ!」
「…………もう、手遅れ。」
ムーちゃんの殺意の込められた一言に土下座をしていた傭兵達は、顔色を青くして逃走を図ろうとする。が、
「逃がすわけ~……無いわよね。」
唯一の出入口をベアータが塞ぐ。
「い、いつの間に!」「他、助けて!」「許してください!!」
傭兵達らは、もうパニック状態に陥っていた。
……まぁ、それでも許しは、しないですけど。
「「「「くたばれ!」」」」
4人でそれぞれを気絶させ、縄でくくる。
これで一件落着かしら。……修繕すれば。
魔王城を占拠していた傭兵らを庭まで連れ出し、事情聴取という名の拷問をし終わってから、罰を与えることに。
「あなた達で、城の修繕をしてください!」
「「「……はい。」」」
アレーの指示で傭兵どもがこき使われることに。
……未だに治っていない部分に関しても、この方たちに直させようとのことですわ。
「お手柄だね!モルちゃん!」
ゴルゴン三姉妹の三女であるルゴーが、声をかけてくる。
「私だけの手柄ではありませんわよ。リンやムーちゃんも頑張ってくれました。」
ふんふんと縦に首を振るルゴー。……ホントに聞いているのでしょうか?
そんな事件から2週間ほどで魔王城は、新築同様にピカピカとなりました。
元傭兵達も魔王城修繕の罰から解放され、散り散りに仕事を探すことになったそうです。
とまぁ、私の大活躍した事件でしたが、いかが……何です?
…………あまり活躍していないですって?
そ、そんなことありませんわよ!
私も十分、頑張りました!
あとは、魔王様達が、無事帰ってくることだけです。
以上!終わり!!
キャラクターが、多いのでかなり、ぶれていると思いますが、次に書くときは、そのぶれも少なくなっていると思います。
…………たぶん。
次回は、本編です。




