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三代目魔王の挑戦  作者: シバトヨ
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初めての拠点奪還に挑戦!

「全員! 撤退っ!!」

 クサリさんの号令で、俺を除く兵士たちが下がっていく。

 魔獣が飛び出てきたからな。

 今のところの対抗策は、俺が相手になることだけ。

「というか……今思えば、よくこれだけの人数が生き残っているよなぁ…………」

 俺と言う対抗策以外となれば、神器と呼ばれる武器防具の類いのみ。しかも、扱える人間が限られてくる。

「頼んだぞ、棚部(たなべ)!」

「了解!」

 クサリさんから激励された俺は、地面を強く蹴って魔獣の目前へと躍り出る。

 右手を引いて、魔力を込め、

「『剛打連拳(ごうだれんけん)』!!」

 魔獣の顔面、前足、腹部と殴っていき、一体の魔獣をフルボッコする。

「よし! 全員、突撃!!」

 魔獣がピクリとも動かなくなったところで、クサリさんは突撃命令を出す。

 兵士たちが唸りをあげながら、砂上に建つ真四角の建物へと攻めていく。

 俺は反対方向に歩いては、日除けとして設置されたテントで一休みだ。

 一応、作戦の要だからな。バテて力が出ない。なんて事になったら、大惨事に一直線だ。

「棚部」

「おう? なんですか?」

 テントで寝転んでいた俺は、クサリさんに呼ばれる。

「お前は一体、何者なんだ?」

 1年くらい前にもクサリさんに聞かれたなぁ……。

 まぁ、目の前にいるクサリさんは、クサリさんじゃないらしいし。

「……ちょっと特殊な人間…………だな」

 前回はボケて白い目で見られた覚えがあるからな。

「………………そうなんですか」

 あ、あれ?

 何で白い目で見られてるんですかね?

「まぁいいや。それよりも、これが終わったら解放してくれるんだよな?」

「棚部はしつこいな……。ちゃんと約束しただろ?」

 あんまり宛に出来ないんだよなぁ……。

 それに、俺が周りの空気に流され無いようにするための保険でもある。

「それに、神器があの中あるのだ。それだけでも回収できれば、後はこちらだけでなんとかなる」

 なんとかなってくれれば……いいんだけどなぁ…………。

 うまく言い表せられないが、大概、残念な結末が待ってるんだよなぁ……こう、順調な時ってのは。




「で。見事に大当たりって訳か……」

 拠点を取り返した俺達は、早速武器庫を捜索した。

 いや、しようとしたってのが正しいな。なんせ、手をつけるまでもなく、酷い状況だと理解できるんだから。

「よもや、神器が壊されていたとは……!」

 冷静に言っているクサリさんだが、顔色は最悪だ。

「神器は修復できるのか?」

「いや。我々魔界の人間では、閻魔様を除いては無理だ」

 そういや、この時代に『魔王』は居ないんだったっけか?

 首を折って項垂れているクサリさんには悪いが……こっちはこっちの都合がある。

「そんじゃ「まて」……なんだよ?」

 クサリさんに別れを告げようとしたところで、ずぅーっと黙っていたトーテムポールが止めに入る。

「神器が壊された事実は、オルの記憶にない」

「……つまり?」

「魔獣の時と同じだ。オルをバラバラにした奴の仕業に違いない!」

 はた迷惑な奴だな。ちょっとイラっと来たぞ。

「それじゃなにか? 神器の修復をしないと、オルを探しに行くのは不味いって事か?」

 俺の問いに トーテムポールは、黙って頷いた。3つともが器用に縦に動いたぞ。

「だとしても、誰が修復するんだよ? 俺は、まともに工作なんてできねぇぞ?」

「工作の必要なんか要らねぇよ」

 は?

「神器の修復は、我々がする。お前は、誰にも見られないようにカモフラージュをしてくれ」

 あぁ……そういうこと。

 トーテムポールの姿や声は、俺にしか分からない。

 そんな状況で、壊れた武器が修復されようものならば、大騒ぎになるだろうな。簡単に想像がつく。

「分かった。クサリさんを説得する……!」


 まぁ、これは後で気が付いたんだが……俺って、交渉事も苦手なんだよなぁ……。

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